相見歓OR-7・戦闘前五省盤
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ウルサス極東炎カジミエーシュリターニアヴィクトリアカズデルシラクーザレム・ビリトン
ウルサス極東炎リターニアカズデルシラクーザレム・ビリトン

名前

相見歓 OR-7・戦闘前

五省盤

ユー・チェン

運が良い奴め。

これでも長らく大理寺で働いてきたが死刑囚監獄に叩き込まれて、そこから生きて出られる輩など、お前が初めてだ。

グー・チュエン

……このような結果は、私も予想だにしておりませんでした。

ユー・チェン

ふんっ、お前のような書物に噛り付いてきた一本気な連中には、揃いも揃って悪癖があるな。何かを行う時にただ意地を貫くことを優先して、結果をまるで考えない。

これだけ長い間調べた事件、注いだ心血はいかばかりか。それを引き替えて得たものが百珍宴で料理を献上し、真龍の激怒を賜ることとはな。

騒ぎを起こし、このような結末を迎えて、それで満足か?

グー・チュエン

貴兄のお叱りも、もっともです……

しかしながら、私の行いは忠によりて義に基づいたものであり、やましいところなどございません。

ユー・チェン

淵中の鱗獣を察見するは不祥なりと言うが、お前という奴は、この言葉の通りにツキがない……これからどうするつもりだ?

グー・チュエン

辞令はすでに下りました。三日後に外交使節団と共にヴィクトリアへ向かいます。

今後、私は二度と百灶には留まれません。このような計らいもまた尚書様が勝ち得てくださった結果です。

ユー・チェン

ヴィクトリア? お前のその体で長旅をどう乗り切るつもりだ。

グー・チュエン

望外に恩赦を賜ったのです。これ以上何を求めましょう。

ましてや此度のヴィクトリア行きは家に帰るようなものですから。

ユー・チェン

家とはとても言えまいよ。妻と娘はすでに亡くなっていると言っていたであろう?

グー・チュエン

はい……もう何年も前のことです。

ユー・チェン

……よしんば私が今その言葉を信じたとして、他の者たちもお前の言葉を信じると思うのか?

グー・チュエン

……

ユー・チェン

お前が覚えていることは、自然それを覚えている者が他にもいるのだ。

此度のヴィクトリア行き、どれだけの目がお前をじっと見つめているか知っているか?

グー・チュエン

では、どうすればよいか……教えていただけますか。

ユー・チェン

私に命を寄越せ。

お前の望む真相は、私が与えてやる。


初めて百灶へ教えを求めに来た時、最も印象深かったのは天を覆う高い建築物と果ての見えぬ家々の灯火だった。

その灯火の中央にあったのが、他ならぬ禁城だ。

危楼千尺、雲上にそびえ、見通すことはできぬ。

先生がおっしゃっていた。この地で行われる決定や、施行される法令は数多の民草の暮らしに影響を及ぼす。その責任は山よりも重いと。

まさにそうであるからこそ、ここは学ぶ者全てがその身の才学を余すことなく発揮できる場でもあるべきだ。

天地の為に心を立て、生民の為に命を立つ。

しかしながら、実際にこの場所に立って、壮麗な御殿や禁裏の高き壁を目の前にした時――

私は息の詰まるほどの寒気を感じた。

リャン・シュン

……

ニン・ツーチウ

いらっしゃるのが随分とお早いですね。

リャン・シュン

ニンさん?

ニン・ツーチウ

あら? 随分と驚かれているようですね。私に会って気を悪くされましたか?

リャン・シュン

まさか。そのようなことはありません……

ただ、ニンさんも百珍宴に出席されるとは聞いておりませんでしたので。

ニン・ツーチウ

礼部尚書様がご病気のため、私が代理で出席するしかなかったのです。

臨時に行われた決定ですので、リャン様に伝える間がありませんでした。

もっとも、リャン様の方も宴に出席することを私に話すつもりはなかったようですけれど。

リャン・シュン

ただの公務ですので……わざわざニンさんに知らせて煩わせることはいたしませんでした。

ニン・ツーチウ

ふむ……

ふと思ったのですが、尚蜀で別れて以来、リャン様とは半年以上お会いしていませんでしたね。その間、文もそれほど交わしていません。

リャン・シュン

文でのやり取りは時がかかりすぎ、私が公務に耽っていたこともあり、確かに些か疎遠でした。

ニンさんに咎められようとも、反論する言葉を持ちません……

ニン・ツーチウ

どうしてリャン様を咎められましょうか。

知府を担われていた時からリャン様は、その地の草木の一本に至るまで心に留めていました。ましてや今は責務が変わり、心配事は増すばかりでしょう。咎めることなどいたしませんよ。

しかし、離れていたのはたった半年ばかりですのに、どういうわけかリャン様との距離が遠くなったように思うのです。

話したいことも、口には出せなくなりました。

リャン・シュン

……

ニン・ツーチウ

ところで、百珍宴へは今回が初めてのご出席でしたよね。

リャン・シュン

はい……これまで長く尚蜀にて官職を預かっていたので、こういった政務とは関わりがありませんでした。

ニン・ツーチウ

例年の百珍宴では、決まって大きな決定が下されます。

今年はかの戦争についてなにがしかの結論が出るでしょう。果たして陛下はどういうご決断をなされるでしょうか?

リャン・シュン

私ごときが上意をむやみに推測するのは憚られます。

ニン・ツーチウ

ですがリャン様は聡明な方ですから、予測はつくのでしょうね。

リャン・シュン

……

ニン・ツーチウ

先日ニン府にいらしたのは、お爺様に話したいことがあったからなのでしょう?

リャン・シュン

……ニンさんを欺くことはできません。

ニン・ツーチウ

何にせよ、私に会いに来てくれたのが、うれしいのですよ。

ですがリャン様にとって私は、信頼に足り、頼れる人物ではなかったのでしょうね。

リャン・シュン

ニンさん、おそらく誤解をされています……

ニン・ツーチウ

リャン様を責めるつもりはありません。

この赤い官服を初めて羽織る時に、官界の暗い部分を厭わぬ者がいるでしょうか? しかし、それでも己の意を曲げてせねばならない仕事もあります。

私は朝廷の中央に身を置いたことはありませんが、一つの道理は理解しています。

真実を語るのは難しく、己が真実を語っていると人に信じてもらうのは、なおさら難しいのです。

この宮殿の塀の内側に入ってしまえば、「嘘偽りのない心」というのは、他の何よりも足元が揺らぎ易く、不安定なものです。

リャン・シュン

……

ですが、私はニンさんに対して、常に嘘偽りのない心を持っています。

ニン・ツーチウ

……

リャン・シュン

この先何が起ころうと、ニンさんにはどうか覚えていただきたい――

ニン・ツーチウ

リャン様、席に着く時間です。中に参りましょう。


ベテラン料理人

急げ! 最後にもう一度食材を確かめて! お客様はもう着席されている、命令を受けたらすぐに提供するよ!

もう一度食材が全部揃っているか見て、煮込み料理とスープの状態も確認して!

緊張した若い料理人

なぜかは分かりませんが、九十番の竈で煮てる「福寿全」のスープの色が少し悪いです。

ベテラン料理人

何してるの? 何回言わせるつもり。ぴったり一寸の賽の目に切らないといけない! それと十刻の間、一瞬たりとも火を止めたらいけないよ! きっとまたどこかでミスしてるわ!

はぁ……! そこに置いて、私が見る!

ホァン

(小声)おーい……こっち!

なんでまだその服着てるの! よっぽど他の人に注目されたいってこと?

リン・チンイェン

フォーマルな場に出席するのであれば、当然正装であるべきです……これは、家に置いてあった予備です。

ホァン

でもここは厨房だよ! もっと相応しい格好はなかったの?

リン・チンイェン

……ありません。

ホァン

君って――はぁ!

大理寺の捜査員なら、変装とか仮装って身に付けておくべき基本的なスキルのはずなんじゃないの?

リン・チンイェン

それはどんな屁理屈ですか。大理寺少卿は別にやましい身分でも何でもありませんよ――

……どうもここのところなぜか、いつもこそこそと行動しているような……

ホァン

いいから、この服あげるからさ。もうちょっとしたら料理を運ぶ列に続いて宴会会場に紛れ込んで、そしたらまたその赤い服着なよ。

リン・チンイェン

分かりました……

ホァン

ふぅ、こういう場に紛れ込むのは、さすがにちょっと緊張するね。

直訴するって言っていたけど、万が一真龍が激怒したら、君をそのまま逮捕したりするかな。それか……

リン・チンイェン

百珍宴では諫言や献言がなされてきた素地があります。まして我々はただ証拠不十分なかつての事件の再審を要求するだけです。それなのに真龍が私に怒りをぶつける理由がありますか?

ただ一つだけ……

ホァン

どうしたの?

リン・チンイェン

考えたことはありませんか、万一……

万一、この事件を最後まで調査した結果、得られた真相が我々の想定とは全く異なるものだとしたら……

万が一、自身の周りの全てが、巨大な偽りにすぎないと気付いたとしたら……

ホァン

それってどういう意味?

私たちが動いたのは、真相を突き止めるためじゃないの? 偽りなら暴いてやればいいよ。何をためらう必要があるの!?

もうここまで来たんだよ、他に選択肢なんてある?

リン・チンイェン

……そうですね。

ホァン……あなたの父は、良い人であるはずだと、私は思っています。

ホァン

ん? 急にどうしたの?

リン・チンイェン

……

約束してください。これから予期せぬことが起きた時は、何をおいても必ず自分の身の安全をかく――

ホァン

シッ、黙って! 人が来た、隠れて! 竈の下!

モー・ブフー

準備はできたか?

ホァン

で……できたよ。

モー・ブフー

君が担当する長寿麺は、作り方こそ簡明ながら重要な料理だ。どのような手落ちも許されない。

ホァン

わ……分かってるよ。

モー・ブフー

君は……

君の師が百珍宴に来ようとしない理由は分からないが、君を選んだのには、彼なりの理由があるのだろう。

今回の宴席後、君に私の跡を継ぐ機会をやろう。

ホァン

え? 私?

モー・ブフー

嫌か?

ホァン

あはは……あなたの弟子になれるなんて、多くの料理人からしたら願ってもないことだろうね。

けど、どうして生涯をかけて培った技術を一人にしか伝授しようとしないの?

モー・ブフー

愚問だな。鼎豊楼の歴代の総料理長が、どれほどの審査をして弟子を選んでいるか知っているか?

遠い昔の話はさておいたとしても、私の師は『食経』を編纂し、四大料理のレシピをまとめ、数十年にわたり百珍宴を手がけたのだ。

この鼎豊楼の厨房において、長年にわたり彼に師事して鍛錬を積んだ数百という料理人の中から、師も私一人だけを後継者として選んだ。

代々受け継がれてきた卓越した料理技術なのだ。気軽に他人に伝授できるはずもないだろう?

ホァン

でも、どれだけ卓越した料理の腕でも、人に料理を食べてもらうためにあるものでしょう……

モー・ブフー

……ん?

ホァン

あなたに匹敵するくらいの腕の弟子を一人育て上げることは、優れた腕の料理人をたくさん育て上げることよりも重要なの?

あなたが教える人が多ければ多いほど、料理できる人も増えるし、もっとたくさんの炎国人がより美味しい料理を食べられるじゃない……

モー・ブフー

……

……屁理屈を。敬うことを知らぬか!

早く自分の料理の準備をしろ。


ズオ将軍

……

準備は整ったか?

玉門守備軍

玉門はすでに最大レベルの戦闘態勢をとっており、都市防衛兵器はいずれも整っております。市民は全員避難し、残るは兵士二万、天師三千のみ。

軍令あらば、いつでも戦場へ参じます。

ズオ将軍

……よし。

今宵の月明かりは、果たして曇りか晴れか。

玉門守備軍

将軍、太尉の信使が到着しました。

ズオ将軍

……こんな時にか?

文は?

玉門守備軍

ありません。ただ……月餅を一箱送ってきました。

信使によると太尉から将軍宛てに伝言があるそうで。

「熱いうちに食え、冷めるのを待つな。」とのことです。

ズオ将軍

……


ズオ・ラウ

……

???

どうやらズオ公子は私のメッセージを理解されたようですね。

ジー

またお会いしましたね……公子、その後お変わりありませんか?

ズオ・ラウ

あなたは……

ジー

緊張される必要はありません。この質屋は店を閉めて長いので、人が来ることはありませんから。

ズオ・ラウ

私を誘い出して二人きりで会って何がしたいのですか?

ジー

その質問はむしろ私が公子に対して聞くべきことではないですか?

ズオ・ラウ

どういう意味です?

ジー

当時百灶に滞在していた時に気まぐれでこの質屋を開いたら、商売が繁盛しましてね。

毎日お客さんがやってきては様々な骨董品や書画、宝玉や奇石を持ち込みました……その結果、山河を弄ぶのが好きな弟が多くを持ち去り、自身の庭園へと置いていってしまいました。

最も興味深かったのは、この質屋を贔屓にしていた客には一つ共通点があったことです――彼らは皆、私に助けを求めていたのです。

ズオ・ラウ

……私があなたに助けを求めていると? 些か、自意識過剰ではありませんか。

ジー

ですが私に会いに来たということは、ズオ公子にも話したいことがあったのでは? 私なら公子が心のうちに抱える問いに答えを差し上げることができるやもしれませんよ。

ズオ・ラウ

私が気にしているのはただ一つ……あなた方が百灶へとやってきたのは、一体何が目的なんですか?

かの罪人が今炎国との開戦を決意したのなら、彼を待ち受けるのは身の破滅です――それが分からないはずがありません。

ジー

そうですね……あの兄は特に長所はありませんが、ただ縦横の術にだけは大変心得があります。

公子は玉門に現れた山海衆をまだ覚えておられますか?

ズオ・ラウ

司歳台のその後の調査と検証の結果、一味の間で別の巨獣が化した代理人が行動した痕跡が発見されました。

その件においても、ウァンには容疑がかかっています。何が言いたいんですか?

ジー

千年前の狩りにおいて、炎国領土にいた数匹の巨獣は消滅したか追い払われたかであるのは当然覚えておられるでしょう。

では、司歳台はこう考えたことはあるでしょうか? そのうちの一匹を彼が見つけられるのなら……

彼が見つけたのは、その一匹だけなのでしょうか?

ズオ・ラウ

――!

ジー

長年にわたり、司歳台は炎国における兄の一挙手一投足を常に警戒しておられましたが、彼の石が炎国の外に打たれていた可能性について、失念しておられるのでは?

ズオ・ラウ

司歳台の情報を甘く見ないでください……司歳台が巨獣たちの行動に対する観察を怠ったことはありません。そうした巨獣にもし異常な動きがあれば、巨獣学者が必ず察知します。

ジー

計算をしてみると今の時分、彼らはすでに帰路の途上でしょう。

この情報は、私からズオ公子へのささやかな贈り物だと思っていただいて構いません。いかに用いるかは、公子がご自分で決断をされればよい。

ズオ・ラウ

なぜ私に告げたのですか? かの罪人と共謀しているのなら、なぜ司歳台に彼の計画を打ち明けるような真似を?

ジー

実を申し上げると……兄とは協力関係にありはしますが、私たちの考えには多少の隔たりがあるのです。

彼は勝敗を決することに固執していますが、私にとっては、友好的に商売することの方が重要です。

そして、なぜ情報を与える相手にズオ公子を選んだかについては……公子とは気が合うと感じたと、そう思ってください。

ズオ・ラウ

なに……?

ジー

私はいくらか人を見る目があると自負しております。直感が言っているのですよ、これからもズオ公子との付き合いは続くと……

あるいは今後、我々兄弟姉妹の生死と行く方は、ズオ公子の決断に左右されるかもしれませんね。

この佳節にズオ公子とお話しする機会があったのも何かの縁でしょう……公子が今後も私のことを、言葉が通じ、語り合える「人」であると見なしてくれることを願っています。


不注意な料理人

うわっ!

リーダーの料理人

何してる!?

不注意な料理人

ごめんなさい! て、手がつって! ちゃんと持てなくて!

リーダーの料理人

お前って奴は……はぁ!

不注意な料理人

ごめんなさい! すぐに厨房に予備を運んできます!

リーダーの料理人

早くしろ! 官吏の方々はすでに席に着いている。真龍が到着され次第、宴は始まるぞ!


リン・チンイェン

……

巡回する衛兵

あの? 何かお困りですか?

リン・チンイェン

!?

巡回する衛兵

あの?

リン・チンイェン

こほん……百珍宴に出席するために参りました。

巡回する衛兵

出席される方はすでに席に着いているはずですが、あなたは……

リン・チンイェン

申し訳ありません。道中で少し時間を取られてしまいました。すぐに中に入ります。

巡回する衛兵

お待ちください。

百珍宴の招待状をご提示願えますか。

リン・チンイェン

なぜですか? すでにここに立っているというのに、まだ招待状を見せる必要があると?

巡回する衛兵

そういう決まりですので、ご了承願いたい。

リン・チンイェン

……

???

あの……失礼します! 忘れものですよ!

リン・チンイェン

あなたは……?

焦る女性

急いで出て行ってしまって、一番大切なものを家にお忘れですよ。幸いわたくしが気付いたんです。

巡回する衛兵

戸部の唐(タン)様でございましたか、大変失礼いたしました。

問題ありません。宴は間もなく始まりますので、急ぎご着席ください。

ニン・イン

招待状はわたくしが偽造したものですので、欺けるのは今回だけです。リン少卿、どうか慎重に行動してください。

リン・チンイェン

あなたのことは存じ上げています……ニン府のお嬢さんですね。

ニン・イン

ホァン様の友人でもあります。

百珍宴の料理人名簿にてホァン様の名前を見つけたので、貴殿らの計画にあたりがつきました。

あとは、真龍にお会いした後にご寛恕を請うしかありませんね。

リン・チンイェン

見当がついているのなら……かつての事件が再び明るみに出れば、あなたにも累が及ぶことは理解されているでしょう……

ニン・イン

この件で最も累が及ぶ方は、ホァン様であるはずです。

リン少卿は、すでにホァン様のために真相を詳らかにすると約束されたのではありませんか。その他の何かに気兼ねする必要がありますか?

ましてや……リン少卿が、この件の真相を明らかにすることができるのなら、その結果はわたくしにとって願ってもないことです。

リン・チンイェン

感謝します……


官吏として長年勤めてきたが、この禁城に足を踏み入れたことはほとんどない。

空にも達しそうな、荘厳な宮殿が真っすぐに聳え立っている。

高官や貴人が宴の席を埋めている。灯火は昼のごとく煌々と灯されて、月明かりが隠れた。

しかし私には見えない……

それらの名を意図的に覆い隠しているのは誰なのか、真相を明らかにしようとしないのは誰か?

先達がかつて言ったあの言葉をふと思い出した。

「お前は真相の重みを担えるのか?」


リン・チンイェン

……

ユー・チェン……あなたは一体何を見たのですか……

慌てる官吏

おかしい、すでに宴会が始まる時間だ。陛下はなぜまだいらっしゃらない?

落ち着いた官吏

焦ってはなりません。陛下はご多忙な身、何か急用があり遅れているのかもしれません。我々は静かに待つだけです。

慌てる官吏

陛下はしばらくの間ご病気だったと耳にしたが、まさか本当だったのか?

落ち着いた官吏

シッ……不用意な発言はやめなさい。


???

ふざけるな! まったくもって、ふざけている!

ここをどこだと心得ている? 朝廷から任ぜられた官吏を阻む道理が、貴様らにあるのか?

「禁軍の若き教官」

何を騒いでいる?

衛兵

戸部侍郎の唐倹(タン・ジエン)と名乗る者が来たのですが、確認したところ、戸部の座席はすでに埋まっておりまして……

激怒した戸部官吏

でたらめを! 名乗る者? 私が誰かよく見てみろ! この官印を見てみろ!

「禁軍の若き教官」

……ん?

喧噪が突如としてやんだ。

三度目の角笛が響く、戌の刻。

中天に浮かぶ明月は煌々と光を放ち、僅かばかりの濁りすら許さぬという様相で夜の色を照らし出している。


宣礼官

陛下のおなり――

百官が次々に立ち上がると、息を殺して集中し宴席の中央の位置を見つめる。

その人影が主の席に現れ――

リン・チンイェン

申し上げたきことがございます!


火。

どこから火種がやってきたのか、炎が燃え上がり、秋の夜風に乗って宴席全体を巻き込んだ。

跳ね回る炎は奇怪な異獣のように牙をむき出しにして爪を振るい、宴席の上空を徘徊する。

再び風が吹き、炎の異獣は高く舞い上がると、凄まじい速度で膨張して不穏な声を上げる。まるで大声で咆哮し、あざ笑っているかのような――

そこからあふれ出た奇怪な火はすでに百珍宴を染め上げ、この瞬間にもちらつきながら、度を失った官吏たちの顔を這い上がる。

リン・チンイェン

これは……一体?