約束されざる地UR-3・戦闘前落下保護
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ウルサスサーミカジミエーシュクルビアボリバルリターニアヴィクトリアイェラグシラクーザサルゴンミノスラテラーノシエスタ
ウルサスサーミカジミエーシュクルビアボリバルヴィクトリアイェラグサルゴンミノスシエスタ

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約束されざる地 UR-3・戦闘前

落下保護

ヴァエラ

ご馳走様。

アンズーリシック

遠慮するなって。今時バンシーに会えるだなんて、嬉しいくらいなんだから。

ヴァエラ

嬉しいとは、また何故?

アンズーリシック

これで一応は知り合いになっただろ。もし俺やうちの家族の寿命が尽きたら、挽歌を歌ってもらえるよう頼みやすいじゃないか。

ここんとこ、カズデルは相変わらずだが、バンシーは滅多に来なくなったからな。

あんたらに導いてもらわなきゃ、死んだ同胞もサルカズの魂の元にたどり着けなくなっちまう。

ヴァエラ

ごめんなさい。

できる限り……全力を尽くすわ。

アンズーリシック

あはは、冗談だよ。こっちに来たのはそちらの「止まり木」とやらの病気を治すためだろ?

これがその枝なのか?

ヴァエラ

呪文での解析を試みたのだけど、枯れた原因が分からずじまいで。

幸い、友人が草木に詳しい土石の子がいると、あなたを紹介してくれた。この木はバンシーの一族の生活の依代なの。どうかぜひ――

アンズーリシック

もちろん手伝うさ。待っててくれ、土の用意を……

手が空いてるなら、庭の方から盆を取ってきてくれないか? 何羽か野菜を盗む羽獣がいるかもしれないけど、追い払えばいいから。


ヴァエラ

「散れ。」

驚いた羽獣が四方へと飛び立って行ったが、ボロボロの菜園はまだ静まらなかった。一株の野菜の苗がヴァエラの目の前で激しく揺れている。

その後、埃だらけの葉っぱの間から枝のような尖った黒い角がゆっくりと浮かび上がった。

ヴァエラ

「野菜を盗む羽獣」……ねぇ?

???

あっち行って。さもないとその頭捻り落すから。

ヴァエラ

そんな風に声を荒げて人を驚かすのは、喉によくないですよ。

大丈夫、怖がることはない。子供を傷つけるつもりはないからね。

幼いバンシーは葉っぱの後ろから顔を出し、無意識に半分齧った野菜の葉っぱを背後に隠した。

幼いバンシー

私の野菜を狙うのも禁止。

ヴァエラ

……それが本当に「あなた」の野菜ならね。

幼いバンシー

何を持っているの?

ヴァエラが反応できた時、幼いバンシーはすでに彼女の手から止まり木の枝を奪い取り、苦労して口を大きく開いてそこから何か齧りとろうとしていた。

幼いバンシー

ペッ。泥に生える普通の枝じゃない、腐ってるし。

ヴァエラ

お腹が空いたのかしら? 少し待って……霧の湖の畔に生えるツユノサカズキソウが成熟したばかりで、旅立つ前に少し摘んでお菓子にしたのがあるわ……

幼いバンシー

死体から食べ物を探す方が安全だし。付きまとわないでくれない?

(威嚇の唸り声)

ヴァエラ

……

幼いバンシー

……怖くないの? 図体の大きい傭兵たちもこの声を怖がるのに。

ヴァエラ

それはバンシーの、私たち一族の声なのですよ。

バンシーの曲でその音符を聞かなくなって久しい。前にそれを歌った者は、数年前にもう……

……あなたがあの子供なのですね。

幼いバンシー

この声を教えてくれた人を、知っているの?

だけどきみには会ったことがないよ。

ヴァエラ

私たちはもうめったにカズデルに来なくなったのですよ。遠い河谷に住んでいます。大きな木がいっぱい生えて、果実がいっぱい生るところです。

幼いバンシー

ご飯を食べるのは大変なんだよ。殴られなきゃいけないから。

きみが言うような場所があって、果実がタダで生るんだったら……その代償って何?

ヴァエラ

……聡い子ですね。

あなたは、私と一緒に帰ったほうがいいのかもしれませんね。あそこにいるべき子なので、きっと気に入ると思いますよ。

たとえその存在を信じていなくても。

幼いバンシー

なんで信じなきゃいけないの?

ヴァエラ

あなたの名前は……ナスティ。そうでしょう?

ナスティ

――!


ヴァエラ

あの方向に……バンシーの気配が? それと……何かが、枯れて、腐ってゆく?

おやめなさい……ナスティ、あなたは……

また同じ轍を踏むつもりなのですか?


パークの警備員

ゴードン長官、ライン生命の一般人員はすでに全員生態研究園から退出しました。ナスティとわずかな研究員が資料を整理していますが――顔色がかなり良くありません。

ゴードン

ずいぶん嬉しそうだな? 俺たちの本来の計画だと生態研究園そのものを乗っ取るはずじゃなかったんだぜ。

パークの警備員

長官が言ったじゃないですか。あのガイドはバンシーを知りすぎている、今日のチャンスに乗じてそいつがナスティと親密に繋がっていると嘘をついて、身分を偽ったことを暴けば――一挙両得だと。

もともと緻密とは言い難い計画でしたしね。生態研究園で事故が起きた今となっては、ちょうどいい成り行きに乗っかってライン生命の点検を止められるじゃないですか?

ゴードン

成り行きだと? じゃあ言ってみろ、あのクソったれなガイドはどこに行った!?

パークの警備員

それは……

ゴードン

ナスティの能力と普段のやり方を考えると、生態研究園でこれほどの失態を起こすとは思えねぇ。しかもエキスポが開幕間近だ、奴はリスクのある事にライン生命の展示品をぶち込むわけがねぇ。

パークの警備員

あのガイド……警報音が鳴る前にいなくなってました!

ゴードン

絶対あいつが何かやったんだ。

研究員を何人か追い出しただけじゃ足りねぇんだ。ナスティは、多分すでに俺の計画を見抜いていて、後は証人と証拠が足りねぇだけだろうよ……みすみす自分から己の弱みを渡してたまるか。

手下どもに知らせろ。日が暮れるまでに、必ずフェルネを見つけ出せ。

パークの警備員

はっ!


フェルネ

落ち着いてフェルネ、もしかしたらお客さんが自分で抜け出したのかも……

なわけないじゃん。あの人、自分が「プロペラパラダイス」に来た理由すら忘れちゃったってのに、今更どこに行けるの?

だけど、自分でってわけじゃないとしたら……

???

ならば、誰かが連れ去ったということにしかなりませんね。

フェルネ

誰!

マーシア

フェルネさん。

フェルネ

どうして……ここに?


研究員

ボーっとするな! まずはエキスポ用の実験物を移植するぞ。残ってる苗はもうそれだけなんだ――

マーシア

たったの五分で……全て枯死?

マーシアは手を伸ばして、生態研究園中央にある枯れ木を撫でた。目が届く高さに、狭い一つの穴がマーシアの目を惹いた。

マーシア

自然にできた木の穴……ではなく、接続ポートでしょうか?

枯れてしまったこと、木の穴、設備には故障なし……教えてください、あなたに繋がれた「枝」は何? 今はどこに?

……

フェルネさん!


マーシア

その手の骨筆は、生態研究園の木からお持ちになったものですね?

質素で、簡単で、目立たない。よそ者ではそれが生態研究園運行の「鍵」であると認識できない。あなたはわざと破壊を行ったわけではないのでしょう。

フェルネ

……ゴードン長官の警備員はもう外にいるんでしょ?

マーシア

私しかおりませんよ。フェルネさん、生態研究園の事故の責任を負うべきなのがあなただとは思えないのです。

フェルネ

どういう意味……?

マーシア

まだ全ては検証できていませんが、おそらく、理由もなくバンシーのお客様を助けると了承した時から、ライン生命への対抗計画、あるいは己のために利益を得ることを考え始めたのでしょう……

フェルネ

自分の上司のことを疑うの? でもあの人、クルビアはお人好しを悪いようにはしないって言ってたのに。

マーシア

同時に、クルビアで一番扱いやすいのもお人好しだ、とも言っていました。

フェルネ

じゃああたしのお客さんは……

マーシア

長官のオフィスエリアの外には特殊な「VIP室」が一列並んでいます。そちらを確認していただければ。

あなたのお客様がただ外の空気を吸いに出かけただけだということを、切に祈っています。

フェルネ

……


スカイ

なんてことだ、絶対ゴードンのやつが何かやったんだ!

初めはチェックリストの調整で、次は生態研究園を潰してライン生命の展示エリアを封鎖、今度は何だ、俺たちを「プロペラパラダイス」から追い出す気なのか?

ナスティ

我々のハードウェアには何も問題がなかった。

スカイ

あいつはあなたの骨筆を人を遣って盗ませました。

ナスティ

奴のやり方ではないな。

スカイ

強盗のやり方なんて考えたって無駄ですよ。

役人風を吹かしてる時以外、あいつは俺たちと全く違うルールの中を生きているじゃないですか――このパークの企業がどれもそうしてるみたいに。

我々は阻隔層に一番近い人間です。その他大勢とは違うんです。

淘汰されたテクノロジー企業なんて無数にあるのに、登録窓口には滅多にクレームなんて届きません。理由は自明です。

サイエンスパークの誰もが共通の認識を持っているからです――天空へと駆け上る時代では、より高みに立つ者が、より尊重されるべきだと。

ゴードンが意図的に我々の実験を阻害したことは、すでにパークの基本的な共通認識に反しています。ならばあいつは……

ナスティ

ルールに縛られたくないのに、そのルールを利用したいか。

君のその発言は、ライン生命がそこまでの高みに立つほどに至っていないことを十分証明している。

スカイ

なにを……

ナスティ

皆、手元の仕事を一度止めてくれ。今日の事故を受けて、今後の予定を皆に知らせよう。

培養チームの研究員数名と繰り返し確認したが、生態研究園にあった七十二株の移植待ちの喬木と三百五十株の植物の苗、そして千近くの芽生え中の種がすべて枯死した。

パークの警備隊が生態研究園事故の調査を全権担当することになった。調査期間はまだ未定だが、エキスポ開始前に生態研究園を元通りすることはほぼ不可能と言い切れるだろう。

古株の研究員には私と共に事故報告書の整理をしてもらうことになる。他の同僚諸君は短い休暇を楽しんでくれ。他に何か質問はあるか?

スカイ

ナスティ主任、前にこの生態研究園は我々の一番大事なプロジェクトで、リングラボがフィードバックしたデータが凝縮した成果だと言ってましたよね。

つまり、我々は星の庭の最後の遺産も守れなかった、ということですか?

ナスティ

……

解散だ。

スカイ

……


フェルネ

オフィスエリアの外のVIP室……ここね。

マーシアさんだって疑ってるだけだし、それだけでゴードン長官がアレだって決めつけるのは……お客さんを見つけられたら、それだけで十分だから!

???

……また逃げやがって、ぶっ殺すぞ!

フェルネ

部屋に誰かいる?

パークの警備員

*クルビアスラング*一日中ぴーぴー泣きやがって、エキスポ終わりまでおとなしく閉じ込められとけばいいだろ?

頭が痛い。タバコ吸ってくるか。

フェルネ

……


オークリー

長官、頼みますから出してください、ゴードン長官のミスを言いふらしたりしませんから……

フェルネ

オークリー? なんであなたがここに? ちょっと、目を開けて!

オークリー

偽物……

フェルネ

失礼ね、フェルネって呼んで。

ゴードン長官があなたにすっごい多くの補償金をあげて、きちんと扱ってあげるって言ってくれたのに、なんで……

オークリー

閉じ込めるだなんて、客への扱いじゃないだろ?

そもそもお前が俺の身分を偽らなければ、こんな事にはならなかった!

フェルネ

は? あなたがあの夜、鼻水垂らして泣きながらあたしに端末番号と履歴書をもらって―ってお願いしたんでしょ、俺には愛が足りないとか言って、あと――

オークリー

やめろ、それ以上言うな!

はあ、ついてないな……よそ者が安全権限レベルの高いサイエンスパークに紛れ込んだのは重大な過失だから、俺の口を封じようとしているんだ。

むしろお前だよ、さっきまで警備員が、ゴードン長官が今日面倒ごとばかり引き起こす偽物を処分するって言ってたのが聞こえたのに……逃げ出したのか?

フェルネ

……そういうことね。

オークリー

はあ、俺たちってもう生きてここから出られないのか? 未来の生活がどんなものかを見るためだったというのに、もう未来そのものが見えなくなりそうだ……

フェルネ

ねえ本物さん、あたしのツアーに参加しない?

オークリー

なんて?

フェルネ

あたしは誰にもバレずに紛れ込めたんだよ、当然あなたのことを無事に送り出すことだってできる。

オークリー

お前がか……?

パークの警備員

クソッ、タバコで一服した間に、部屋にまた人間が一人湧いて出てきやがっただと?

いいだろう、全員ここに残りやがれ!

フェルネ

あはっ、平穏に済ませそうにないね……

オークリー

に、偽物、さっき言ったのはまだ有効だよな? そのツアー団体とやらに入るから、さっさと連れてってくれ!

フェルネ

やった、絶対後悔させないよ。あたしはボーンヤードだって三回も出入りできたんだから――

オークリー

いいから、まず目の前のデカブツをどうにかしてくれよ! ちっ、俺は手がまだ縛られてるし……

フェルネ

安心して。お客様の手を煩わせるようなガイドは三流だよ。

テステス。本日はフェルネツアーへのご参加、誠にありがとうございます。ここでちょっとしたお知らせですが、今から少々騒音が鳴り響きます。

なので耳を塞ぐか、少々あたしから離れておいてください。では、出発いたします――

パークの警備員

ぐおっ……

フェルネ

早く!

パークの警備員

*クルビアスラング*追え! 一人も逃がすな。