懐黍離HS-9・戦闘前得果
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  • 炎、大荒城
ウルサス極東炎カジミエーシュリターニアヴィクトリアカズデルシラクーザレム・ビリトン
ウルサス極東炎リターニアカズデルシラクーザレム・ビリトン

名前

懐黍離 HS-9・戦闘前

得果

ちっぽけな命の目に映る天地とは、このような姿だったのか。

あの混沌の中から抜け出して、初めて蒼茫たる大地を歩いた。

私はどこから来て、どこへ向かうのか?

あの巨大な体の記憶と、神がかった能力、そして目の前の生きとし生けるものとは異なる寿命が残っている。

しかし無知な子のように、目の前の人々に倣って、見よう見まねで学ぶしかない。

長い歳月の中で、私は二人の師に出会った。

シュウ

炎国の北には、とある荒れた土地があるの。

私はそこの人々と田畑を開拓しようとしているわ。作物一つ一つが地面から生えてくるのを見るのはなかなか楽しいのよ。どこへ行けばいいか分からないなら、こっちへ来て手伝ってみない?

そこはどのような場所なのですか?

シュウ

そうねぇ……こうした町よりもずっと荒涼としているわ。それと、あの扉から飛び出してくるものもたまにいるから、少し危険ね。

でも、もし「人」とは何かを知りたいのであれば、うってつけの場所かもしれないわね。

時間はまだたくさんあるのだから。ゆっくり答えを見つけていいのよ。


生命には「同胞」という概念があることを初めて知った。

あるいはこれこそ、彼らがあの巨物たちに打ち勝つことができた原因だろうか?

苦労している農民

本当に不思議ね。昨晩はあんなに雹が降ったというのに、この作物たちはまるで何ともないみたい。

ジー

運が良かったのかもしれないですよ? 天が皆さんの苦労を目にして、慈悲を与えてくれたのでは?

苦労している農民

ジー、あなたの仕業でしょう?

ジー

……

私はただ、皆さんが大変な思いをした半年の働きが、たった一度の雹で無に帰してしまうのは、あまりに残念でならないと……

苦労している農民

万物には各々移り変わりの規則があるの。ある季節に作物がだめになっても、それは地面に埋まり土地の肥料となって、翌年の作物はより良く育つ。

あなたはこの地における今季の作物を救った。けれど炎国にはこのような田畑がどれだけあって、天に頼ってご飯を食べる人がどれだけいるかしら。

あなたは善意だけれど、人々はこの土地で生きていく方法を自力で見つけ出さなければいけないのよ……

ジー

いつの日か、貴女も去ってしまうのですか?

苦労している農民

もちろんよ。

でもこの土地は存在し続けるわ。生命は永遠に存在する。


天地の万物は、みな各々の居場所がある。

しかし我々は、天地の間に生まれた。根のない木のように、水のない浮草のように。

因もなく果もなく、始もなく終もない。

果たして我々は、どこに帰るべきか?

時が移り、世の様子は変わった。

ジー

貴方は食糧を買い付けに来た商人ですか?

聡明な商人

今年は各地で干ばつが起きてな。北のこの地の穀物倉庫にはまだ余裕があると聞いて、そこで食糧を仕入れて逼迫している地域に売ろうと、買い付けに来たのさ。

ジー

天地に仁なく天候は不順、農民たちは本当に大変です。

聡明な商人

だけど不作の年というのは、農民にとって必ずしも悪いとは限らない。

ジー

これは異なことをおっしゃる。不作の年が農民にとってどうして良いことになりましょう?

聡明な商人

ごく簡単な理屈だ。不作であるほど、食糧は高価になる。

一斤当たり一文、それを五百斤売るのと、一斤当たり十文、それを百斤売るのとではどちらに儲けがあるか。こんな勘定は、三歳児でも分かるだろう。

ジー

私は幼い頃からこの場所に住んでいますが、食糧は人々の腹を満たし、命を救うことに用いるものだとしか知りません。

外の天地には、そのような道理があったのですね。

聡明な商人

君は大荒城の外の世を見たことがない。誰もが淵に臨んで水を忘るの境地に至れる仙人ではないんだ。ただこんな小さな田畑を守っているだけで、天下の数多ある道理をどうして悟れよう。

私の商隊はちょうど世話係が足りてなくてな。興味があれば、私と一緒に行ってみないか?


茶葉売り

宿泊だ。

聡明な商人

いつも通り、品を倉庫に入れて、先に支払いを済ませてくれ。


ジー

ここ数年、尚蜀で多くの茶畑ができたので茶葉の商売をしたいということでしたよね。どうしてここの辺り一帯の客桟(きゃくさん)を買い取ったのですか?

聡明な商人

最高級の「蜀山青」を荷車一台分ここから百灶まで運ぶとするといくら稼げるか分かるか? そして朝廷は何割税を取る?

ジー

道中無事に運べれば、二割の粗利が入ります――相当に良い商売ですね。

聡明な商人

だが、これだけ出入りがあるんだ。税金を納めたくない茶商はみんなこの小道を通る。ならこれでいくら入ってくる?

ジー

貴方のやっているこの商売の方が儲かりそうです……

ですが、貴方が商品の一部を役所に渡しているのも見ましたが?

聡明な商人

それはまた別の商売だ。

役所の人間も、上に報告せねばならんだろう。

ジー

このような商売をして、役所からうるさく言われたり、茶商たちから恨みを買うのが怖くないのですか?

聡明な商人

それは彼らにしてみれば、割に合う商売ではないからな。

もし私がいなくなれば、茶商はおとなしく税金を納めるか、リスクを冒してまた別の輸送ルートを探すだけ。

役所は私がいなくなったら、こうした密輸業者の情報をまた集めるのにどれだけの金がかかる? あるいは、役人の圧迫で一揆が起こり、それを鎮圧するのにどれだけ金がかかる?

ジー

三方よしの商売、確かに得難いものです。

聡明な商人

尚蜀に滞在してしばらく経つが、ここの料理もそろそろ飽きてきたな。商売は他の奴に任せて、我々は東へ行くとするか。

ジー

東へ行って、何の商売をするのですか? 鉱物? それとも水運ですか?

聡明な商人

稼げるものがあれば、そいつをやる……今回は、主に里帰りだな。

ジー

……

聡明な商人

前にこう聞いてきたろう。どの場所においても適用できる真理はあるかって?

天下熙熙として皆利の為に来る。天下攘攘として皆利の為に往く。

法理道徳、信仰名誉、帳簿に書けぬものなど世にはない。

ジー

……勉強になります。


見てきたものはいずれもそうだ。

私は少し分かったような気がする。

ジー

姉さん、私は一つ勘定をしました。

長年に渡って我々兄弟姉妹たちはこの炎国で過ごしてきましたが、各々の帳簿の損益はいかがでしょうか。

チョンユエ兄さんは己の道を見つけましたが、どこまでいっても世に受け入れられませんでした。愛せず、憎めず、関りを持てず、損でしょう。

リィン姉さんは逍遥自在。この天地は彼女を縛ることができず、自在の楽しみがある。益でしょう。

それと妹たち、全てを見通しているとも思えませんが、大した悩みがなく、益でも損でもありません。

望(ウァン)兄さんについては……いずれにせよ、ジエ姉さんが死んだ。誰がどう言おうと大損です。

我々一家と炎国人は千年付き合い、彼らに指図をされてきました。勘定をしてみれば、我々にとって何の利もありません。

……最たるは、貴女です、姉さん。

貴女は本当に少しの利害損得も考えたことがないのですか?


ジー

取って代わる?

ウァン

そうだ。

復讐のため、そして我々のため、ある結末に賭ける。

ジー

……どのようにして、そんなことを?

十二分の一が、どうしたら一に勝てるというのです?

事が成る公算がどれほどか……貴方は自信があるのですか?

ウァン

長考したが……

碁盤の縦横十九路、手は読み尽くした……黒番先手コミ七目半ではわずかな勝機もない。

私一人では、確かに難しいだろう。

だからこそお前の助けが必要となる。

もし、まだ少しばかりの可能性があるとと言ったら。この道しかないと言ったら。

お前は、己のすべてを賭す気はあるか?


ジー

しぶとく追ってきますね。

ズオ・ラウ

ご自分が行っていることの説明をしてください。

ジー

ズオ公子は、どのような説明を望んでおられますか?

ズオ・ラウ

悪魔を扇動し民草に危害を加え、国家の施設を奪い取った。また、他の代理人の謀殺も行いました。

あなたの行いはウァンの罪を超えていると言えるでしょう。

ジー

それらの罪状についてはいくつか異議がありますが、ズオ公子はどのようにされたいので?

ズオ・ラウ

その布を差し出し、司歳台の監視のもとで都へ戻りなさい。

ジー

貴方の言う通りにしたら、私は何が得られますか?

ズオ・ラウ

判決を待つ機会です。

ジー

残念ですが、その価格ではお受けしかねます。

ズオ・ラウ

炎国を敵に回すつもりですか?

ジー

たとえそうだとして、あなたに何ができるのですか?

ズオ・ラウは一歩前に出て、剣を抜いた。

ジー

……

ニェン

一般人をいじめて、楽しいかよ?

ズオ・ラウ

あなたたち――?

ニェン

ここまで追ってくるたぁ、やるな。オメーのことちっとは見直してやらないとな。

だがこっからは家族の問題だ。少しばかりプライベートな話をさせてくれ。


ジー

「心臓」から抜け出すのが予想より少し早かったですね。どうやら私の妹たちの精神も随分と成長したようです。

シー

まるで私たちの仲が良いみたいな物言いはやめてくれるかしら。

ニェン

あれが試練だとでも言いたいのか? てっきり殺すつもりなのかと思ったぜ。

ジー

まさか……

ニェン

オメーがこんだけ長い間鳴りを潜めていたのは、この布を織るためだったんだな。

炎国の「国祚」で服を織るとは、大したもんだ。

ジー

彼がアレに会いに行く前に、これが必要ですから。

炎国各地を歩き回り、最終的に大荒城を織り込むと決めた時はやはり少し名残惜しかったです。

シー

貴方たち、やっぱり通じていたのね――

まさかあいつはもう準備ができてるの……?

ニェン

もっと早くに気づくべきだった。オメーこそあの囲碁バカと一番話が合うってな。

この布をこっから持ち出すことが何を意味するか分からねーとか言うんじゃねーぞ。

これは、炎国に対する明らかな宣戦布告だ。

ジー

だったら何です?

ニェン

ジー兄、ぶっちゃけ、兄貴と姉貴の中でもオメーのことは結構好きなんだぜ。なんとなく二人だと良いアイディアが生まれそうな気がするからな。

昔、オメーに連れられてシーの偽物の絵を売って回った時も手伝ってやっただろ?

シー

そんなことしてたの!?

ニェン

けど悪いな。今回は、私ですらやりすぎだと思うぜ。

ジー

残念です。

見る限り、シーもこちらの味方についてくれないようですね?

シー

寝言は夢で言いなさい。

ニェン

もう数百年も三人以上でホームパーティーをしてなかったのに、まさか最初にやるのが殺し合いしてた頃に戻ることだなんてなぁ。

なんだよこれは。苦い過去を懐かしむってか。

ジー

平和的交渉で解決できるのなら、私とて手を出さずに済むことを望みます。

妹に対して、なぜ手を下せましょう?

ニェン

おいおい、デカイ口を叩くじゃねぇか。そもそもな。二対一だろ、オメーの勝ち目はあんまねーぞ。

ジー

ではやってみるしかありませんね。

今回は、たとえ当時の大討伐の軍隊がここにいたとしても、私を止められませんよ。