帰還!密林の長 RI-1・戦闘後
落下物
*スラング*、つ、つえぇ。
なかなかやるな。だけどガヴィル様相手にゃ分が悪かったな。
えっ、ま、待て、今なんて名乗った?
ガヴィルだけど。
ガヴィルだって!?
よく見りゃその顔、その髪……ほんとだ、ガヴィルじゃねぇか!
だからガヴィルだっつってんだろ!
ヒィィ、ガヴィルだ、ガヴィルが帰って来たぞ! 野郎ども、ユーネクテス族長に報告しろ!
ん? ユーネクテス? おい、待てこら!
チッ、逃げられたか。
助かりました。もう少しで攫われるところでした。
つーかパイロットはどこ行ったんだよ。えーっとなんつったっけ……そうだディランだ。ディランは?
ディランさんはさっきのアダクリス人たちに抵抗しようとして、逆にやられて気絶してしまいました。
あっ、ガヴィル、ディランがいたよ!
よし、こっちに引きずって来てくれ。ケガの具合を見てやる。
わかったー。
そうだ。Lancet-2、この飛行ユニットの直し方はわかるよな?
はい。出発する前にクロージャお姉様が、飛行ユニットの知識を大量にインプットしてくださいましたので。
本来ならば、不時着成功後に、修理キットを使って修理ができたはずなんです……
ですが……
ケーちゃん、引きずって来てっていうのはアレだ、喩えみたいなもんだ! わざとそんな風に引きずらなくていいから!
あ、ごめんなさい。
……あいつらも多少は手加減したらしいな。ん? つーかこいつ見かけによらず派手なパンツを……いや何でもない。まあ半日ほど寝れば起き上がれるようになるだろ。
それでLancet-2、何か問題でもあんのか?
さっきのアダクリス人たちに、エンジンを奪われてしまいました。
ハァ? エンジンを?
はい、彼らは私を見つける前に、飛行ユニットからエンジンを外し、どこかへ運んで行ってしまったんです。
こちらをご覧ください。
あーあ、でっかい穴になってんな。こういうのは詳しくないけど、飛べないってことだろ?
はい、飛べません。
おい、ドクター、顔色が悪いぞ?
――しばらく前
手紙?
ああ、アタシの故郷からだ。「マヒゾッティア」が開かれるんだ。
「マヒゾッティア」、力と栄光か?
なんだよ、そんなことまで知ってんのか? まぁ言葉の意味は置いといて、アタシの故郷で「マヒゾッティア」って言ったら、大族長を決める祭典のことなんだ。
そうか。久しく耳にしていなかった言語だ。
それにしても、故郷を離れた君にも連絡が来るのか。
ああ、こっちに来てからもやり取りしてるガキンチョがいてな。この手紙もそいつからだ。
だが君は、「ハブられた」から出てきたと言っていなかったか? であれば大族長選挙も、もう君とは関係ないはずだろう。
いや、別に大族長になろうと思ってるわけじゃないぜ。ただあのガキンチョがアタシに会いたいってうるせぇから。しばらく戻ってなかったし、ちょうどいい機会かと思ってさ。
故郷が恋しくなったか?
ハハ、ちょっとな。
君が故郷を訪問するのは構わないが、なぜDr.を連れて行く? 生物学的に考えると、ドクターが君の同族である可能性はゼロだが。
ドクターもずっと気張ってるし、ちょっとはリフレッシュさせてやりたくてさ。
では、飛行ユニットの使用申請についてはどう説明する? ブレイズ。
ガヴィルの故郷はサルゴンの無人地帯にあるから、歩いて行くには遠すぎるでしょ!
だからと言って、サルゴン政府に見つかるリスクを背負ってまで、飛行ユニットを使うつもりか?
いや違うって! 私たちだってちゃんと調べてるんだから。地図と集めた情報を分析した限り、ガヴィルの故郷がある広域の無人地帯にサルゴン政府は介入してこないはずだよ。
確かにあの辺りは、名義上サルゴン領になっているに過ぎない。よく勉強したな。
だがそこまで計画を立てていながら、なぜ今さら私に確認を?
それは、し、申請を許可してもらう必要があるから……
……
いいのかダメなのかどっちなんだよ、ケルシー先生。はっきりしてくれ。
(小声)ドクター、もうやめよう。ケルシー先生は絶対許してくれないって……
いいだろう、許可する。
えっ!? ホントに!?
ああ、我々がガヴィルの故郷を知る良い機会にもなるだろう。
ガヴィルはロドスにとって必要不可欠なオペレーターだ。その本人からの要望となれば、Dr.とエリートオペレーター一名の休暇など、許可して然るべきだろう。
やった!
一応、今回の休暇は実地調査として扱おう。手すきのオペレーターがいれば、同行させても構わない。
だが先に断っておくが、本人が希望したとしても、アーミヤの同行は許可できない。業務が山積みだからな。彼女にも伝えておいてくれ。
サルゴン領内にはロドスの事務所が極めて少ない。面倒事を起こさないよう気をつけてくれ。それが個人的なものでも、ロドスに関するものでもだ。
それと、飛行ユニットはロドスとっても貴重な乗り物だ。サルゴンの環境は劣悪だが、傷一つ付けずに持ち帰ってほしい、Dr.。
ああ、そう言えば、そんなことも言われてたな。
だけど、そんなビビんなよドクター。ここはアタシの故郷だし、勝手はわかってる。Lancet-2、さっきのヤツらを見つけ出して、エンジンを取り返せばどうにかなるだろ?
はい……彼らは機械の扱いを多少心得ていたようで、エンジンを取り外す際、周囲を大きく破壊するようなこともしませんでした。
エンジンさえ見つかれば、あとは問題ありません。その時に取り付け方を説明しますので、お手伝いさえいただければと。
では今から、爆発を防ぐための緊急メンテナンスを行いますので、しばらくお待ちください。
ハァ? 機械の扱いを心得てた? そんなヤツ聞いたことねーぞ。ここじゃ今までずっと拳で語り合ってきたってのに。
心得ているとは言いましたが……配管を外したり、配線を繋いだりする方法を知っていた程度です。
……ああ、いや、あいつの子分だったら……
ガヴィル、お腹すいた!
飛行ユニットに積んでた食糧は大丈夫だったか?
はい、問題ないかと思います。
しかし、不時着の際に幾つか損傷を受けた機能があるため、現在、貯蔵室は封鎖されてしまっています。開けるには少し時間がかかりそうです。
だってさ。ケーちゃんもうちょっと待ってろ。
でもお腹空いてるの! 今食べたい!
ったく、じゃあ先に……
ガーヴィールーさぁーーーん!
ん? この声は……あちゃー。
わーい、ガヴィルさんだ、本当にガヴィルさんだ!
あっ! ガヴィルさん、髪伸ばしたんですね! きれいです!
服もよく似合ってます! かっこいいです!
あれ、ガヴィルさん、なんで武器を持ってるんですか? しかも戦いじゃ使いにくそうな形ですけど。
えっと、トミミ、わかった、わかったからとりあえず放してくれ。
はい!
ガヴィルさん、外の生活はいかがですか?
本当にお医者さんになったんですか?
……はぁ、それよりなんでこんな所にいんだよ、トミミ。
えっとですね、空から何か落ちて来るのが見えたので、様子を見に来たんです。ですがまさかガヴィルさんに会えるなんて!
そうだ、病気は治りましたか? 石塊病に罹った人は外だと意地悪されるって本で読みました。ガヴィルさんは大丈夫ですか?
平気平気、アタシは何ともないよ。
ガヴィル、やっと帰ってきたか!
無事で何よりだ、ガヴィル!
やっぱ大族長はお前が一番相応しい!
ふざけろ、アタシは休暇で里帰りしただけだ。
仲が良さそうだが、「ハブられた」から故郷を離れたのでは?
ああそうだぜ。それがどうかしたか?
ガヴィルさん、こ、この人は?
あれ? トミミ、お前サルゴン語話せたっけ? 結構上手いな。
はい! ガヴィルさんと話すために、頑張って勉強しました!
そうか、じゃあこれからはサルゴン語で手紙を送るか。
……えっと、それよりも、この人たちは……?
ああ、こいつはDr.、ドクターって呼んでやってくれ。一応アタシの上司みたいなもんだ。
あとのヤツは、同僚ってとこだ。
上司……まさかあなたは、ガヴィルさんより強いんですか?
じゃあなんでガヴィルさんの上司になれたんですか?
ガヴィルさん、この人弱そうですけど。
そんなことありえません!
それよりトミミ、墜落した飛行ユニットのエンジンがズゥママの子分に奪われたみたいなんだが……あいつは今、手下を持つほど偉くなったのか?
飛行ユニットのえんじん……? 発動機とかと同じようなものですか? それより……えーっと、ズゥママ?
どうした?
あ、いえ。ズゥママは今、とある部族の族長なんですよ。みんな今回の大族長は彼女で決まりだって言ってます。
へぇー。てことは、アタシらを撃ち落としたのもあいつらかもしれないってことだな。確かに、ここらでヘンテコな武器を弄るようなヤツは、あいつしかいねぇよな。
……は、はい! ズゥママに用があるなら、明日の祭典で会えると思います。大族長の座を狙う人たちは、全員霊殿に集まりますから――
よし、それなら話が早ぇ!
そういや手紙で読んだが、お前も大族長になりたいんだろ? この数年でどれだけ成長したか、楽しみだな。
(小声)本当はガヴィルさんになってほしいんですが。
ん? なんか言ったか?
な、何でもないです!
......
ドクター様、緊急メンテナンスが完了しました。出発しますか?
おーお疲れ。よし、じゃあ今から霊殿に向かうぞ。
うわ! 機械が喋った!
覚悟はしていましたが、毎回このような反応をされると、やはり心が傷つきます。心はありませんが……
あの飛行ユニットだけど、もう爆発する危険はないってことでいいんだよな?
はい、ですがこのまま放っておくわけにも……
確かにな。アタシもケルシーに睨まれたくないし。
あ、あの、私の部族のところに運びましょうか? そしたら皆さん安心できますよね?
お前の部族? あれ? そういえばお前も族長になったのか? 全然気づかなかったぜ。へえ、あのガキンチョのトミミがなぁ!
はい! 実はガヴィルさんがいた部族なんですよ。
なるほどな、どうりで知ってる顔がちらほらいるわけだ。
部族の名前だって、「ワイルドウィル」から「ガヴィルウィル」に変えちゃいました!
は?
みんなガヴィルさんが最高だって思っているので!
えーっと、そ、そうだな。お前に任せるわ。
野郎ども、聞こえたか? 飛行ユニットを運べ……運んでください。
おう!
あ、それでしたら、私はディランさんと一緒に飛行ユニットについていきます。
ドクター様たちは人が多い場所に向かわれるようですので、私が一緒では色々と面倒でしょうから。
飛行ユニットにはメンテナンスができる人が付き添っていた方がいいと思いますし。
なんだお前、祭典を見に行かないのか? 面白いのにな。
大丈夫です。静かな方が好きですから。
わかった。じゃあ祭典には、アタシとドクターとケーちゃんで向かうとしよう。
私も! 子分たちを連れて一緒に行きます!
お待ちくださいドクター様、ケオベさんがいません。
ドクター、どうかした?
ん? ちょっと待て、ケーちゃんはどこ行った!?
あれ、ホントだ。さっきまでここにいたのに、どこに行ったんだよあいつ。
お前らが言ってるのは、あそこのちょっとイカれたヤツのことか?
ドクターには傷一つ付けさせないぞ、レユニオン!
うわー! おいらのはちみつクッキーを取ったな! 逃げるな!
ケオベさんが見えない敵と戦っているように見えます……もしかすると毒か何かで幻覚でも見ているのでしょうか?
ヤベッ! 言い忘れてた! ここいらに生えてるキノコと果物はほとんど食えないやつなんだ。食っちまったら……ああなる。
あいつはアタシ以上に野生児だもんな。こっちで話し込んでいる間に拾い食いしたんだろ。
あー、とりあえず縄で縛っとくか。Lancet-2、ケーちゃんを連れてってやってくれ。しばらくすれば正気に戻るから。
お任せください!
それと、現在の気温は高めですが、こちらは昼夜の温度差が激しい環境かと思われますので、十分な補給物資をお持ちください。
おっとそうだったな。ドクター、トミミ、飛行ユニットから諸々の物資を取ってきてくれ。
ここから霊殿まではかなりの距離だ。もちろんジャングルに宿なんてないから、野宿の準備もしないとな。