価値のない勲章 幕間
価値のない勲章
すみません! こっちを向いてもらってもいいですか?
今こうして沈黙を貫いているのは、それが政府からの見解だと解釈してよろしいでしょうか?
……
カメラから逃げようとしないでください。
あなたは以前からこの件の内情を知っていたのですか?
ぼくは……
ジャッキー警官。
証拠は揃ってんだ。はっきり答えろ!
少し前
おおっ!
ジャッキー、ここにいたのか。ずっと探してたんだぞ。
うわあー!
……
ジャッキー、ちょっとテンション高すぎじゃないか……
ごめんごめん、平気だった?
ケガしてないよね?
平気だよ。俺より自分の心配をしな。
人助けをしたヒーローが表彰式直前にケガなんかしたら、カッコ付かないだろ?
えへへ……
まったく、服もシワだらけじゃないか。
あっ、大丈夫大丈夫。
ほら! これでバッチリでしょ!
……
またどこに行ってたんだ?
へへ、実はこっそり会場を覗いてきたの。たくさんの人が忙しそうにしてたよ。
だからついでに機材を運ぶのを手伝ってきたんだ。
裏方の手伝いまでやってたってのか?
うん! すっごく重たかった!
それでね……表彰台の上に立った時、いつも父さんの授賞式に参加してたことを思い出しちゃって。
まあ、ぼくは毎回ステージ下に座って、父さんを見てるだけだったけどね。でも、周りの誰よりもいっちばん大きな拍手を送ってたんだ!
だから父さんはきっといつもぼくがどこに座っていたのか、すぐに見つけられたと思う。どんなに真面目な表情をしていても、ぼくと目が合うとこっそり微笑んでくれて……
ジャッキー、どうかしたのか?
今度はぼくがステージに立つ番なんだよね……
父さんが任務中で、見に来られないことだけが残念だなぁ。
だけど、お父さんはきっとジャッキーのことを誇りに思うはずだ。
うん!
授賞式がどんな様子だったのか、今度父さんに会った時にぜーんぶ話してあげるんだ!
そうだ、ちょっと来てくれないか?
政府側の担当が、会見前に確認しておきたいことがあると言っていたんだ。
うん!
あの日、危険かつ切迫した状況であったにも関わらず、ためらうことなく現場に突入し、多くの人を救出してくれた……
その行動力と正義感に本当に感服いたします、ジャッキー警官。
えーと、実はぼく、前はただの補助警官で……
心配いりませんよ。あなたの状況はすでにロドスに連絡し把握をしております。
もちろん、鉱石病についてもです。
そっか……
念のための確認ですが、ロドスからご提供いただいた鉱石病の検査結果に間違いはありませんね?
ええ、ロドスは全てのオペレーターに対し念入りな診断を行っております。
検査報告書の正確性に関しては保障いたします。
ははっ、私個人としては、体の表面に明らかな痕跡さえなければ、問題はないと思っているんですがね。
それに、仮に誰かがこの件について批判をしたとしても、ちゃんと対策をしております。
対策?
かの若き警官は休暇中、外出先で突発的な事故に出くわし、市民を救出する過程で不幸にも鉱石病に感染してしまった……
そのように対外的に説明いたします。
でも、そんなことしたら……
……
それはあくまでも最悪の場合になったらの話だ。もちろん、どんな小さなトラブルだって起こらないのが一番に決まってる。
何はともあれ、我々にとってジャッキーさんはクルビア警察の誇りです。
お父上と同じようにね。
えっと……父さんと比べたら、ぼくなんて全然だよ。父さんこそが本物の警官なんだから。
でしたら、これはジャッキーさんにとって絶好のチャンスではありませんか?
自分もお父上と同じようなヒーローになれるんだと、本人に証明できるんですよ。
……
こちらの書類に目を通しておいてください。
「現場に踏み込んだ瞬間、ご家族のことが頭によぎりませんでしたか……」
「お父様も警官だと伺っておりますが、ジャッキーさんの今回の行動についてどう評価していましたか……」
「お身体の加減はいかがですか? 今後の生活や仕事に影響は残るのでしょうか……」
どの質問もここに書いてある通りに答えなきゃだめなの?
でもそれって……
納得がいかないのはよく理解できます。ですが――
メディアの前でベストの印象を残さないと、お父上ががっかりされてしまうかもしれませんよ。
そうは思いませんか、ジャッキー警官?
警官……
ええ、そうです、ジャッキー警官。
それがあなたの肩書きなのです。
今回の表彰式は、政府や警察の輝かしいイメージをアピールするためだけにあるのではありません。
あなた個人の栄誉を示すものでもあるのです。
それは回り回って、あなたのお父上の栄誉となります。
……
分かったよ!
えっと、それじゃあ、ちょっと身支度してくるね。
うまくやるから、任せておいて!
それから、会見の前に今回救出された方たちの代表に会っていただくことになっております。
助けていただいたジャッキーさんに大変感謝しており、表彰式の前にどうしても直接お会いしたいとおっしゃっていたので。
了解!
よし……顔の汚れ、全部取れたよね?
ジャッキー、これだけはどうしても言わせてくれ。
政府からロドスへ対して、君を警察隊に復帰させたいといったような要求は今のところ出ていない。
だからあの人が何を言おうと、これはただの宣伝で終わる可能性が高いんだ。
……
服は変じゃないかな? 後ろのほうも大丈夫?
いい感じだよ。
ジャッキー、俺の話を聞いてたか? 緊張しすぎだぞ。
うん……でもぼくが今回初めて表彰台に立つのに変わりはない。
どうしてかは分からないけど……
父さんも絶対に見にきてくれるような気がするんだ。
もし言っちゃいけないことを言っちゃったり、変なことをしちゃったらどうしよう! すぐに父さんにバレちゃう。
でもステージの下には色んな人が座ってるから、ぼくには父さんがどこにいるのか分からないし。
ぼくが変なことしちゃったら、父さんはどんな顔をするのかな……
がっかりしちゃうかな……
……
ぼくはまだ、警官という身分に釣り合っていないのは分かってる。
だから警察隊に戻れなくたって構わないんだ……
……
さっきの書類、もう一回見せて!
やっぱりぼくは最高の自分をステージの上で披露したいよ。本当に父さんが下で見てくれているような気持ちでね!
こんにちは。ジャッキー警官ですか? スタッフの方からあなたがここにいるとお聞きしたんです。
お忙しいところ申し訳ないのですが、会見前に単独インタビューをさせていただくことは可能でしょうか? お時間は取らせませんので。
あっ、こちらが私の名刺です。申し遅れましたが、私は……
すみません、今ちょっと立て込んでおりまして。
会見にて質疑応答の時間を設けておりますので、取材はそちらでお願いします。
すぐに終わりますから!
さっき書類がどうとかおっしゃっていましたよね? それってその冊子のことですか? すみません、わざと盗み聞きをしたわけじゃないんです。
ただ大事な用件がありまして。
本当にすみません。
ジャッキー、行こう。人を待たせてるんだ。
あっ、ちょっと待ってくださいよ!
ごめんね!
会見の時にちゃんと答えるから!
……
(ぼくは出会ったすべての人に父さんの武勇伝を聞かせてきた。父さんはすごい人なんだ! 悪いやつを捕まえるのも、人助けも、父さんにかかればお手のものだって。)
(ニュースも新聞も、父さんは警察のお手本だっていつも報道してたしね! でも父さんはぼくが自分の記事や写真を持ち歩くのは嫌いみたい。)
(父さんが助けた人もほとんど会ったことある……)
(みんな父さんを訪問しては、ぼくにお父さんのような立派な警官になってねと言うんだ。その時、父さんは決まって、この子はまだ補佐警官だから、まだまだ学ぶことはたくさんあると返してた。)
(そういえば、父さんがもらった勲章を直接見たことは一回もないんだよね。どうして家に持って帰ってこないんだろう?)
(だから、今日ぼくがもらう勲章は、家に飾られる一番最初の勲章なんだ!)
ジャッキー警官! そうですよね!
えっと……
やっぱりそうだ! 見間違うはずがありませんよ!
でもジャッキーさんは俺のこと分からないでしょう? あの時はみんな灰を被って顔が真っ黒に汚れてましたからね、あははは。
あっ! きみか!
車椅子、押してあげるね!
いえいえ、お気遣いなく。もう体力もかなり回復してきてますし、ほら!
それでもまだ無茶しちゃだめだって。 ぼくに押させて!
ははっ、分かりましたよ。
本当にありがとう、ジャッキー警官。
えへへ……
うん!
市長、こちらに目線お願いできますか?
すみません市長、も一枚いいでしょうか?
……
そちらの警官の方、もう少し市長に近寄っていただけますか?
お二人のツーショットが撮りたいんです。いいですね、ありがとうございます。
……
もう少しそのままで! 警官さん、もう少し背筋を伸ばせますか?
それと服も整えてくれますか? お願いします!
……
ジャッキー警官、あの日現場に踏み込んだ瞬間、ご家族のことが頭によぎりませんでしたか?
……
現場の危険性については、ジャッキー警官はこの場の誰よりも理解していたはずです。
一瞬でも突入するのを躊躇したりしなかったのでしょうか?
ぼくは……
ははは、ジャッキー警官は酷い事故を経験したばかりなんです。それに、表彰台に立ったのは初めてなんですから、さぞかし緊張していることでしょう。
だから皆さん、そんな風に詰め寄らないで、質問はひとつずつでお願いしますよ。
そういえば、ジャッキー警官のお父上も優秀な警官でしたね。彼もここで表彰を受けたことがあるんですよ。
今のあなたと同じ、緊張でずいぶんと落ち着きがなかったっけ、はははっ。
あっ、ぼくもまだ覚えてます! もう何年も前なので、ぼくが小さい頃のことだったけど。
あの時、父さんはまだ地方警察に配属されていたごく普通の警官でした。
父さんはあの時、勤務中で……
ジャッキー警官?
はい!
ぼくはただ、警官としての務めを果たしただけに過ぎません。
あの時は一刻を争う状況でした。ためらっているヒマなんてなかったんです。閉じ込められている人たちにとって、ほんの一秒の迷いですら命取りですから。
現場に踏み込んだ瞬間は――
確かに父さんのことが頭に過りました。でも、そのほとんどが父さんからの励ましと……期待の言葉だったんです。
そのおかげで、閉じ込められている人たちを絶対に助け出すぞと、さらに決意が固まったんです。
お父様のことが話題に挙がりましたが、ジャッキーさんの今回のご活躍についてどう評価していましたか?
父さんは今この瞬間も、警官として現場で奮闘を続けています……
だから、今日この場に来られないのがとても残念ですが――
父さんはきっとぼくのことを誇りに思ってくれてるはずです。
では、ジャッキーさんが警察に入ろうと思ったきっかけもお父様ですか?
警官として誰かを助けることで、お父様に自分を証明したかったのでしょうか?
うーん……
ぼくが誰かを助けるのは、警官だからではありません。
父さんも同じです。父さんは……
コホン……
あのぉ……
すみません、発言いいですか?
ジャッキー警官にしろ、彼女のお父様にしろ、一番大切なのは二人のような精神が警察内で受け継がれていることです。
俺たちのような一般市民にとっても、それを知れてとても安心しました。
それと、命を救ってくれた恩人と直接お会いする機会を設けていただけるなんて、市長には感謝してもしきれません。
とんでもない。こちらこそ、そう言っていただけて光栄です。
そして、この精神は警察だけでなく、政府の各機関にも受け継がれていかなければいけないことです。
役所に所属する全員が、心より公民のために働き、人々の模範、そして守護者になっていければと願う所存であります。もちろん、私自身もね。
ジャッキー警官、ツーショットが撮りたいので、もう少し近寄れますか?
……
警官さん、ほらもっと笑って。
……
ジャッキー警官!
ジャッキー警官!
ジャッキー警官!
もう大丈夫だ。ここならバク転しても誰にも見られない。
よっと!
(深呼吸する)
平気か?
わ、分かんないけど!
つまり、最初から全部決まってたってこと?
父さんも同じだったの? あの人たちの言われた通りに……
ジャッキー、これはただの宣伝なんだよ。
君に無理やり押し付けた肩書きも、質問の回答内容も、全部彼らが企画した宣伝に過ぎないんだ。
君はこんな形で自分を証明する必要なんてないよ。ジャッキーが正義感のある優しい子なのは、ロドスのみんなが一番よく分かっているんだから。
君のお父さんが本物の英雄だってこともね。
もし本当にもう限界なら……バックれたっていいさ、別に。
あとの処理はロドスのほうで済ませる。
……
だめ! ここで逃げるわけにはいかないよ!
宣伝とか栄誉とか、そんなことはどうだっていいんだ。
ぼ、ぼく……やれるよ! ほんとだよ!
だったら何をそんなに気にしてるんだい?
「娘や市民の模範になれるような、真の警察官になることが私の目標です」
ぼくがステージ下で聞いた言葉は……
父さんの……本心だったのかな? 父さんは本当にぼくにそう伝えたかったの?
それでも……
君が誰かを救ったのは紛れもない事実だよ。
彼らの本当の意図がなんであれ、あの勲章は君が受け取って然るべきものだ。
うん……
ステージに戻るか?
うん、戻ろう!
私は全政府機関及び全警察……
ひいては生還者たちとその家族を代表し……
この場で、今回の救助活動において勇気のある素晴らしい活躍を見せてくれたジャッキー警官に、勇敢勲章を授与いたします。
今後も政府や警察の模範的代表として、この街の市民の皆様に貢献していけること、そしてさらなるご活躍を期待しております。
ありがとうございます。
待った!
ひとつ質問がある!
誰だね君は!? 取材許可証は持っているのか?
ジャッキー警官――
あの日唯一現場にいた当事者であるあんたに聞きたい。この写真の二人に見覚えはあるか?
……
答えてくれ。
この二人は、現場で亡くなった犠牲者だよ。
助けようとはしたんだけど……
じゃあ、あんたは最終的に何人助けた?
四人……
その人たちはこの写真に写ってるか?
……分からないや。当時の現場はすごく混乱していたから、ひとりひとりの顔を気にする余裕なんてなかったんだ。
じゃあ、そこの代表者に聞こう。あんたはこの写真に写っている人たちに見覚えはあるか?
ありませんね。
ないだと!? 本当だな?
いい加減にしてください!
今すぐ警察に通報して! 許可なく乱入してきたそこの不届きものをひっ捕らえるのです!
おいおい、ちょうどそこにこの街を代表するヒーロー警官さんがいるじゃないか。彼女に俺を捕まえさせりゃいい。
そうすりゃまた大手柄を立てられるだろ?
貴様!
ジャッキー警官、彼を確保するのです!
……
さっきの話の続きを聞かせてよ。
フン、いいだろう。いつまで芝居を続けられるのか見ものだな。
今回の事故の被害者は七人家族だと報道されている。原因は一家の中で感染が最も深刻だった次男、そして市長によって行われた、口にするのも憚られる行動も一因となっているそうだ。
口を慎め!
政府は被害者の顔写真を公表していないが、俺は個人的にこの一家の写真を入手できた。それが今見せた写真だよ。
亡くなった被害者は二人、救出されたのが四人。そして事故の原因になったと思われる次男を加えればちょうど七人だ。
それなのに、そこの代表さんは写真に写っている人たちに見覚えはないと言った。あんたは自分の家族の顔すら分からないのか?
えっ!?
いや、その……
俺の家族はみんな無事だ! なんでそんなデタラメを言うんだよ!
きみは一体何がしたいの?
この人は大変な目にあって、命を落としかけたんだよ?
なんのためにそんなひどいことを聞くのさ!
あんたの隣に立ってるのは、免職された元警官だよ。ほら、そいつのプロフィールだ。
……
それとこれを調べている途中で、妙なことに気付いた。ジャッキー警官、どうしてあんたの記録は警察署のどこにもないんだ?
クレームも、表彰も、残業すらも一度もなかったというのか?
現場には多くの警官がいたのに、突入できたのは都合よく突然現れたあんただけ。
ああ、そうだった。あんたの父親も英雄なんだっけ? 英雄の娘も英雄になったんだな。
ハハハハ、こいつは話題になるぞ! なんていい宣伝材料だ! 市長の次の選挙での投票数アップにも、悪化の一途をたどっていた政府のイメージアップにもピッタリだな!
ぼくは……
あんたの父親は確かに優秀な警官だ。そいつは俺も認める。
だけど、あんたは本当にそうなのか?
……
あんたは本当に、警官なのか?
ジャッキー警官!
今こうして沈黙を貫いているのは、それが政府からの見解だと解釈してよろしいでしょうか?
……
カメラから逃げようとしないでください。
あなたは以前からこの件の内情を知っていたのですか?
ぼくは……
ジャッキー、すでにロドスにこの件の事実確認を要請しておいた。
ことが明らかになる前は発言を控えてくれ。
市長、今の話は全て真実なのですか?
彼の言ったことは全くの事実無根だ!
これは我らがヒーローに対するいわれなき中傷と侮辱です!
誰か! そいつを拘束しろ!
はやく!
……
なっ! ジャッキーさん!?
ジャッキー警官、一体何をしてるんだ!
その人を連れて行っちゃだめ。まだ聞きたいことがあるの。
みんなどいてよ!
俺に聞きたいことって?
実はぼくもね、今日一日ずっと何が起きてたのかよく分かってないんだ。
ぼくはただ、自分が助けた人が無事な姿でここに来てくれたのが、すごくうれしかっただけ。
だけどきみは、そこにいる生還者代表が偽物で、全部初めから決められていた演出だって言ったんだよね?
違うのか?
あの日の事故は絶対に演出なんかじゃない。これは確信をもって言えるよ。
ぼくが助け出した人たちも……不幸にも現場で亡くなった人たちも……
偽物のはずがないんだ。
だから、本当にぼくが助けた人たちはどこにいるの?
知らないな。
どうして?
俺が知ってるわけないだろ。逆になんでここに来てないのか、こっちが聞きたいくらいだ。
俺じゃなくて、全てを仕組んだあいつらに聞くべきじゃないのか?
……
俺は何も知らないぞ! だから俺に聞くな!
……
市長、これは一体どういうことなんですか!
ジャッキー警官。
あなたはすでに一線を越えてしまっている。これはあなたが関与すべきことじゃないんですよ。
今の自分の立場をよく考えてください。あなたはこの街の警察の代表です。今のあなたはお父上の尊厳も背負っているのですよ!
……
なぜ事件当時、助けに向かおうと思ったのですか? あれほどの数の暴徒に対峙することへの恐怖はなかったのでしょうか?
あなたの軽率な行動が、暴徒たちの残虐行為に火を付け、複数の人質が負傷する結果を招いたとの批判もありますが、それについてはどうお考えでしょうか?
娘さんも警官だとお聞きしましたが、もし今回の状況であなた自身が人質に取られていた場合、娘さんにも自分と同じ行動を取ってほしいと願いますか?
……
本音を申し上げますと、私はこんな質疑応答にはなんの意味もないと思っておりますし、この件を報道する必要性も全く感じていません。
ですが、どうしても答えなければいけないというのなら……
救える人を見殺しにするわけにはいかないでしょう。
……
……
ぼくは警官なんかじゃない。父さんこそが本物の警官なんだ。
つまり認めるんだな?
今のぼくに父さんを背負えるはずがないよ。
父さんこそが真のヒーローだ! 反対意見は受け付けないよ!
ぼくが気になるのは、いなくなった四人のことだけ。
ぼくが助けた人たちは、この場に来てなきゃいけないはずなのに、どこにもいない。
あの人たちはどこにいるの!?
……
……
市長さん。
ぼくの質問に答えてください。じゃなきゃ……
貴様に何ができる!
ふんっ!
えっ、本当にこんなとこにいるの?
ああ、調べはついている。四人がここにいるのは間違いないよ。
彼らは全員、あの事故によって鉱石病にかかってしまった。だから……
たとえクルビアであっても、政府は彼らが公共の場に姿を現すことをよしとしなかったんだろう。
あの事故の原因は、政府にとって恥でもあるしな。
「若き警官が休暇中、外出先で突発的な事故に出くわし、市民を救出する過程で不幸にも鉱石病に感染してしまった」か。
うん。
何が起きていたとしても、奴らはもっともらしい言い訳を仕立て上げてただろう。
ただ今回は、君がたまたま格好の材料だったってだけの話だ。
……
四人は無事なの?
ロドスが現地の医療機関に協力して治療を行えるよう、政府と掛け合うつもりだ。
だけど今回のひと悶着があったから、話し合いは難航するかもしれないな。
えっ! ごめん!
あの時はつい……
君のせいじゃないさ。
クルビアに派遣されたばかりなのに、あんな大事故の中、自分の身の危険も顧みずに、迷うことなく四人を救い出した。
ドクターが知ったら、きっと喜ぶよ。
本当にお疲れ様、ジャッキー
あれ? その勲章、結局手元に残すことにしたのか?
うん
だって父さんにも今回のことを話してあげなきゃいけないからさ。
えへへ。