約束されざる地UR-6・戦闘後交差した航路
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ウルサスサーミカジミエーシュクルビアボリバルヴィクトリアイェラグサルゴンミノスシエスタ

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約束されざる地 UR-6・戦闘後

交差した航路

パーク内ラジオ放送

各企業代表及びモニターの方々、ご注意ください。「プロペラパラダイス」は二時間後にD.C.と連結します。

都市間ネットワークの有効範囲に入り次第パークの生配信が自動で開始します。皆様どうぞ展示品の状態をご確認いただき、必要があれば調整を。まもなく「天空の暮らし博覧会」が始まります!

オークリー

おい見ろ、タワーマウンテンズ・バイオテックの鱗獣飛行艇だ! 期限ぎりぎりに色々改造を施して、材料の耐熱性をすごく上げたらしいぞ。

それにソーラー浮遊キッチンセットもある! たとえ星のさやの外側にいても途切れず動力を確保できるらしくて、宣伝資料を読んだ時から気になっていたんだ……うおっ!

フェルネ

窓の格子にぶつかっただけでよかったね。頭がハマってたら大惨事だったよ。

オークリー

エキスポがもう少しで始まるってのに、なんでそんな落ち着いてんだよ?

フェルネ

旅の専門家はとっくのとうに脱獄プランを完成させてるからね。タイミングが来ればすぐに連れ出してあげるから、安心して。

???

そんなにここを出たいのか?

オークリー

い、いえ……まさか。俺たちみたいなのが、そんな大それたこと考えてるわけないでしょう!

パークの警備員

その辺にしておけ。届け物を持ってきてやっただけだ。

フェルネ

……

オークリー

かなり分厚いな。文書資料に審査表みたいだな。対象者は――フェルネ・バーン?

フェルネ

公共財の破壊に、文物の窃盗、禁止エリアへの不法侵入、そして解説員の身分詐称……たかだか個人事業のガイド一人相手に、過去五年間の職歴を全部事細かに調べる必要なんてある?

パークの警備員

こいつにサイン一つさえあれば、貴様の残りの人生は監獄で手錠と足枷の解説しかやることがなくなるぞ。

フェルネ

それで、私に何をさせたいわけ?

パークの警備員

エキスポがもうすぐ始まるが放送スタジオが人手不足だ。パークに二人しかいない解説員をずっと閉じ込めておくわけにもいかない。もったいないし、後続の進行が遅れてしまうからな。

だがお前は前科がありすぎるし、ナスティの関係者でもある。

フェルネ

だから脅してやろうって?

パークの警備員

大人しくしていれば、罪を帳消しにするチャンスでもあるぞ。

フェルネ

どうやら選択の余地はなさそうね。

パークの警備員

ギュスターヴさんに感謝することだな。彼がマイレンダー応急対策管理監督協会に提案したおかげで、貴様らはこの画期的なエキスポに参加できるんだ。

放送は聞こえただろ、パークの区画が都市間ネットワークの範囲内に入って配信が開始されるまでに、我々はクルビア人全員に向けて未来を紹介する準備を整えなければならない。

フェルネ

わかったよ。放送スタジオでの仕事は全部あたしがやって、エキスポが終わるまでパークを離れない。

パークの警備員

それでいい。

二人とも出てこい、仕事の時間だ。


ジャクソン

「リターニアの全国民を代表して『プロペラパラダイス』サイエンスパークにおける『天空の暮らし博覧会』の開催に、心から祝辞を送る。」

署名は何だと思いますか?

???

金律の指揮者、九管区の守護者……とにかくあなたにとっても私にとっても読み上げきれないほど多くの肩書を持つ――

女帝ご本人でしょう。

ジャクソン

マイレンダーは生前、鋭い政治的嗅覚は一生ものだといつも言っておりましたが、なるほど本当のようですね。

ヤラ女史。

ヤラ

一生ものの嗅覚を持つなら、ワインに対するものの方がいいわ。

ジャクソン

ラテラーノが半世紀にも亘って準備していた「万国サミット」は、テラにおける過去二百年で最大規模の外交活動でした。それでもリターニアは、害にも薬にもならぬ公爵を数名派遣しただけです。

しかし、遥かに規模の小さい「天空の暮らし博覧会」には、女帝自筆の書簡で祝いを述べました……

副大統領秘書

副大統領、「プロペラパラダイス」から贈り物が届きました。大統領を模った特製の風船の束で大部分は廊下に飾り付けてあります。

ジャクソン

ありがとう、パヴァール。

ヤラ

女帝にもこのような風船で返礼をしたらいかがかしら?

ジャクソン

そして、金律法衛と高塔の術師たちに三日間かけてゴムの粉になるまで分解させると?

ヤラ

何の変哲もない装飾用の風船に見えるわ。そこまでするかしら?

ジャクソン

残念ながら、女帝の自筆書簡が届いたその瞬間からその認識は成り立ちません。この風船は先鋭な軍事科学の産物に「変身」し――風船に偽装して他国の領空に入り込める航空爆弾となります。

ヤラ

この類いの書簡は、どれだけ届いたの?

ジャクソン

ヴィクトリアの大公爵に、ウルサスの議長、そしてカジミエーシュの大騎士長に……指が足りなくなるほどですね。

前任の副大統領は、国境の移民と関税政策のために四年間悩んだそうです。一方私がこの四年間悩んだのは何でしょうか?

永久不落の都市が攻め落とされ、永遠に変わらないはずの天空が引き裂かれ、長らく沈黙していた海も声を上げ始めました。

これらの出来事が起きて以来、中核国家はいずれも「風船など存在しない、全部航空爆弾だ」だと主張するばかりの状態に切り替わりました。

では、我々はどうでしょう?

おっと、我々の風船はそもそも飛ぶことすらできませんでしたね。

副大統領秘書

こちらにお届けする前に、中の燃えやすい水素ガスを普通の空気に入れ替えてあります……安全のためです。

ジャクソン

実に安全ですね、クルビアは。

ヤラ

聞く限りだと、国家の安全保障にかかわる重要な話題のようだけれど、私のような定年退職したおばあさんを相談相手に呼んでよかったのかしら……

しかもステートビルの、D.C.で一番素敵な応接室で。

ジャクソン

私には定年退職したかどうかで、ヤラ・ブッカー・ウィルソンが変わるとは思えませんね。

かつて永夜に燃えていた「暁星」、あるいはライン生命の元人事調査課主任、どちらが相手だとしても到底相応しい招待であるとは言い難いかもしれません。

今の時代、人々は政治的主張や約束事よりも、一つの伝奇的な出来事や奇跡に感化され、まとまります。

たとえ議会で最も理知的な議員であっても、それは変わりません。

ヤラ

もし、私とウェイン議員の複数回の面会に関してお話をされているのなら、すでに感謝の念は受け取っているつもりよ……副大統領がイェラグから持ち帰った特別なお土産の数々でね。

ジャクソン

そちらは私個人的な感謝の印に過ぎません。それに観測ステーションに赴任中のライン生命の科学者たちから、すでに同じものが届いていたはずだということに、あとあと思い至りました。

もしあなたが表に出てくださり、相応しい人物がクルビアという気球の中に詰められている空気を水素へと戻す機会を生み出してくれるのであれば、感謝の気持ちを示すのは私だけではないでしょう。

ヤラ

私の常識からすると、風船の中身の入れ替えに「相応しい人物」が存在するのなら、それは風船の製造者以外にありえないわ。

彼らのため、私はこれまで一度ならず表に出てきた。

科学研究者たちは、いつも子供のように真摯だもの。だから私も、いつも結局彼らの望みが空回りするのを見るのが忍びないのよ。

その点からいえば、ええ、あなたの言う通りよ。定年退職したかどうかは、私を何一つ変えていないわ。

ジャクソン

……もちろん、ライン生命があなたにとってどれほど大事かは我々皆が承知しています。

ヤラ

見て、「プロペラパラダイス」……もう双眼鏡を使わなくても見えるわ。

彼らがクルビアの風船をどんな風に変えるか、私たちはその時が来るまで待っていればいいのよ。


モニター

どうぞご覧ください。こちらは大統領の形をした高空自動適応型風船、「プロペラパラダイス」の大人気グッズです!

風船表面の薄い膜が、外部の環境を参照して自動的に材料の分子構造を調整いたしますので、たとえ真正面から阻隔層にぶつかってしまっても爆発しません。

お嬢さん、想像してみてください。もし本当にそうなら、阻隔層の下に一体どれほどの風船が溜まるのでしょうか?

マーシア

……

エージェント試験では大学レベルの基礎物理学のテストをパスする必要があったはずです。

モニター?

物理学の限界を突破することが、このパークの存在意義ではありませんか。

マーシア

そのたくさん抱え込んだサンプルや屋台の食べ物の包みも学術研究用ですか?

モニター?

(思い切りのいい咀嚼音)

ただの偽装ですよ。後で四番プラットフォームに焼き立てコットンキャンディプラネッツを買いに行かないと――小さな真空タンクでテラ誕生の過程をシミュレーションできるなんて、ロマンです……

少なくとも特殊人物の転移なんて仕事よりは楽しいですよ。

マーシア

特殊人物とは……あのバンシーのことですか?

モニター?

そう、これまであなたが担当していたあの。

マーシア

ブリキ先輩は、もう知ってしまったんですね……

モニター?

先輩曰く、あなたには対処しなければならない緊急任務があるらしいので、件の人物に関する処理の全権はこちらで引き受けます。

マーシア

ヴァエラさんの状況は非常に悪いです。細心の注意を払って相手をしてあげてください。

モニター?

わかってますよ、年を食ったバンシーはきっと巫術に精通していますしね。認知かく乱の装置をしっかり配置して、絶対に問題が起きないようにしておきます。

マーシア

認知かく乱? だけど、彼女はもう支離滅裂な記憶に苛まれて――

モニター?

はぁ、相棒の同期はなんでまだ来ないんだろう。三十分以内にパーク内人員を全部浮遊構造層から撤収させなきゃいけないんだから、これ以上遅れるとお土産が買えなくなるじゃないか。

これからは、こんなヘンテコなものとか見れなくなってしまうというのに。

マーシア

……

まずはご所望のコットンキャンディプラネッツを買いに行かれた方がよろしいのではないでしょうか。同期の方ならもう来ませんよ。

モニター?

どういう意味ですか? 私は――

私は……ロープウェイステーションに?

そうだ、四番プラットフォームに行かなければ、最後の焼き立てコットンキャンディに間に合わなくなってしまう。


マーシア

……

申し訳ありません、ヴァエラさん。私は三十分しか時間を稼いで差し上げられません。

どうぞ、望みを叶えに向かわれてください。あなたは自由です。


ヴァエラ

……

扉が、開いた。

私を……故郷へと導く道?

……だけどナスティは……どこに……


ゴードン

パークの生配信まであと一時間。さて、どのネクタイにしようかね……

ちっ、ギュスターヴの奴、開会演説の人選はまだ決まってねぇのかよ? これ以上もたもたしてたら演説原稿も間に合わねぇぞ!

俺のパークへの貢献を全部言おうと思ったら一時間ぽっちじゃ全く足りないぞ。感謝しなきゃいけねぇ機構と部門も百以上はある。あんだけ手伝ってもらったんだ、一言言及くらい……

この期に及んで予想外のハプニングはねぇよな……?

いや何を考えていやがる! あの老いぼれは確かに俺とそりが合わねぇが、だからと言って知り合って数日のクランタを贔屓するわけねぇ。

はぁ、最後の最後まで、ギュスターヴは昔みたいに、「聞き分けよく」させるため、あの手この手を尽くして部下全員の前にうまいモンをぶら下げていやがる。

そして俺たちもマジでガキのように、元から得られるはずだった飴玉に一喜一憂するんだ。

……零五四はなんでまだ戻らねぇんだ? オフィスに情報が入ったかどうか見に行かせただけだろ?

誰だ!

……封筒?

ハッ、わかっていた……俺にゃわかってたぞ!

あんなに悩みに悩んでも結局演説のチャンスは俺にくれるってな。当たり前のことだ!

俺がどれほど苦労して部署異動のチャンスをつかんだと思う? 総務部門の一番目立たねぇヒラ職員から始めて、どれほどひねくれた問題を解決してやっと、半年内にここまで昇進したと思ってんだ?

俺こそが「プロペラパラダイス」の総責任者だ。そうとも、パークへの命名の資格は俺にしかねぇ!

おお、ギュスターヴの奴め、開会演説の原稿まで用意してくれたのか? 食えないジジイめ、本当に抜かりねぇな。

「クルビア国民の皆様、私は『プロペラパラダイス』の総責任者、ゴードン・タネンです。皆様はきっと、配信画面の前で長らくお待ちになっていたでしょう。」

「私としても心苦しい、非常に残念なお知らせがあります。『天空の暮らし博覧会』は正式に中止となりました。パーク内で重大な事故が発生したことに対して、私は逃れられぬ責任があり……」

おいまて、事故だと? 何かの間違いじゃねぇか? この原稿はむしろ――

公開謝罪の原稿じゃねぇか?


宇宙鱗獣

警報! 警報!

パトロール終了、書簡の受け取りはありませんでした。一部通路はテラ人どもに封鎖され、進行路線から推測するに、浮遊層の実験エリアに向かっています。

また、複数の高エネルギー源石製品の移動を探知しました。物品識別タグは……ゴードン・タネン所有のものとなります。

ゴードン

俺の識別タグだと……?

謝罪原稿に、零五四が持ち帰った情報……これはイタズラじみた預言ではなく、れっきとした事実である。

驚き、恐怖、怒り……無数の感情がゴードンの胸に去来する。

ギュスターヴは事故を引き起こそうとしているのか? 「プロペラパラダイス」という、全クルビア人が今か今かと待ち望んでいるエキスポで?

なぜそのようなことを? いつそんな計画を始めたんだ? ギュスターヴにとって、「ゴードン・タネン」という駒は、その中でどういう役割なのか?

「謝る」、「謝罪」――そういった言葉を、ゴードンはこの上なくよく知っている。同僚からの排斥と、彼自身のちょっとした変わった趣味のせいで、彼はいつも「規定違反」しているからだ。

目の前の薄い原稿用紙は、彼のこれまでの七年間の総集編だ。

管理局勤めの頃も彼は反省文を書いてきた。その数は数百に上る。そして、ギュスターヴが自身に謝罪を命じた姿を彼は全部覚えている。いかにして自分自身が不服から妥協に至ったかについても。

彼が得て当たり前のはずだった報酬も、子供のようにギュスターヴにねだったものも、ふたを開けてみれば結局のところいつも罪状だけだったのだ。

ギュスターヴ

ゴードン長官、君の演説原稿は届いたかね?

どうだ。できるか?

ゴードン

……

念入りに選んだネクタイが、ますますゴードンの首を締め上げる。まるで刑具であるかのように。

ゴードン

俺がやるべきことは、聞き分けよくあることだけだ。