辞歳行TA-6・戦闘前裹鋒
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ウルサス極東炎カジミエーシュリターニアヴィクトリアカズデルシラクーザレム・ビリトン
ウルサス極東炎リターニアカズデルシラクーザレム・ビリトン

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辞歳行 TA-6・戦闘前

裹鋒

望日二日前 亥の刻

横倒しになった書架の列を通り抜けた男は、辺り一面に散乱した書物を懸命に拾い上げ、本来の場所に戻していた。

リャン・シュン

「地は万民を澤し、此の奇石を賜う。天は炎祚を祐け、孽歳を誅するを得。」……しかし、この千年に及ぶ歴史の大河は、天地の祝福によって定められた運命か、それともただの偶然でしょうか?

ズオ公子に、陳家のお嬢さん……

今日あの印を持って天鏡閣を訪れたのが、よりによって彼らだとは……

偶然か、それとも……

???

この散らかりようは……いったい何があったのですか?

何者かが軽い足取りで彼の隣に近づき、身を屈めて一冊の本を拾い上げた。

ニン・ツーチウ

リャン様。

リャン・シュン

ニンさん……なぜまだ百灶に?

ニン・ツーチウ

リャン様、お忘れですか? 私も礼部の官吏なんですよ。このような時は、全ての民が避難を終えるまで、私たちはここに残るべきです。

リャン・シュン

仰る通りですね……

百灶の民衆は避難し終えたのでしょうか?

ニン・ツーチウ

避難誘導はほぼ終わりました。百灶はすぐにでも分離することになるでしょう。

どうしても不安を拭えはしませんが……リャン様もそう思われますよね?

リャン・シュン

……

ニン・ツーチウ

リャン様は、ご自身が異動されたことを伝えてもいないのに、どうして私が居場所を知っているのか不思議にお思いですか?

リャン・シュン

……

……いえ。昨晩は一晩中雨が降っておりましたので、薄着のニンさんが冷えてしまわないかと気掛かりで……

ニン・ツーチウ

……

男は散乱した本を片付けて小さなスペースを作り、二人はそこに腰を下ろした。

ニン・ツーチウ

お恥ずかしい話ですが、天鏡閣に来るのは久しぶりになります。

リャン・シュン

ニンさんもかつては……天鏡閣によく通われていたのでしょうね。

ニン・ツーチウ

学宮で学んでいた頃は、誰もがそうでしょう?

当時は天まで届きそうな本の山を眺めているだけで、死にそうなほどに頭が痛くなったものです。

ですが、今は……この天鏡閣は、世間の喧騒とは無縁でいられる、とても稀有な所かもしれないと思うようになりました。

リャン・シュン

ニンさん、お祖父様の件はお伺いしました……

その、とても残念です……

ニン・ツーチウ

……

祖父はたとえ牢に入れられるかもしれないと分かっていても、自らが信じる道義のために、正しいと思うことをなしたのです。

これほどの歳月に亘ってあの秘密を隠し通したのは、単に私心からではなく、一族の若い世代を守るためでもあったのでしょう。

ですから、感情の面でも、理屈の面でも、私は祖父を責められません。

もちろん、だからといって、彼の行動には相応の罰があって然るべき、という事実は変わりませんが。

リャン・シュン

あなたがそう割り切れているのなら……よかったです。

ニン・ツーチウ

リャン様はどうやら誤解されているようです。祖父を責めないというのは、私自身も割り切って整理がついているという意味ではありませんでした。

官吏として、私は祖父の恩恵を大いに受けてきましたから……傍から見れば、今のニン家の境遇はさぞ惨めなものでしょう……

……このような話は、リャン様以外にはいたしませんよ。

リャン・シュン

そのような言い方はしないでください。ニンさんがここ数年で残された功績は、間違いなくご本人の努力と能力によるものです。

私はニンさんを信じていますよ。

ニン・ツーチウ

信じてくださるのは、あなただけかもしれませんよ?

リャン・シュン

……

ニン・ツーチウ

祖父が以前、朝廷に足を踏み入れたなら、無闇に他人を信じてはいけない。もちろん他人から簡単に信用されると考えてはならないと話していました。

私は、確かにその言葉を守っていたつもりでした……ですが、尚蜀でリャン様と初めてお会いした時、なぜかその言葉を忘れてしまっていたのです。

ようやく、同じ志を持つ方と出会えた……そればかり考えてしまって。

リャン・シュン

それは……私にはもったいないお言葉です。

ニン・ツーチウ

もう……いつもそうなんですから。

リャン様の公正、実直で責任感のあるところは、とても素敵だと思います。でも、何事も独断で進め、人を遠ざけようとするところは嫌いです。

ですが、後になって納得しました。もしリャン様が何事においても私の思い通りに行動する人なら、それはもう「リャン・シュン」という人ではないでしょうから。

祖父を責められないことと同じように、私にリャン様を非難することなんてできるはずがありません。

リャン・シュン

……

かつての私は、どちらにも偏らぬ公正さと勤勉な姿勢を保ち、精進を続けてさえいれば、いずれ何かを成し遂げられるだろうと信じておりました。

……ですが、どれだけの歳月を経ても、己の無能さをはっきりと思い知るばかりでした。

ご祖父様のお言葉に間違いはありません。ですが何より恐ろしいことは、かつて掲げていた初心や理想を、自分自身が信じられなくなることです。

私が何事も公明正大に行ってきた、などという大口はとても叩けません。しかし白昼に晒すことを憚られるような行為は……ニンさんとは無縁であるべきです。

ニン・ツーチウ

今度は私のほうから「恥じることなんて何もありませんよ」とリャン様を慰める番でしょうか?

リャン様も私も、自分の信じる公正に従い、できうる限りのことを行ってきました。

結局は何かを変えるほどの力もなく、明日の朝日が昇る頃には、この街までも灰となって消えてしまうかもしれませんが……

リャン・シュン

少なくとも今の私には、恥じることなど何もありません。

ニン・ツーチウ

……

夜が更けていく。

悠久の歴史を誇り、今も古代の設備を保っている蔵書楼。しんと静まりかえった部屋に、水時計のゆったりとした音だけが響く。

二人の手は、固く握り締められている。

寂れた池は波を立て、朽ちた軒は口を閉ざす。偲ぶは往時、緑綬紅纓の輝きなり。

望日前日 子の刻

ズオ・ラウ

ここしばらく、字鬼の出現頻度が下がったようです。

まさかあなたが言った通り、本当にこれらの字鬼は歳獣の呼吸から生まれたのですか……?

モー・イー

そう言ったでしょ。あなたは信じてくれなかったけど。

ズオ・ラウ

ともかく、今のうちに急いで最上階まで――

モー・イー

あー……ここからは、天鏡閣の立ち入り禁止区域なのよね。

ズオ・ラウ

……何をする気ですか?

モー・イー

この字鬼たちは、倒されたら文字に戻っていくでしょ。

もしこの字鬼が、天鏡閣の禁書から化けて出たものなら……こいつらを全部倒せば、隠された炎国の秘密を読めるんじゃない?

ズオ・ラウ

なっ――?

勝手な真似をするな!

モー・イー

さて、この文字たちから、どんなとんでもない秘密が浮かび上がって来るのかしらね?

「喪」「荼」「摧」「首」……何よ、意味不明じゃない。つまんないわね。

ズオ・ラウ

天鏡閣の最上階である三階は立ち入り禁止区域です。私たちは、任務上仕方なく立ち入っているに過ぎません。

余計な行動はしないようお願いします。

モー・イー

ふふっ、ここまで来てもまだ認めないの? もうあなたも「こっち側」になっちゃったって。

ズオ・ラウ

あなたのデタラメには付き合いませんよ。自分が何をしているかはちゃんと分かって動いているので……

モー・イー

ふうん。でも、あなたが分かってないことも多いと思うけど。

この天鏡閣は、移動都市としての百灶の建設後初めて作られた建築群の一つよ。当時は誰もが利用できる図書館で、立ち入り禁止区域があるなんて話は誰も聞いたことがなかったわ。

でも百二十年前に例の代理人が死んでから、たくさんの史書や貴重な古書がその余波を受けて、中の文字が読み取れなくなってしまった。

司歳台は徹底的に研究するつもりだったけど、書物の数があまりに膨大だった。だから天鏡閣の最上階の一部を研究用として借りてるだけよ。

それから数十年が経って、あの禍乱についての議論も大方落ち着いた後は――ここはほとんど古い書物を保管するだけの倉庫になってしまったってわけ。

バカじゃないの、何が立ち入り禁止区域よ……書かれてるのが本当に知識なら、人目に触れちゃいけないわけないでしょ?

ズオ・ラウ

本当に……物知りですね。

モー・イー

ま、あなたより多少はね。

ズオ・ラウ

……あなたの言った内容は、司歳台で秘匿情報になっているわけではないはず。ですが、私は初めて耳にしました。

私の勉強不足です。

モー・イー

あなたね――はぁ、そういうクソ真面目なところがムカつくのよ。

邙山町にいた白髪のペッロー、あなたの友達?

ズオ・ラウ

ええと……ユンさんのことですか?

モー・イー

ああ、確かそんな名前だったわね。

彼、ナヨナヨしてて武術もできないぶん頭だけは回るから、話してると面白いのよね。

あなたも彼を見習ったらどうかしら?

ズオ・ラウ

確かにユンさんはとても聡明な方ですが、彼と比較してとやかく言われる筋合いはありません!

モー・イー

ふふふっ……! あなたって、役人っぽくなくなった時だけは、多少の人間味が見えてくるのね。

ズオ・ラウ

なんとでも……ところで、やはり聞いておきたいのですが、あなたはなぜ山海衆に入ったのですか?

モー・イー

……ズオ公子はそんなことを聞いて、私からどんな答えを期待してるの?

子供の頃、家に不幸があって、私は放浪の身になった。それから間違って賊の仲間入りをしてしまったけど、今も改心する機会を窺ってる……とでも言ってほしいわけ?

そんなありきたりで古臭い話、聞きたくないでしょ。

ズオ・ラウ

いえ、私は――

……まあ、勝手に続けてください。

モー・イー

殺人や略奪をする山海衆なんて、ろくな連中なわけがない。殺されたって自業自得。

でも私が一番嫌いなのは、口先だけで仁義を説く道徳家ね。自分の道徳をひけらかさないと生きていけないような連中よ。

まるで自分が生まれつき他人より正しいとでも言うような、あの口ぶり……本当に偽善者ばっかりだわ!

ズオ・ラウ

私はただ……なぜあなたは、界園から持ち出したこの印が、炎国と歳獣の戦争を阻止できると言い切れるのかを知りたいんです。

モー・イー

私からも聞きたいんだけど、それなりに司歳台にいるのに、一度も知りたいと思わなかったわけ? 司歳台が何より必死で隠してる秘密……

例の代理人が……どうして死んだのかを。

ズオ・ラウ

……

モー・イー

ふぅん、気になったことがないわけじゃなくて、気になったけど答えが得られなかった、って顔ね。

それこそ問題じゃない。あなたの言う司歳台がそんなに公正なら、どうして代理人の件を隠し続けるの?


チェン・ジャオチェン

どうしたの?

チェン

何でもない……

さっき、何も聞こえなかったのか?

チェン・ジャオチェン

本当に変な人ですね。初めからずっと上の空で。

まさか、字鬼たちに頭をやられたのかしら? それなら私にもどうにもできませんね。

チェン

いや、そういうわけでは――

ただ……なんとなく……

ここに来るのは初めてじゃないような気がしてな……

チェン・ジャオチェン

さっきここを夢で見たと言ってましたね。もしかして、また夢を見てるんですか?

チェン

……そうかもしれない。

さっき聞こえたのは……ここで二人の人間が、「公義」……いや、「公正」だったか? はっきりとは覚えていないが、そんなことについて論争をしている声だった。

チェン・ジャオチェン

それならきっと幻聴ですね。ここの本は古い史書ばかりで、今回の異変の手がかりならあるかもしれませんが、公正は……ふん、公正なんてここにはありませんから。

チェン

実体を持つ公正など存在しない……確かにあの二人はそう話していた。

チェン・ジャオチェン

ええ、それは正しいです。

まあ、そんなことより探し物をしましょう。もしかしたら、あなたのお父さんの本もここにあるかもしれませんし。

チェン

ここに私の父の本が?

チェン・ジャオチェン

本当に、自分の出自について何も知らないんですね。

チェン

……

チェン・ジャオチェン

でも、あなたのせいとは言い切れませんね。百灶育ちでもないし、そもそもあの一連の件はあなたと関係ないことですから。

チェン

……もっと怒るかと思っていた。

チェン・ジャオチェン

怒ってはいます。でも冷静に考えてみれば、あなたを責めても仕方のないことです。

私はただ……いえ、やめておきましょう。

これは、『百灶歳陽雑俎(ばいざおさいようざっそ)』……やっぱり、当時の家の者が残した史書がありましたね。

「……新君統を継ぎ、万民擁戴す。民草は先帝の徳を偲び、村落は集まりて祭るに、白旗は雲のように靡く。然れども人は心に望みを抱き、皆盛世の望を信じ、永きこの国の繁栄を……」

この本に書かれてるのは、百数年前、先代の真龍が即位したばかりのことですね。

チェン

それほど昔の出来事が、今調べていることと関係しているのか?

チェン・ジャオチェン

その真龍は生涯で数え切れないほどの功績を残しました。百灶の移動都市化も、天鏡閣の建設も、陛下の勅命で行われたものです。

もっとも、あなたも私も、その真龍の治世は経験していませんが……そういえば、あの陛下はあなたの祖父にあたる人物ですね。

チェン

……

チェン・ジャオチェン

この本の序文は、かなり……高い位の方に忖度しています。

百灶周辺の県誌を見ても、百灶の人口統計を見ても……当時の民心や世論は、ここに書かれているほど平和なものではなかったと推測できますが。

チェン

結局、語り継がれるのは一人の功績だけだ。

こういったことは、どの場所でも変わらないようだな。

チェン・ジャオチェン

あの陛下の血縁者であるあなたがそう言うのは、なんだか変な感じですね。

「百灶既に成り、帝は四方の秘閣遺典を求め、一処に収む。」

「……学士燭を持ちて編纂し、凡そ在野の旧き異聞、皆吟味し補い綴れば、散逸せる旧記をして、また完璧たらしむ。」

ここも妙です。散逸した史料を太史閣が本気で収集し始めたのは、あの代理人が亡くなった後のことですから。百灶という都市の建設から少なくとも十年は離れているはずです。

それなのに、ここの記述はあまりに曖昧です。私の一族は代々学問に厳格だったはずなのに、このような間違いを犯すなんて……

それとも……彼らが残したこの程度の書物でも、一度検閲を通す必要が……?

チェン

……

すぐ隣の人物の独り言を、チェンはあまり聞き取れなかった。彼女は変わらず周囲の異常を警戒している。

その実、チェンは早くここを離れるようチェン・ジャオチェンを促したいところだったが、相手の顔に浮かぶ寂しげな表情を見ていると、とてもそうは切り出せなかった。

チェン

まだ聞いていなかったな。キミの一族……百灶にいた家族に、当時何があったんだ?

チェン・ジャオチェン

陳家は代々史官の家系です。多少の名声はあっても、とても地位が高いとは言えません。史官としてやむを得ず誰かの恨みを買うこと以外は、ほとんど争いとは無縁だったはずです。

ですが、父が話したことは覚えています。一族の者が公主と婚姻を結ぶことになったと知り、一族は大災害に遭ったようだったと。

当時、一族で独身だったのは私の従兄だけ。その婚姻がどれほど危険なことか、彼だけでなく、一族の全員が理解していましたが、誰も拒むことはできませんでした……

そして公主が龍門で薨去なさると、間もなく従兄も病で亡くなりました。

その件で陳家は陛下のお咎めこそ受けませんでしたが、夫婦が不仲だったという噂は朝廷中に広まりました。公主を虐げたという悪名を被った以上、都での陳家の境遇は察しがつくでしょう。

チェン

それは母の本意ではない……

……ウェイの本意でもなかったはずだ。

チェン・ジャオチェン

当時、まだ幼かった私がこの目で見たのは……

朝礼から帰るなり、大きなため息をつく一族の老人たち。心労で病に伏せる一族の者たち。一度会ったきりで生き別れた兄弟姉妹たち……

目にするのは憂鬱なことばかりでしたが、当時の私はなぜそうなったのか理解できませんでした。

父は何度も転居し、家財を売り払い、最終的には百灶から一家を引き上げましたが、その理由は決して教えてくれませんでした。

それより後のことは……ふん。天鏡閣の典水官になったばかりの頃は、歴史を書き記すという道を私の代で絶やしてはならないと考えたこともありました。

当初、典水の職に不満はありませんでした。どうせ機械に取って代わられていた閑職ですが、同僚も付き合いにくい人たちとはいえ、位の高い人に媚びて低い人を踏みにじったりはしませんでしたし。

だから思ったんです。どうせ時間はあるんだし、せめて一族の史書くらいは編纂しようと。

ですが、典水という職の位が低すぎたせいでしょうか。史書の編纂を始めた私は、出口のない霧の中で迷ってしまったかのように混乱し始めました。

私の一族が何一つ過ちを犯していないと知ってるのに、私の目が届く史料全てには、一族が上から下までどれだけ傲慢だったかだけが記されていました。

だから私は一族の生き残りを探し、事実を直接聞き出そうとしました。でも彼らは、私の「陳(チェン)」という苗字と、世代を示す「昭(ジャオ)」という文字を見ると、皆逃げ出すんです。

たまに会ってくれる人がいたとしても、役所のような受け答えばかり。何かと謝ってはきますが、当時本当は何があったのかについては一言も語ってくれませんでした……

そんなことに十年も費やしたせいで、しまいには私自身まで「陳家が公主を虐げたんだから、その罰を受けるのは当たり前だ」って信じてしまいそうなんです!

でも私は……私はずっと知ってるんです、そうじゃないんだって!

私は一体何なんですか? 陳家は? あなたの死んだ両親は?

……歴史って、一体何なんですか!?

チェン

歴史は、真実のみを語るべきだ……私はそう信じている。それが私にとっての公義だ。

チェン・ジャオチェン

……ありがとう。

チェン

キミが編纂したいと言っていた一族の史書についてだが……

正直……実の両親は早逝したから、彼らのことは曖昧にしか覚えていない。

ウェイはあんな男だから、保護者がどんな人かを誰かに説明する時はかなり苦労した。便宜上、時にはあの男と実父のイメージを混ぜてデタラメな説明をしなければならなかったくらいだ。

覚えている限りで母が笑った記憶はないし、父に対してもあまりいい印象はない。

チェン・ジャオチェン

……

チェン

完全に他人に定められた人生……存在しないも同然の責任や名誉で縛られた人生を送る感覚とはどのようなものか、私には想像もできない。

キミたちにとっても、彼らにとっても……何もかもが不公平だ。

チェン・ジャオチェン

誰にとってなら、この世の中は公平で公正だって言えるんでしょうね。

チェン

過去に我々が探し求める公正はない、と私に言った人がいた……だが私は、そのような過去を忘れるべきではないと思う。