局部壊死 6-5・戦闘後
誰を殺る?
同時刻 スラム区画のとある場所
慌てるな! 落ち着いて話せ!
で、でもみんな……同胞たちがみんな、死んじまったんだ!
何があったんだ? 一体何が!? 俺たちは何も見てねぇ! 何も見えなかったのにこんなことに!!
ぐはっ!
状況、報告しろ!
......
……
報告をっ!
……ふぅ。
何者だ!
……この匂い、惑わされるな! 仲間はまだいる!
私の指示を聞け!
あああ! あ、赤いやつだ!! そこにいる!! 赤いやつだ!!
アイツを静かにさせろ!
……(人ならざる笑い声)
お、俺……ウルサスに帰りたい……
幽霊が! 化け物がいる! 女の影を二つ見たんだ!
ぐ、ぐうぅ!! もうイヤだ! 帰りたい、帰らせてくれ!
クラウンスレイヤー、俺たちはこんな所に来るべきじゃなかった!
おいどうした、返事をしろ! 早く!
スラムの複雑な地形に惑わされるな! 私たちは安全なはずだ!
(濃霧を放ったというのに、なぜ私たちの位置がバレたんだ?)
残存している、あの裏切り者の場所を、特定した。
彼女は龍門にいる。彼女を殺し、お前の名を誇示しろ。そして敵に恐怖を与えてやれ。
……!
仇の首を取ったら、その後何をすべきか考えろ。本当の敵が誰か、忘れるな。
——誰だ!
あいつに繋ぎなさい!
恐れ入りますが、ミス・スワイヤー、どなたのことでしょうか?
あいつって言ってんでしょ!!
あの、あいつとは?
(誰のことを仰っているのでしょうか?)
(もしかすると、あの人かもな……)
ピンク髪の下水道生物よ! 100800-00200-rct211-93001! この番号にかけなさい、彼女の電話よ!
(こんな長い番号……どうやって覚えたんでしょうか!?)
(……この番号、少し覚えがある。例のお宅のお嬢さんか?)
アンタたちまだなにコソコソやってんのよ!
もしもし。
ちょっとネズ公! 今何してるの? あんたじゃないでしょうね!
……どうして私を疑うの?
あんたじゃないならいいわ。はぁ、心配して損した……
......
……
待って、その反応、まさか心当たりでもあるの?
特殊部隊のことなら、確かに私ね。
……
リン・ユーシャ、今のはあたしの聞き間違いよね、そうよね?
近衛局には近衛局のやるべきことが、私たちには私たちのやるべきことがある。
ウェイは、あなたたちに龍門の秩序を守る事を命じた。そして私たちには、龍門に必要のないものを消し去る役目がある。
あの部隊が、スラムで何をしているか知ってるの?
あなたたちのために、レユニオン抹殺の手伝いをしてるんでしょ。
スラムはやっとの思いで作り上げられた緩衝地帯なのよ。あんたの父親が心血を注いでようやく完成させたのに!
そう、あんたの父親の努力がなければ、今の龍門がここまで成長することだってなかった!
彼らの目的を知ってるの?
あんたたちはもう話がついてるんでしょ。スラムはこの龍門でレユニオン最大の潜伏区域であり潜入経路でもあるとか言って、この機会に全部破壊してしまうつもりでしょ!
ねぇ、そうなんでしょ!
あたしたちは今ロドスと共同戦線を張っている。あんたの手助けがなくても、レユニオンなんか全然相手じゃないわ! 余計な手出しは不要よ!
また人が説明する前に勝手に推測して……
レユニオンはたしかに脆いけど、いち民間企業の戦力だけで解決できる相手でもない。
この都市の真の実力で脅威を除去することは、私のやるべきこと。侵入者に対抗するには必要不可欠なの。
その役目をロドスと私たち近衛局が担うって言っても、信じられないの?
ロドスのことは、とてもじゃないけど信用できない。それに、近衛局の手を汚させるわけにはいかないでしょう?
……手を汚すってなによ?
まさか、スラムにいる人ごと根絶やしにするつもりなんて言わないでしょうね。あそこはあんたの父親の全てなのよ。
破壊よりも、作り上げることのほうが何倍も難しいのよ!
ガラス一枚を割るには一秒もかからないけど、その一枚のガラスを作るのにどれだけの行程と時間がかかるか、あんたに分かる?
ねぇ、スワイヤー。
なによ?
いま市民たちが、商会が何を一番恐れているか知ってる?
だからこそあたしたちは今レユニオンと戦ってるんでしょ! そんなこと聞くなんてあんた、頭が錆びついてるんじゃない?
やっぱり何も分かってないのね。
まぁいいわ、ネズ公……あんたの言う通り、あたしは何も分かってないわ。なら、ご解説を賜われるかしら?
感染者は……ひっきりなしに増えている。市民が恐れているのはその感染者よ。それがレユニオンであっても、そうでなくても同じこと。
そういうことだから。あと、排水システムには近づかないことね。
えっ?
もしもし? もしもし!? ネズ公!!
*龍門スラング*! *龍門スラング*! *龍門スラング*! よくも切ったわね!! あたしの電話を!!
……
黒蓑たちはチェンと遭遇して仕方なく引いた……か。
困ったな、私はどうすればいいの……
……黒蓑たちはチェンを避けながら裏で仕事を進めるつもりかな。うん、それでいい。
お父さん、もしあの時のお父さんが今の私だったら、きっと同じようにするよね。
……私、何してるんだろう……
どういうこと? 何言ってるの?
……家畜たちの勢いが落ちている。
最初の攻勢は凄まじいものだったが……今は何が起きているのかわからない。いま偵察した限り、あいつらの増殖は打ち止めになっているようだ。
この戦術は確かに追手を押し止めるには一役買ったが、一番ダメージを受けたのは、始めにあいつらの襲撃を受けたレユニオンの部隊だ。
誰が僕の家畜を抑えてるんだ? 一体誰がそんなことを? 近衛局に……近衛局に僕の家畜たちが抑えられるはずないだろ!
だが俺たちの同胞は……
近衛局の戦術と装備を踏まえて計算済みなんだ。僕の家畜に対応するには、少なくとも二日はかかる計算だ。一体誰が僕の家畜たちを抑えたんだよ!?
黒装束の奴らだ。
隊長!
ファウスト!
お前たち、狙撃部隊を整えろ! 俺と他の小隊がメフィストの隊員たちを大量に引きつけた。もう少しでここに来るぞ!
……なぜそんな事を?
彼らが集まれば、近衛局の足止めができる。
ファウスト、ファウスト……怪我はしてない?
(どうしてさっきは急にここを離れたの?)
……そうする必要があったからだ。
でもこんなにたくさんの同胞を連れてきてくれて助かったよ。彼らの力を使って近衛局に対抗するつもりだろう?
彼らは僕たちには攻撃しないけど、僕の指揮を直接聞いてくれるわけでもない。ちょうどそれで悩んでたところなんだ。
でも今の数じゃまだ足りないかもしれない。
僕たちには、もっとたくさんの同胞の力が必要だ。近衛局の連中を倒さないと、撤退なんてできないだろうし。
うーん……
メフィスト、もうあのアーツは使うな。
でもファウストは前に言ったじゃないか。「生きていこう」って。それが一番大事なことじゃないの?
……じゃあお前はどうして……
……
近衛局ビルで、どうしてあの怪物の為に死ぬなんて言ったんだ?
お前たち。
ああ。
……こいつを拘束してくれ。