ドッソレスホリデー DH-6・戦闘後
後発先至
いや~、さすがは『龍威鼠心』! 絶対皆を失望させない戦いっぷりを見せてくれるね!
取り囲んできた連中なんて、あっという間に片付けちゃったぞ!
だけど、先頭集団はスイム区間を既に半分泳ぎ終えている!
『龍威鼠心』のヒロインたち、これは果たして間に合うのか!?
どこを見ている? ほら、泳ぐぞ。
ちょっと考えてたの。
何をだ?
エルネストが何か企んでるのは確かでしょう? その上、私たちの後ろから追ってきてるわけだし、彼の方から対処すべきじゃない?
一理あるな。
だが、まだ彼が犯人だと決めつけることはできない。
それに、事件を企てているのが誰であろうと、向こうが我々の勝利を望んでいないというのは明らかだろう。
であれば、この試合に勝つことを優先した方が、確実に黒幕に繋がるはずだ。
確かに、相手は私たちが船に乗るのを避けたいんでしょうしね。それは私にもわかってるわ。
ならいい。さあ、無駄話ばかりしていると負けるぞ。
負ける? ありえないでしょ。
いいから先に行ってなさい。こういうのは久しぶりだから、少し準備が必要なの。
……わかった。
おやおや? 少しの相談タイムのあと……どういうわけか、チェン選手だけ先に泳ぎ始めたみたいだぞ。
一方、リン選手はというと……ビーチに残って、準備運動をしつつ何やら砂を集めているみたいだね。
彼女の能力で、砂をガラスの武器に変えられるのはもう知ってるけど……もしかして、砂で海面にガラスの橋でも架けるつもりかな?
お父さんなら、ここの砂で橋を架けることもできたでしょうね。
私には、そこまでのことはできないけど。
その代わり、私には私のやり方があるわ。
砂は、これくらいあれば足りるわね。
で、チェン・フェイゼの位置は……あら、ちょうどいいところにいるじゃない。
――ふぅ……行くわよ!
こっ、これは……!!
ななな、なんとリン選手! 海の上を走り始めたーーッ!
……いや。あれは走っているというより、跳躍を繰り返しているようだな。
着地する度に砂を使って、次に降り立つガラスの足場を作っているんだ。
その上、砂を節約するために……ほかの選手が近くにいる時は、そいつを踏み台にして跳んでいる、と。
はっはっは、面白い! 実に面白いじゃないか!
な~るほどね! これは本当に前代未聞の渡り方だ!
つまり、近くに足場がなかったから、さっき二人は話し合って、最初の踏み台をチェン選手自らが務めるって決めたんだね! リン選手の道を切り開くために、身を挺するチェン選手……!
なんてことだ……! 二人はまたしても、チームの絆でオイラたちに感動を届けてくれちゃったよ!
はははっ。リンお嬢さんのアイディアは確かに意外なものですが、あの二人はきっと相談なんてしていないでしょうね。
絶対してないに決まってるでしょ。あははっ! ねえ、一瞬だけカメラに映ってたチェンの顔、見た? 最高に笑えたわね!
ふふっ、本当に。まさかあの二人が組むとここまで面白いとは……
トップを行くのは依然として、チーム『甘い夏』だ! ジャーヴァン選手が破竹の勢いでゴールラインに向かっているぞ!
ほかのチームも彼の後ろにぴったりつけて追い上げるーっ!
しかーし! そんな彼らを予想もしない事態が襲う! 彼らの後ろに……見えたっ! 海を飛び越えるリン選手だーーっ!
彼女の足が、三位の選手の頭上を軽やかに越えていくーっ!
二位の選手の頭はもはや、彼女の踏み台にすぎないぞ!
ジャーヴァン選手、彼女に気付いた! だけど残念! 気付いたところでこれはどうしようもないーっ!
無情! 非情! 彼の頭上をリン選手があまりにも軽やかに飛びすぎていくーっ!
第二ラウンド、一位獲得はリン選手! 試合の栄えある第一位は、またしても『龍威鼠心』に決定だー!!!!
まさに全身の血潮が沸き立つ大逆転! 感動をありがとうーっ!!
おい、ウッソだろ……こんだけやっても勝つのかよ。……マジ? なんかの間違いじゃねえの? は、反則じゃん……
は、はは、ハハハハッ……
……はぁ。……どうしたもんかな。