成長幕間成長
フォントファミリー

フォントサイズ

⌘/Ctrl+
拡大
⌘/Ctrl−
縮小

地図

名前

成長 幕間

成長

グムにはたくさんの思い出がある。

良い思い出、悪い思い出。

楽しかった思い出、悲しかった思い出。

それから、どうしても忘れられない思い出。


男子学生

アイツらだ、あそこにいるぞ!

こっちだ! もう逃げ場はないはずだ……アイツら食料を持ってやがる!

アンナ

気を付けてください、ラーダ!

ソニア

ちっ、虫けらどもが! アンナ、ラーダ、アタシの後ろに隠れろ!

なかなかの肝っ玉じゃねぇか。上等だ、来いよ。アタシの前に出る度胸があるのはどいつだ?

ロザリン

痛てて……またかよ。こっちはまだ腕が治りきってないってのに。

おい、ソニア。どっちが多く倒せるか勝負しねーか?

ソニア

──くだらないこと言ってんじゃねぇ……危ない!

ナターリア

あらあら、こんな時にぼんやりしていてはだめよ。

集中しなきゃね、将軍のお二方?

アンナ

ふう……危なかったですね。

ソニア、ロザリン、背後にも気を配ってください。

ソニア

チッ、悪ぃな。

ロザリン

不意打ちなんて、よっぽど死にてーらしいな!

女子学生

うっ……怯んじゃだめよ。相手はたったの数人なんだから……

男子学生

そうだ、多勢に無勢じゃねぇか! 全員でかかりゃ負けるはずねぇんだ! ビビってたら救援を呼ぶスキを与えちまうぞ。

ソニア

チッ。

ナターリア

(小声)どうするの? 確かに数じゃ圧倒的に不利よ。

アンナ

(小声)……どうにかして突破するしかありませんね。

女子学生

ごめんなさい。でも……私たちもほかに方法がないの。何としてでも食料を手に入れないと……

これ以上は無理なの……こんな所で飢え死になんてしたくないの!

男子学生

門を塞げ! アイツらに逃げ道を与えるな!

かかれ!

危ない。

危ないよ、ソニアお姉ちゃん、ロザリンお姉ちゃん……

アンナお姉ちゃん、ラーダを庇わないで。

ナターリアお姉ちゃん、ラーダのために傷つかないでよ。

危ない、危ない、危ない……!

もうお姉ちゃんたちが傷つくのを見たくない。

これ以上、お姉ちゃんたちの後ろに隠れていたくない。

ラーダだって……ラーダだってみんなを守れる。

一発でダメなら二発、それでもダメなら三発。

お姉ちゃんたちを守るためなら、ラーダは何だってできるんだ。

ラーダも全力で戦うから──

ソニア

ゴホッ、ゴホゴホッ……ろくでなしどもめ、キリがねぇ!

ロザリン

まさかもう限界だなんて言わねーよな?

ペッ! ……くそっ、歯が一本折れちまったみてーだ。

ソニア

オマエ──

ナターリア

待って、敵の数が合わないわ!

アンナ

ソニア、危ない!!

ソニア

──!

男子学生

食い物を寄越せ!!

うあぁぁっ!

ゴフッ……ヴゥ……

(地面に倒れ、けいれんする)

アンナ

ラーダ……?

ラーダ

……

ソニアお姉ちゃんを傷つけるなんて許さない。

絶対に許さない……

女子学生

きゃあぁ!

あの子、く、狂ってるわ……!

男子学生

アンドレイの首をへし折りやがった! ヤバい、逃げろ!

ラーダ

ラーダが……ラーダがみんなを守る……!

お姉ちゃんたちを傷つけるなんて、絶対に許さない!!!


グムにはたくさんの思い出がある。

良い思い出、悪い思い出。

楽しかった思い出、悲しかった思い出。

それから、もう絶対に思い出したくない思い出。

グムは人を傷つけた。

お姉ちゃんたちを守るため? それとも自分が傷つきたくなかっただけ?

グムには分からない。

だけどグムは……グムはもう二度と誰も傷つけたくない。

......


???

……ム。

グム?

どうしてこんな所で寝ているんですか……


イースチナ

起きてください、グム。

グム

う……ふわぁ……

イースチナ

起きてください、グム。

顔色が悪いですよ。まだ傷は痛みますか?

グム

悪い夢を見てたみたい……

傷はもう全然痛くないよ。心配しないで、イースチナお姉ちゃん。グムは大丈夫だから。

イースチナ

それならいいのですが。

……

グム

ん? イースチナお姉ちゃん?

黙っちゃってどうしたの? そろそろ出発? グムはいつでも出発できるよ。ズィマーお姉ちゃんとリェータお姉ちゃんは?

イースチナ

いえ、まだ出発の時間じゃありませんから、もう少し休んでいても構いません。

彼女たちはルートの下見です。もうすぐ帰ってきますよ。

グム

じゃあグムも手伝いに行くよ!

イースチナ

待ってください!

グム

えっ?

イースチナ

座ってください、グム。大人しくしていてください。

傷は言うほど軽くはないでしょうし、あまり動き回ろうとしないでください。もう一度薬を塗ってあげますから。

グム

ほんとにそんなにひどくないよ。

本当だよ! 嘘なんかじゃないんだから!

ただ、ちょっとだけ……ほんのちょっとピリピリするだけ……

イースチナ

良い子だから、動かないで。

グム

うん、分かった!

イースチナ

……

……傷だらけですね。

以前の傷跡は徐々に薄くなってきていますが、今日の傷は跡が残らないとも言い切れません。

グム

残らなかったらいいなぁ。

医療部のお姉ちゃんたちが、とってもよく効く軟膏をくれるから、それを毎日ちゃんと塗れば、醜い傷跡だってきっと全部消えちゃうよ!

イースチナ

そうですね。元々あった体の傷は、この一年あまりでほぼ治りましたし。

ですが……

グム

ですが?

イースチナ

グム……さっきバウンティハンターの襲撃を受けた時、本当は負傷せずに済んだはずでしょう?

どうしてすぐに倒してしまわなかったんですか?

最後の一撃の時、急に手を止めましたね。あの状況で躊躇するなんて……とても危険ですよ、グム。

グム

でも、でもグムは……

グムにもどうしようもないの……

イースチナ

……グム……

実は、ジュナー教官にもあなたの習慣について尋ねられたことがあるんです。

グム

教官が……

イースチナ

怖いんでしょう、グム?

グム

……うん。

グムは怖いの。

三発目は、自分をコントロールできなくなっちゃうから……

そしたら、学校でのことを思い出しちゃうし、夜中に悪夢も見ちゃうよ。ベッドライトを点けたまま寝たってダメになっちゃうんだ。

イースチナ

それは……知っています。グムは眠れない時、絶えず寝返りを打ちますから。

ズィマーも知っていますよ。ですがそれは自分自身で克服するしかないことなので、何も言わないようにしていますが……

グム

うん……

イースチナ

ですがグム、私たちは心配なんです。

グム

……

グムは頑張ってるよ……

イースチナ

ええ、頑張っていますね。

私たちの中で一番たくましいと言っても過言ではないでしょう。

グムは今ではもう、ベッドライトを点なくても眠れるようになったでしょう?

まだ時々、私やズィマーの所へ来ることはありますが。

グム

うん……

グムは頑張って成長して、悪い習慣を全部直したいの。

アーミヤとケルシー先生に聞いたんだ。グムのお父さんとお母さんは危険な仕事をしてて、会うのはとっても難しいって。

イースチナ

ご両親を探しに行きたいのですか?

グム

うん。でも今はまだダメなの。

グムは、お父さんとお母さんに今のグムを見せたくないの。二人に再会した時に、グムは悪い子になったって思われたくない……

だから今はまだダメなんだよ。

イースチナ

グム……あなたは悪い子ではありませんよ。いつも私たちを守ってくれているんですから。

グム

でも、でも──

やっぱりうまくいかないの……

自分をコントロールできなくて、人を傷つけちゃうんだ。

イースチナお姉ちゃん、グムはどうしたらいいのかな?

イースチナ

……きっと解決方法はありますよ。

今すぐに変えられなかったとしても心配はいりません。私たちが側にいますから、グム。

皆がついていますから、安心してください。

グム

……イースチナお姉ちゃん……

うん! お姉ちゃんたちがいれば、グムは何も怖くないよ!

イースチナ

その意気です、勇敢な小熊さん。もう怪我しないでくださいね!

グム

痛ててっ、つっつかないでよイースチナお姉ちゃん、痛いよぉ。

イースチナ

やっぱり痛いんじゃないですか。痛みに後悔したなら今後は気をつけてくださいね。

薬は塗り終わりました。ズィマーたちもそろそろ帰ってくるはずですよ。

見に行ってみましょう。

グム

うん!


ズィマー

オマエら、ちゃんと休めたか?

グム

ズィマーおねえちゃん、グムはもう大丈夫だよ!

イースチナ

傷口の処理は済みました。作戦に支障はないでしょう。

そちらはどうでしたか?

ズィマー

この先の村は様子がおかしい。静かすぎる。

あのバウンティハンターどもが、また何か企んでるんだろうよ。みんな気をつけろよ。

ロサ

こんなことになるなんて思わなかったわ。迷子の子供を探すだけの簡単な任務だったはずなのに──

まさかバウンティハンターに目を付けられるなんてね。

リェータ

あ? あっちが先に喧嘩を売ってきたんじゃねぇか!

それに子供を二人も誘拐しやがったんだぜあのクソ野郎どもは! 子供捜しをしてんだから手を出さねーわけにはいかないだろ。

ズィマー

その辺にしとけ。見ちまった以上放っとく道理もねぇだろ。

さっきはうまく逃げられたが、次はそう簡単にはいかねぇぞ……

イースチナ

慎重にいきましょう。彼らは手強いですよ。

向こうは子供を人質に取っています。あまり刺激しすぎないようにしましょう。

グム

また悪い奴が現れたら、グムがお姉ちゃんたちを守るよ!

安心して、グムが悪い奴を全員こてんぱんにしちゃうんだから!

ロサ

けれど、万一向こうから現れなかったらどうするの?

グム

うーん……引きずり出す?

ズィマー

めんどくせぇな……

イースチナ

……

私に考えがあります……


グム

ごめんください──

誰かいますかぁー?

すみませーん。

うーん。

誰もいないみたいだね……

ズィマー

ああ。どうやら調べても成果は得られなさそうだな。

もういいだろう、帰るぞ。

ロサ

これじゃあ完了報告ができないわ。もう一度他のオペレーターに頼んで来てもらうしかなさそうね。

ふぅ……次はきっと百戦錬磨の先輩たちが来るでしょうね。

リェータ

き、きっとそうだぜ!

たしか、何だっけ……そうだ、超絶強くてぇ、バウンティハンターもやってた先輩で、ビ、ビルを素手で壊せるらしいぜぇ!

イースチナ

(ため息)

(小声)ロザリン、演技が下手すぎますよ……

リェータ

(小声)こういうのは苦手なんだよ!!

グム

帰ろ帰ろ!

先輩たちが絶対に悪い人たちをみーんな捕まえてくれるもん!

ズィマー

──!

(小声)物音がした、来るぞ!

イースチナ

グム、危ない!

グム

ふん!

防いだもんね!

喋らない賞金ハンター

……

不機嫌な賞金ハンター

あまり首を突っ込むんじゃねぇぞ、ガキども。

後悔することになるぞ。

リェータ

はっ、今まで後悔したことなんざ一度もねぇんだわ。腕に自信があるんなら掛かってこいよ!

ズィマー

くだらねえ話してんじゃねぇ。

おい、答えろ。ここにはオマエらしかいねぇのか?

ここの村人たちをどうした。オマエらに誘拐された二人の子供は今どこにいる!

喋らない賞金ハンター

……

……

……

ズィマー

……

グム

(小声)……全然しゃべらないね。

イースチナ

どうやら無理矢理口を割らせるしかなさそうですね。

リェータ

お! やっちまうか!

ロサ

簡単に言うけれど……模擬訓練と違うってことは、みんな分かっているわよね?

グム

大丈夫だよ!

グムがみんなを守るから!


グム

うっ!

重い……! だけど、グムは耐えられるよ!

はあっ!

それっ!

(攻撃の手を止める)

喋らない賞金ハンター

──!

グム

ううっ!

イースチナ

グム!

ズィマー

チッ、どきやがれ!

喋らない賞金ハンター

う……

リェータ

くそっ、もう少しで……

もう少しでアタシがこのヤローを倒せたのに!

ロサ

よそ見してちゃだめよ。

賞金ハンター

うっ!

グム

イースチナお姉ちゃん! グムの後ろに隠れて!

グムの守りを……突破できるなんて思わないでよね!

イースチナ

気を付けて、グム!

私が彼らの動きを抑えます……

ズィマー、今です!

ズィマー

ああ!

チョロいもんよ。

ロサ

大口を叩くものじゃないわ。息が上がってるじゃない。

グム

ズィマーお姉ちゃん!!

ケガしてるよ! も、もしかしてさっきグムを庇ってくれた時に?

グムのせいだ……

ズィマー

うるせぇな、めそめそすんなって。

リェータ

そうだそうだ。どう見たってコイツが油断したからだ。グムのせいなんかじゃねぇぞ!

イースチナ

……

グム

でもっ……!

ズィマー

それよりも、今は他に解決しないといけねぇことがあるだろ。

おい、どうする? 残りはもうオマエだけだぞ。

不機嫌な賞金ハンター

……

ズィマー

早く答えろ。この村はどうした。それとあの二人の子供はどこだ?

言わねぇんなら──

グム

言わないなら、き、君の歯と髪の毛を全部引っこ抜いちゃうよ!

ズィマー

(……そこまでする必要はねぇだろ。)

不機嫌な賞金ハンター

ふんっ、このクソガキどもが……

リェータ

口には気をつけやがれ!

不機嫌な賞金ハンター

せいぜい数人に勝ったから何だってんだ?

目的はあのガキどもか?

グム

そうだよ!

早く白状して!

不機嫌な賞金ハンター

ハッ、そう簡単に言うわけねぇだろ。

残念ながら、ガキどもの行方を知っているのは俺だけだ。

俺が口を割らなけりゃ、お前らは絶対あいつらを見つけらんねぇってことだ……

イースチナ

隠していても、損をするだけですよ。

ロサ

思うに、こういう場合は、交換条件を出すものではないかしら?

不機嫌な賞金ハンター

……

まずは俺たちを解放しろ。

そうすりゃガキどもは村に連れ戻してやる。だが、それ以外の奴らについては、お前たちが関わることじゃねぇ。

ズィマー

言いたいことはそれだけか?

悪いが──断る。

リェータ

てめぇよ、自分の立場がわかってんのか? なんでそっちが条件を出すんだよ!

グム

そうだそうだ!

不機嫌な賞金ハンター

……

グム

(小声)この人まで黙っちゃった……

(小声)まさか本当に死んでも言わないつもり? どうしよう……

イースチナ

(小声)参りましたね。本当に拷問するわけにはいかないですし……

ズィマー

もう何発かぶん殴ってやりゃいいんだ!

グム

あ、声が大きいってば、ズィマーお姉ちゃん!

不機嫌な賞金ハンター

……

なめやがって……

──くそったれの熊どもが!

ロサ

危ない!

グム

ズィマーお姉ちゃん!

ズィマー

あっ──!? ぐあっ……!

卑怯モンが……!

不機嫌な賞金ハンター

卑怯?

卑怯だろうが勝てりゃいいんだよ!

死ねぇっ!

イースチナ

ソニア!

グム

──

危ない。

危ない、危ない、危ない……!

グムがみんなを守らないと。

グム、グムは絶対にみんなを──

危ない、危ない、危ない……!

ラーダは絶対にみんなを──

不機嫌な賞金ハンター

くそっ! このガキ!

グム

……

不機嫌な賞金ハンター

ゴフッ、うっ……

グム

許さない……

ソニアお姉ちゃんを傷つけるなんて許さない……!

もう一発……!

ズィマー

待て、グム! アタシは大丈夫だ、落ち着け!

まだ子供たちの行方を聞き出さなきゃなんねぇんだ!

グム

──!

う、うう──

不機嫌な賞金ハンター

……

グム

……

ズィマー

グム……大丈夫か?

グム

……

リェータ

あーあ可哀想に、死んだか?

ロサ

いいえ、まだ生きてるわ。

……

ねぇロザリンさん、どうかこの方をあちらまで運んでくださいませんか? 私が止血をして、ついでに「目を覚まさせる」ので。

リェータ

何だよ急にかしこまって。気持ちわりーな……別にいいけどよ。

ロサ

いいからいいから。早く来て。

グム

ズィマーお姉ちゃん、傷口……血が出てるよ。ほ、包帯を巻いてあげるから!

……ごめんなさい……

ごめんなさい、ズィマーお姉ちゃん、イースチナお姉ちゃん。グム……またやっちゃった……

ズィマー

バカなこと言ってんじゃねぇ。

オマエが何をやらかしたってんだ? オマエはアタシを助けてくれたんだろうが。感謝してもしきれねぇよ。

グム

でも……

イースチナ

ズィマーの言う通りですよ。

グム、あなたは怖がりながらも、私たちを守ってくれました。

ズィマー

その通りだ。

それにな……グム。アタシはオマエの怪力っぷりを知ってる。もしオマエが本当に全力でアイツの頭をぶっ叩いてたら、アイツは今頃とっくに死んでるだろうよ。

グム

じゃ、じゃあ、あの人は──

ロサ

安心して、無事よ。

リェータ

もう一発殴って、たたき起こしてやらねーか?

グム

無事だったんだ……

ってことは、グ、グムはコントロールできたの?

ズィマー

そういうことだ。

最後の一発を力任せに振り下ろしたかと思えば、相手に当たる直前で力を抑え込んだ。この目ではっきり見たぞ。

グム

……

イースチナ

グム。

こちらに。

それからズィマーも、こちらに寄ってください。

ロサ

私たちは入れてくれないのかしら?

リェータ

一体何の遊びだ?

ズィマー

うるせぇな、押すなよ!

まだ争いの跡が残る現場で、ウルサス学生自治団の少女たちが仲睦まじく寄り添い合う。

イースチナがグムの左手を、ズィマーが右手を取る。小熊たちは手を取り合い、額を寄せ合った。友の髪の毛が頬をくすぐっても、三人は決して離れようとしない。

グムは自分の頭を二人の頭の隙間目がけて突き出し、いつものように自分の額を仲間の額に軽くぶつけた。

それから、親しみのこもったお返しの頭突きをもらった。

イースチナ

グム、前に言ったことを覚えていますか?

あなたはよくやっています。

安心してください、皆がついていますから。

リェータ

そうだそうだ、グムは本当によくやってるぜ! 最後に攻撃を受け止めた時なんてもう完璧だったぞ!

ロサ

ふふ、そのうち、自分の機嫌すらコントロールできない誰かさんよりも強くなっちゃうわね。

ズィマー

は? 誰のことを言ってやがんだ!?

グム

プッ。

ズィマーお姉ちゃん、急に動いちゃダメ! 傷が開いちゃう!

……

グム、グムは……

グムは本当に……コントロールできたの? 本当に、力を抑えられたの?

ズィマー

ああ。できてたよ。

イースチナ

さて、落ち着いたらあの人を起こして、子供たちの居場所を聞き出しましょう。

安心してください、私が白状させますから。

グム、あなたは私たちだけでなく、子供たちをも救ったんですよ。

グム

グム……コントロールできたんだ……

……グムはやれたんだ……!


グム

これと、それからこれも……あっ、そうだ、パンも多めに持って行こう!

ふぅ、ようやく荷造りが終わったよ。

お父さんお母さん、ラーダがもうすぐ会いに行くよ!

ケルシー先生は難しいって言うけど、やっぱり探しに行きたいの!

そうだ、ラーダね、攻撃をするたびに手を止めちゃう習慣を克服できたんだ……それに、三発目の力加減もコントロールできるようになったんだ!

もうお姉ちゃんたちを……それにお父さんとお母さんを心配させずに済むよ。

いまだに悪夢は見るけど、お姉ちゃんたちのおかげで、今はもう前みたいに怖くないんだ。

お父さんお母さん、ラーダはここで楽しく暮らしてるよ。

あ、お姉ちゃんたちに挨拶してこなきゃ。ラーダ、一人で遠出するのはこれが初めてだからね。絶対にまた帰ってくるから、ちゃんと待っててって言っておかなくちゃ。

……ふぅ。

よし、録画はこれでOK。

──それじゃあ出発!