騎兵と狩人 GT-4・戦闘前
共犯証言
晴天 / 視界:14km
タラート山 坑道
この坑道に入ればひとまず安全だ。坑道を抜ければモティカ山の前に出る。あそこまで行けば賞金稼ぎはもうほとんどいない。
あのスカジ――「山崩し」と評する者もいたが、戯れ言だといつも大声で笑って流していた。まさかここで出会うことになるとはな。
普通より少し腕が立つだけで、噂話だけが一人歩きしているだけかと思っていたが……そんな噂もあながち間違いではなさそうだ。
噂話を聞いてバーで私が笑った時、周囲からなんとも言えない恐れと哀れさの視線を向けられた理由がようやく分かったよ。
今度は私が恐れの目を向ける番か。フッ……
うん、ロドスでもみんな同じような噂してた……
あたしは同じ任務に参加したことなかったから、とにかく凄いってことだけしか聞いたことなかったんだけど、こんなことになるなんて……
賞金稼ぎやってるなんてことも、最近まで知らなかったし。
やってるもなにも、賞金稼ぎのスターの一人だ。
彼女も財宝を求めてやって来たとなれば、本当に面倒なことになりそうだ。
我々二人が彼女の分前にありつけるかどうかもわからん。
そうなれば、私たちの村は……
心配しなくていい、どのみち彼女一人で賞金稼ぎ全員を片付けてしまうだろう。
だがその代償として、集落のいくつかは破壊されるだろうがな。
うう……
彼女は財宝のために来たんじゃないと信じたいよ。本当にそうなら許せない。
君たちロドスは、来るものは拒まずという組織なのか?
ロドスのオペレーターは、自己の利益のためだけに迷わず人を傷つけるなんてことは絶対にしない。
フッ、君には感謝しているが……ところでロドスはなぜスカジのような「厄星」を養っているんだ? 確か「感染者のための組織」だと言っていたと思うが。
それに、私も感染者の一人だが、これまで君たちロドスが我々のためにやったことなど聞いたこともない。
ボブおじさん……
なぜ説明してくれないんだ? 私は君があのロドスの何を信じているのかわからないんだ。
私から見れば「感染者のため」と言っていても、結局のところ自らの利益のために行動している組織にしか見えない。
フンッ、何がロドスだ。この世にはこの小さな金貨よりも価値のあるものなんてない!
ごめんなさい。
なぜ謝る? 君はまだ子どもだろう。だからまだ理想と現実の区別がはっきり見えないし、自分が何者かもよくわかっていないのだろう。それはいいんだ。
ううん、そうじゃないよ。自分の力がまだ足りないってことはよくわかっているんだ。
騎馬警官として、そしてロドスの一員として、たくさんの感染者たちに関わってきた。
……でも全員を救えたわけじゃない。それはあたしの……あたし自身の力が足りなかったから。
それはロドスも同じだよ。
結局は役に立たないということか? ハッ! 笑わせる。
そうだ。多くの感染者たちがスラムで苦しみ、隔離エリアに閉じ込められ、感染者というだけで殺されようという時に、ロドスは何をしていた?
全力で立ち向かって解決できることもあれば、力が及ばないこともある。それはあたしもロドスもそうだよ。
でも、そんなことわかっていても、目の前で苦しむ罪のない感染者を放っておけないんだ。
そう…ロドスも、それは同じ。
……
ごめんなさい……ボブおじさん。
……言っただろう、君はまだ子供だ。君に意地悪をして何の意味がある。
だがあのスカジ――君の「仲間」は、君に刃を向けてまでキャロルを奪おうとしている。
君はそんな“仲間”であっても、彼女が感染者を救済するという信条を持ち、君たちに協力すると信じるのか?
まだスカジの目的もはっきりしないし、結論は出せないよ。
でも彼女がロドスに受け入れられたからには、彼女の行動にも何か考えや理由があってのことだって信じてる。
……わかった。君を信じよう。少し言い過ぎたな……できれば忘れてくれ……
いいよ…別に気にしてないから……
とにかく今はやるべきことを先にやろうよ。キャロルのために財宝を見つけるのが先決だね。
だが脚を怪我した私はお荷物になる。まさか私が嬢ちゃんたちの足を引っ張ることになるとはな……
ボブおじさんがあたしたちの足を引っ張るとしたら……
最後の最後に、財宝は渡さないぞーって言う時だけだよ。
フッ、ハハハ……
ボブさん、私もあなたを悪い人だと思っていません。たださっきは……少しだけ怖かったです。
私はここの村で育った田舎者ですし、感染者を直に見たのは初めてでしたから……ただ鉱石病のことはある程度知っています……これまで苦労されたんですね。
もし失礼な態度があったなら、お詫びします。
気にするな。フッ、お嬢ちゃん、財宝を見つけた後、私に決めた通りの分前をくれればそれでいい。
はい……財宝は村にとっても重要ですが、私たちの問題を解決していただけるなら、それ相応の報酬は必ずお渡しします。
ですので、私もグラニも引き続きあなたの力が必要です。だから私たちもあなたの力になりますから。
そうでしょ、グラニ?
もちろん! じゃあ、そろそろ行こうか。
お嬢ちゃんたち、目標地点はモティカ山なのだろう? あの山の名前は、はるか昔に没した騎士の名前を冠したものだからな。
私の予想通りなら、騎士の財宝はかの山に眠っている。
しかしあの山を…手がかりも無しに探すとしたら、何週間もかかるでしょうね。
それは当然だ、君がいなければ見つけられっこないだろう。だからこそ、君をあの赤い目の女に渡すわけにはいかない。
では、とりあえずモティカ山までのルートをお願いします。
ああ、そのつもりだ。
待て。
出口に誰か居るぞ――
ああ――
だ……誰か……助けて……
か……感染……者……
……やりすぎじゃないか?
いやいや、俺は何もしてないぞ。俺を見るなり勝手に逃げ出して転んで……
あっ。
――――
君たち……レユニオン!?
お前たち――
ボブおじさん、何をする気!?
この人たちは普通の敵じゃ――
おしゃべりはいい、やるぞ!
……
チッ、全員生け捕りにしてやれ!