人々、我々PA-2・戦闘前枷に繋がれて
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ウルサスサーミ極東炎カジミエーシュクルビアボリバルリターニアヴィクトリアイェラグカズデルシラクーザ
ウルサスサーミ極東炎カジミエーシュクルビアリターニアヴィクトリアイェラグカズデルシラクーザレム・ビリトン

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人々、我々 PA-2・戦闘前

枷に繋がれて

仲裁人

静粛に! 静粛に!

ゾーヤさん、私の質問にお答えください!

アブサント

さっきお答えした通りです。

自分の目で見ていないことは説明できません。陛下を暗殺しようとした反逆者とソニアに関わりがあるかどうかについては、私にはわかりません。

仲裁人

ですが、委員会に提出された告発資料によると、貴方がたは常に行動を共にしていたはずです。

アブサント

いいえ、それは違います。

すでにお話しした通り、私はこの件を全面的に支持していたわけでも、「自治団」の一員でもありません。ご覧の通り、私は――

仲裁人

それは承知しています。彼女たちは貴方にバッジの一つも支給していないとのこと。

アブサント

……それと、失礼を承知でお聞きしますが、公聴会はすでに質疑の段階に入っているのですか?

書記官

第八十七号臨時審査公聴会の事前規程によると、全ての証人と証拠の関連性が十分に明確化された場合にのみ、質疑への移行が可能とされています。

それまでは、証人は質問への回答を拒否することができます。

アブサント

わかりました、ありがとうございます。

書記官

仲裁人殿……?

仲裁人

……ゾーヤさん、貴方の資料や記録には目を通しました。そこから窺い知れることも多数あります。たとえば――

「いい子」でいる道を選ぶこともできるでしょう。

アブサント

……

仲裁人

次の証人をお呼びください!

書記官

仲裁人殿は二人目の証人をお呼びになりました。一人目の証人は席へお戻りください。

アブサント

ありがとうございました。

え……? どうしてあなたがいるの?

冷ややかな少女

……

ふん。

仲裁人

では証人、お名前を。

ウクシク

ウクシク。

仲裁人

少々珍しいお名前ですね。

仲裁委員

(小声)アルチョーム議員、こちらの資料をもう一度ご確認ください。

仲裁人

(小声)身寄りのない浮浪児で、年上の浮浪者に守られて生き延びていた。なお彼女の世話に当たっていた者は、学生自治団の手にかかり死亡した……

仲裁委員

(小声)彼女と学生たちの関係は決して良好とは言えません……何を話し、何を伏せるべきかについては、予め言い含めてあります。

仲裁人

……

さて、ウクシクさん。怯えることはありません、事実をお聞かせください。

ウクシク

別に怯えてはないけど……えっと、「敬愛する仲裁委員会のみなさま」? こう言えばいいんだっけ?

あの夜――

ウクシク

あたしは街角で新聞を売りながら、アントーシャが交代の人を寄越してくれるのを待ってた。

後でまた話すけど、アントーシャはあたしたちのボスね――とにかく、たくさんの人が会場の方に走っていくのが見えた。一瞬、あの人の身に何か起きたのかもって考えが頭をよぎった。

それから警官がわらわら出てきて、通りをほとんど塞いじゃった。「あーあ、すぐに逃げればよかった」って思ったよ。

そんなときに仲間を見つけたの。その人は人混みにもみくちゃにされながら、ぽかーんって突っ立ってた。あたしに気づいて、何か叫んだみたいだけど――


ウクシク

あたしがちゃんと聞き取れてないうちに、その人は警棒で頭を殴られて、姿が見えなくなっちゃった……

仲裁人

お待ちください!

それほど事細かな叙述は無用です……事情が複雑になってしまいますからね。

ウクシク

じゃあ、どうすればいいの? あたしはただの子供だし、文字だって全然読めない。物売りの人みたいに要領よく話せるわけないよ。

そうだ、おじさんが教えてよ。言われた通りに読み上げるから。いい考えでしょ?

仲裁人

いけません!

仲裁人は、隣にいる貴族を鋭く睨みつけた。男は仲裁人と目を合わせようとせず、ハンカチで額の汗を拭っている。

仲裁人

しかし、貴方の脈絡のない証言からは要領を得られません。それなら、いっそ初めから話していただきましょう――貴方がたの組織はどのようなもので、仲間やリーダーとは何者なのか。

そして、当時あの場所にいらっしゃった理由も。ご存知のことを、全て包み隠さずお話しください。

ウクシク

すべて?

仲裁人

ええ、全て。

ウクシク

ちょっと時間かかるかもだけど……座って話してもいい?

仲裁人

なりません!


でも、「初めから」って言われてもなー……「初め」って、どこからなの?

生まれたときから? でも、そこはあんまり話すことないかも。お母さんはあたしを産んでくれたけど、薬を買うお金がなくてすぐに死んじゃった。

あたしを捨てたお父さんは……もっと話すことないよね。そもそも、ほとんど覚えてないし。

配管の清掃員をやらされて、あたしと同じ三、四歳くらいの子供たちが源石配管の中で窒息死していくのを見て……

あ、もしかして話しちゃいけないことだった? ずっとウルサスでは合法なんだと思ってたよ。

はいはい、やっぱり「あの日」のことから話した方がよさそうだね。あたしがアントーシャと出会った日から……


ウクシク

ねえおじさん、もう悪いことはしないから、おうちに帰して? こんなに長く閉じ込められてたら、パパとママに心配されちゃう。あたしが本当にいい子なのは、二人が証明してくれるから!

怠惰な警官

今日は月曜だぞ。

ウクシク

それがどうかしたの?

怠惰な警官

いい子なら、月曜は学校にいるはずだ。街中でスリなんてしてないだろう。

どれ……学校が終わるまであと三時間もあるな。パパもママもまだ心配する時間じゃない。

ウクシク

くそっ、ここから出してってば!

???

ははっ、あの顔を見てみなよ。

ウクシク

ちょっと、何笑ってるの?

拘束された労働者

俺か? 別に笑ってないが……

ウクシク

あんたじゃない! そっちのあんたに言ってるの。ねぇ、何で笑ってたわけ?

拘束された学生

あいつを見て笑ってたのさ。ほら――

その学生が目配せする方向を見たら、さっきのだらけた警官がパイをじっと見つめてた。食べるかどうか迷ってたみたい。

もうすぐティータイムだし、迷うのもしょうがないよね。だってここでお腹いっぱいになっちゃったら、十字通りの焼きたてクッキーは諦めないとだし。それにしても……

あのフルーツとクリームたっぷりのパイ、すごくおいしそう。見てるだけで、何度も唾を飲み込んじゃった。でも、やっぱりわからないのは――

ウクシク

あれのどこが面白いの?

拘束された学生

もっと近くにきなよ。こっそり教えてやるから――

あいつ、このまま迷ってたら、本当に食べ損ねちゃうぜ。

ウクシク

どういう意味?

拘束された学生

賭けてみるかい? ……どうして嫌がるのさ。まさかビビってるのかな? ふっ、だったら見てなよ……

その人のことは、ちっとも信じてなかった。あたしは勝ち目のない賭けは絶対にしない。

警官がちらっと時計を見た――班長があと十五分で戻ってくる。そうなったら、お菓子を食べるチャンスを逃してしまう。

ついに決心したのか、警官は大きく口を開けて……

拘束された学生

アントーシャ、こっちだ!

「アントーシャ」って呼ばれた男子学生は、あたしの隣の学生に相槌を打つと、手際よく警官をねじ伏せた。それから鍵を奪って、隣の学生に放り投げた。

アントーシャ

急げ、派手にやりすぎてしまった。すぐ連中に気づかれるぞ。

拘束された学生

いきなりマイクロ源石爆弾を使うなんて! あれって、それなりに高いやつなんじゃないの? よくマトヴェイが許可してくれたね。

アントーシャ

俺が何かするのに、あいつの同意は必要ない……それに、人の命より貴重なものなんてないからな。

拘束された学生

いいや、何より貴重なのは「自由」だろう?

鎖が床に落ちて、その学生は牢屋から出ると、アントーシャの肩を軽く小突いた――あとで知ったんだけど、二人の間では信頼と感謝を示すやり方だったみたい。

ウクシク

ねえ――待ってよ! あたしも連れてって!

アントーシャ

お前の知り合いか?

聞かれた学生が首を横に振る。でも、絶対このチャンスを逃しちゃだめだ。じゃないと、あとで警官たちが来たら、あたしは八つ当たりされるに決まってる。

ウクシク

あたし……あいつらにいじめられてるんだ! それに、もう行くあてもないの!

こういう言い方じゃだめ? でも、だからってあたしを見殺しにするの!?

あたし、役に立てるよ! いろんなこと手伝えるから――あんたたちもあたしと一緒で、いい人なんかじゃないんでしょ? ちょっと見ただけでわかったんだから!

少し遠くで、警報が鳴った。アントーシャは表情をちっとも変えない。この人が普通の人なら、あたしの言葉は何も響いてないってことになる。

アントーシャ

そうだな……確かに俺たちは「いい人」じゃない。

一応聞いておくが、お前の家はどこだ? よければ送って――

ウクシク

家? オドエフ区の下水道のこと? あんなところに送ってくれなくていいよ。

アントーシャ

……

ほら、鍵だ――自分で開けられるな?

できるに決まってる。


アントーシャの後を追って警察署を出る前に、あたしは床に落ちてたパイを拾った。ほとんど汚れてはなかった。

あたしは必死に走りながら、パイにかぶりついた――本当に美味しくて、死んじゃうんじゃないかってくらい甘かった。あの警官もさっさと食べればよかったのに。

そうしてあたしたちが行き着いたのは、カトルガ区だった。


アントーシャ

ここには百人以上の老人や病人、体の不自由な者と、彼らを支える家族たちが残されているんだ。これ以上の失敗は許されないぞ。

パヴロヴィッチの手下は日ごとに増えているし、装備も強化され始めた。俺たちが爆弾で出口を開けたところで、すぐに塞がれてしまうだろう。そして残りの爆弾は……もって二回が限界だ。

一刻も早くパヴロヴィッチを排除しなければ、状況を覆すことは不可能になる。

救出された学生

うんうん。

アントーシャ

それからユーラ、パヴロヴィッチには何人ほどの護衛がついているか、確認はできたか?

ユーラ

しっかり張り付いてるのが二人。他は確認できてないね。

アントーシャ

以前お前が出した案は、すでに計画に組み込んである。あとは――

ウクシク

食べ終わったよ。おかわりある?

アントーシャ

パンが入ったカゴを渡してやれ――いいかユーラ、この顔をよく覚えておけ。明日ツァレフグラード区に入って、この人を探すんだ。彼は俺たちに協力を――

ウクシク

けほっ。水はないの? パンが喉に……

アントーシャ

水筒は棚の上だ――ユーラ、あいつはいいから俺を見ろ! 舞踏会まであと数週間だ。中に潜入したら真面目に働いて、ボロを出すなよ。わかったな?

ユーラ

わかってるって。舞踏会のボーイなんて、前にもやったしね。

アントーシャ

今回は冬季舞踏会だぞ。お前は確かに俺たちの間では誰より身軽で器用だが、目的を果たすためには、普段のように怠けてはいけないんだ。

ユーラ

僕のどこが怠けてるって言うんだい? それに、僕たちが普段やってることと同じじゃないか。金持ちから財布をスったり、放置自転車をパクって転売したりさ。

アントーシャ

……お前は一日にいくつも愛を綴った詩を書いているようだが、どれも相手は同じなのか?

ユーラ

野暮な質問だね。富の再分配は確かに重要な問題さ。だからって、みんなが君みたいに一日中ムスっとしてる必要はないだろ。

アントーシャ

ただの忠告だ。俺たちの活動は、今でもウルサスの支配者から「犯罪」だと見なされているんだぞ。それに、この活動の目的は――

ユーラ

……「復讐」、だろ?

アントーシャ

そう、復讐だ。だがそれだけじゃない。

先生が俺たちのために死んだのは、俺たちならウルサスを解放し、未来に自由を……本物の自由をもたらせると信じていたからだ。

ギィー……

壁際に立って、水筒を抱えて水をごくごく飲んでたら、急にドアが開いた。

入ってきたのは、すらっと背が高くて若い男の人だった。すごく疲れた顔をしているのに、背筋は鉄筋で固定されているかのように、真っすぐ伸びている。

その人は、水筒で水をがぶ飲みしているあたしを見て、不思議そうに首をかしげた。でも、結局何も言わなかった。

ユーラ

おかえり、マトヴェイ。君の分のパンは残して――あれ? もう端切れしか残ってないじゃないか。誰が食べたんだ?

あたしは口を挟まずに、水筒を元の位置にそっと戻した。

アントーシャ

その……この子は俺が警察署から連れてきたんだ。だから……

マトヴェイ

何を話していたんだい?

ウクシク

貴族を見くびってたから失敗したとか、この課題は次に活かそうとか……そんな感じのことだよね?

マトヴェイ

……子供の前で、人殺しの話をしていたの?

ウクシク

人殺し? あー……今の話ってそういうことなんだ。

アントーシャ

暗殺リストに列挙した貴族の始末は、俺たち全員の総意だ。だから必ずやり遂げなければならない。

マトヴェイ

君のリストはどんどん長くなる一方だ。いつのリストの話をしているのかわからないな。

アントーシャ

……ウルサスがクズどもを生産しなくなれば、リストも必要なくなる。

マトヴェイは、アントーシャの顔をじっと見つめていた。そして無言のまま、さっきあたしが置いた水筒を彼に投げた。

ウクシク

えっと……あのさ、人殺しの話だからって、別にイヤとか思わないよ。人は生きてるか死んでるかのどっちかだし、そんなに話しちゃいけないことでもないんじゃない?

アントーシャ

頼むから、お前は黙っていてくれ!

マトヴェイ

もう余っているベッドはないよ。

アントーシャ

なんだと?

マトヴェイ

その子を連れて帰る前に、どこに寝かせるか考えなかったの?

ウクシク

あたし、床でも平気だよ。

アントーシャ

ほら、本人は床でもいいと言っているぞ。

マトヴェイ

……

アントーシャ

……

マトヴェイ

…………

アントーシャ

…………

わかった、俺がなんとかする! 確かに、誰かを連れて帰るなら、そういうことまで考えておくべきだった!

マトヴェイ

というわけで、問題が解決するまではこいつのベッドを使えばいいよ。こいつは工房の倉庫の隅で適当に寝かせておくから。

アントーシャ

お前が言うならそれで構わない。そもそもお前がいなければ、今住んでいるこの場所を建てることすらできなかったからな。

マトヴェイ

お嬢ちゃん、あと何度かは君にお腹いっぱい食べさせてあげられるはずだ。だからゆっくりここで休んだら、一緒に家に帰ろう。

ウクシク

帰る? どこに?

アントーシャ

マトヴェイ、この子は――

マトヴェイ

ああ……ごめん。

でも、君は僕たちと一緒にいない方がいい。

ウクシク

どうして!? あんたたちが学校に通えるような貴族だから? あたしは学校なんて行ったこともないけど、いろんなことができるのに!

マトヴェイ

僕たちは、君が思っているような学生じゃないんだ……

(小声)アントーシャ、今の状況がどれだけ危険かわかっているだろう。こんなことをしてる場合じゃ――

ウクシク

知ってるよ! あんたたちも、財布を盗んだりしてるんでしょ? あたし、そういうの得意だから手伝わせてよ。今回はたまたま失敗して捕まっちゃったけど……

お願い、絶対に役に立てるから。うまくやれたときに、ちょっとだけパンを分けてくれるだけでいいから。少食だからそれで十分だし……

もう、帰るところなんてないんだ。

マトヴェイ

……

アントーシャ

……聞いただろ、マトヴェイ。この子も帰る家がないんだ。

ユーラ

体が小さいから、僕より人目につきにくい。それに、外と連絡を取るための保険は残しておいた方がいいんじゃない?

アントーシャ

いいか、俺たちがパンを分けてやったのは、施しなんかじゃない。ただ助けを必要とする人に手を差し伸べただけだ――お前は誰かの施しに頼らずとも生きられるんだ。

人は誰しも、胸を張って生きる権利がある。真剣に働いてもまともな生活ができないとしたら、それは絶対にその人自身のせいじゃない。

そこで、一つ聞いておきたい。

高みで特権を貪る者どもを一掃し、誰もがあらゆる権利を平等に享受できる……そんな日が、いつか来ると思うか?

正直、アントーシャの話はよくわからない。でも、すごく真剣な顔をしてたから、あたしは頷くしかなかった。

ウクシク

つまり、みんながパンとか……ううん、ケーキまで食べられるようになる、ってことだよね?

毎日お腹いっぱいになれるなら、嬉しいに決まってるよ。

アントーシャ

よし、いい回答だ。

俺たちの「無縛者同盟」に歓迎しよう、ええと――

アントーシャはちょっと気まずそうな顔をした。たぶん、これまであたしの名前を聞いてなかったことに、やっと気づいたんだろう。

マトヴェイ

お嬢ちゃん、名前は?

ウクシク

名前? そんなのないよ。「この子」とか「あいつ」とかって、名前じゃないし――アントーシャからそう呼ばれた時は、一応あたしのことだってわかったけど。

アントーシャ

ずいぶん刺々しい話し方をするんだな。まるで、すぐに人を噛む小さい生き物のようだ。

マトヴェイ

チクチク噛んでくるやつ――「ウクシク」。どうかな、君にピッタリの名前じゃない?

ウクシク

はあ? そんなの絶対イヤ――

マトヴェイ

おいで、ウクシク。一緒にきれいな枕を探そう。

ウクシク

だから、その名前はやめてってば!

ぜったいに、ぜーったいに、イヤだからね!

まあ、結局はその名前を受け入れたんだけど。ほんとヘンテコな名前だよね。

けどその名前は、きっとみんながあたしを仲間として認めてくれた証なんだと思う。

そうして、あたしは初めて、追い出されることのない居場所を手に入れた。

一ヶ月後

p.m. 5:30 冬季舞踏会開幕一時間前

アントーシャ

ユーラの準備はできたか?

決然とした女子

うん、薬もナイフも渡してきたわ。舞踏会が始まったら、シャンパングラスの山をトレーに乗せて、ターゲットに接近する手はずよ。

人を殺すだけなら難しくない。でも、そのあと逃げ切れるかって言うと……薬とナイフ、ユーラはどっちを選ぶかな。

アントーシャ

あいつなら、一番目立つやり方を選ぶだろう。

決然とした女子

そうね、私でもそうする。

先生がよく言ってたっけ。正義を実行するだけじゃだめだって……

アントーシャ

正義の実行を、皆に見せつけなければならない。

今回の作戦はかなり危険だが、冬季舞踏会は民間警備員の立ち入りが禁止されている――その点では最大のチャンスだ。だがユーラは……いや、あいつを信じよう。

決然とした女子

もっと前向きに考えなよ、アントーシャ。私たちは、あなたが肩を落とす姿を見たくてここまでついてきたんじゃないんだから。

アントーシャ

……お前たちは、俺についてきたわけじゃない。俺たちは皆、自分の意思でここに集まっているんだ。

決然とした女子

わかってるよ。あなたは私たちの「リーダー」じゃないってことくらいね。

でも理想だけじゃ、どこに行けばいいかわからないでしょ? カトルガ区で闘争を起こそうって提案したのはあなたなんだから。

アントーシャ

……パヴロヴィッチさえ死ねば、皆を連れてここを離れられる。長かった反抗がついに終わるんだ。

マトヴェイ

アントーシャ。

そのとき、作業着を着た、学生くらいの年頃の人たちが部屋に立ち入ってきた。彼らはみんなアントーシャの仲間で、「重大な使命」を成し遂げるために集まってたみたい。

たくさんの「重大な使命」が連なれば、一つの「偉業」になる――アントーシャはそう教えてくれた。

みんながアントーシャの周りに集まって、彼の言葉を待つ。大きく息を吸う彼の胸元を、窓から差し込む光が照らしてた。

アントーシャ

一人ひとりの顔がよく見える。我が学友、我が先輩、我が戦友の顔が。


お前たちを見ていると、初めて出会ったあの頃が浮かび上がってくる。

あの頃、俺たちはある偉大な人物のもとに集い、その教えに耳を傾けていた。

俺にはわかる。今もなお、お前たちは当時と同じように「三つの問い」について考えを巡らせていることが――

ウルサスは、なぜこのような姿に成り果てた?

ウルサスは、この先どこへ向かう?

そして、我々には何ができる?


俺には見える。お前たち一人ひとりの瞳に沈む、この国に対する絶望が。なぜなら、俺も同じ意志を抱いているからだ!

俺たちは行動した。ただ空想に耽り、理想を語るだけの無能な跡継ぎどもとは違い、行動に移したのだ!

だが平和的な手段は、全て徒労に終わった……結果、俺たちは代償を払わされるばかりだった。

言葉や文字は、あまりに無力だ。この腐りきった、悪臭を放つ巨大な帝国を動かすことなど到底できはしない。

先生は、俺たちが「平和」を選んだがゆえに命を落とした。自らの命と引き換えに、俺たちの命を救ってくれたのだ!


お前たちを見ていると、牢獄の鉄格子越しに仲間を見つめていた日々を思い出す。そして、処刑場で涙をこらえながら見た鮮血を――

あれは、俺たちのために流された血だ!

血は……とうに流し尽くした。もはや俺たちの中に、刑罰や死を恐れる者など一人もいない!


アントーシャ

俺たちは渇望する――

全員

自由を。

アントーシャ

俺たちは要求する――

全員

破滅を。

アントーシャ

これまで俺たちを縛りつけていた、全ての法に背け! 法こそが、先に国民に背いたのだから!

腐敗した、無用な制度と機関を打ち倒せ! もはや修復など不可能な代物なのだから!

パンと自由のため、焼き尽くし、吊るし上げ、全てを打ち砕け! 過去の全てを粉砕した廃墟の上でこそ、ウルサスは――

全員

生まれ変わるんだ!

アントーシャ

俺たちは、もう縛られない。それこそが――無縛者同盟だ。

みんなの声が響き合って、頭がくらくらする。だから、あたしはマトヴェイの隣に立つしかなかった。彼だけが、最後まで黙ったままだったから。

言葉の意味はわからなかったけど、アントーシャが何かを言い終えるたびに、こっちを見てたことには気づいてた。

もちろん、あたしを見てたわけじゃない。たぶん……あたしの側にいたマトヴェイを見て、何かを確かめてたんだと思う。

二人がどんな約束をしてたのかは知らないけど、もしアントーシャが間違ったことをしたら、マトヴェイは止めるはず。それだけはわかってた。

そしたら……

ウクシク

そこにいたの。あたしたちが迎えにいくはずの――ユーラが。人混みの中で、ぽかんと立ち尽くしてた……

ユーラは暗殺できなかった。そうして、あたしたちの計画は失敗に終わっちゃったの。

ウクシク

たぶん、こんなことを考えてたんじゃないかな……どうして会場の外に、こんなにたくさんの学生と警察がいるんだろうって。

「この人たちは、一体何のために戦ってるんだろう?」って。