喧騒の掟CB-9・戦闘前0:01A.M.
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ウルサス極東炎カジミエーシュリターニアヴィクトリアカズデルシラクーザレム・ビリトン
ウルサス極東炎リターニアカズデルシラクーザレム・ビリトン

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喧騒の掟 CB-9・戦闘前

0:01A.M.

ガンビーノ

……さて、これで終わりだ。

ワイフー

くっ——!

ガンビーノ

いや、強ぇ女だったぜ。面白いカンフーを見せてもらった。

だがお前に付き合って、グズグズしてられねぇんだ。

すまねぇなぁ、お前ら二人と、それからあの裏切り者、みんなここで死んでもらうぜ。

野郎ども、ハジキ構えろ!

マフィアA

はっ!

ワイフー

人海戦術ってわけですか……

カポネ

そう簡単には終わらねぇぞ、ガンビーノ。

聞け。お前らの言う「ボス」が引き金を引いたその瞬間、正式な決裂となる。お前らも今後ガンビーノファミリーとは一切の繋がりがなくなる。だから手加減はするなよ。

マフィアB

了解!

ジェイ

ワイフー、こっちもだぜ……

ワイフー

私たち、完全に板挟みになってますね……

ガンビーノ

ハッ、ファミリーがバラバラになって、獲物だった奴らがハンターになって、お互いに仕掛けた罠にかかって混戦模様ってか。

この状況、シラクーザのあの時と本当にそっくりだよなぁ……ただ今回は、俺たちが必ずこの博打をモノにする。

カポネ

お前にツキが回ってこないのは残念だぜ。

鼠王

いや、もう十分だ。全員動くな!

カポネ

——!

ガンビーノ

——なんとまぁ、あの汚ぇ場所から、わざわざここまで来やがったのか。

鼠王

ガンビーノさんや、実に残念だよ。ワシはお主のファミリーには十分にチャンスを与えたつもりだったがのう。

ガンビーノ

ハッ、元々テメェと信頼関係なんかねぇよ。俺はファミリーをシチリア人以外のバケモンに任せられるって本気で思うわけねぇよな?

鼠王

シチリア人、か。ワシはまだシラクーザに足を踏み入れたことはないが、それでも分かるぞ。お主らがシチリア人を名乗るのに相応しくないとな。

ガンビーノ

……テメェ、何するつもりだ?

鼠王

質問の機会は既に使い切っとるぞ。お若いの、龍門ではそんなに何度も反則を働ける機会はないのじゃよ。

お主も、そちらのお主も、もう一線を越え過ぎてしまったのじゃ。

カポネ

……

ガンビーノ

おい、まさか約束を破るつもりか?

鼠王

お主とは約束などした覚えはないがのう。

ガンビーノ

フン。本当に俺らの相手になれると思ってんのか?

テメェは下水道の王座でふんぞり返って、テメェのために必死に働く奴らに、あれこれと指図してるだけだろう。違うか?

鼠王

ファミリーの長ならば、お主はもっと視野を広くするべきだとは思わぬか?

ワシらが経験してきたことと比べたら、お主のシラクーザでの挫折なぞ雀の涙じゃ。

ガンビーノ

黙れ!

鼠王

……お主は、鋼鉄の奔流が城下に迫る様を見たことがあるのかね?

移動する都市がぶつかり合い、硝煙が空を覆う様を、瀕死の感染者がゴミ山の傍で腐乱し、断末魔の叫びを上げるところを……

お主は何も知らないのじゃよ。にもかかわらず、都市そのものに喧嘩を売ろうとしている。

カポネ

(奴の力は……常識を超えている。奴とあの女の隣の……)

(クソ、今はこれ以上鼠王に逆らったらヤバい……まだその時じゃない……)

ガンビーノ

……テメェは自分が龍門全体の代表だとでも思ってるのか?

鼠王

むしろ、龍門がワシを代表できるとでも思ってるのか?

ガンビーノ

戯れ言を! くらえ——!

——っ!

ワイフー

誰も許してませんよ、この方に手を出すことは。

ジェイ

……避けろ、ワイフー!

ガンビーノ

チッ! 邪魔だ!

鼠王

ありがとう。お主がジェイ坊だな。話は聞いているよ。

ジェイ

アンタが親父さんの話によく出てくるあの……

鼠王

ふふ、旧友じゃよ。

龍門のために彼奴らを止めようとすること、そして正義を貫くお主らの心意気には感謝しとるよ。

すぐにここから離れなさい。

ワイフー

ですが——。

鼠王

ワシはな、約束したのじゃ。もう子供たちをこのようなことに巻き込むまい、とな。

ジェイ

……ワイフー。

ワイフー

わかりました。


鼠王

さて、子供たちはもういない。お主らの勝ち目はなくなったぞ。

武器を捨てて降伏するのだな。まだ少なくともお主らの「家族」は生き延びられるかもしれん。

ガンビーノ

その手の脅しが効くとでも思ってんのか?

鼠王

……お主は今、ワシらの土地に立っている。ワシらにとってこの土地は、お主にとってのシラクーザと同じさ。いずれお主はそれを理解できるようになるだろう。

テーブルに重ねたチップはすぐに崩れるぞ、若者たちよ。

マフィアA

り、流砂!? 早く逃げろ!

マフィアB

うわああ! お、俺の手が! あの砂に触るな!!

ガンビーノ

クソッ、やりやがったな、テメェ!

ケッ。

鼠王

落ち着くのじゃ、若者よ。お主の剣など、ワシにはかすりもできぬのじゃぞ。

周囲の仲間たちを見渡してみるのだな。この街は既におびただしい血を流してきた。ワシはもう「家族」同士が殺し合うのを見たくないのだよ。

これが最後の警告じゃ。

ガンビーノ

俺はな、二度腰抜けになるつもりはねぇんだよ——シラクーザを出たのが、ファミリーの存続のためにした最後の妥協だ。

尻尾を巻いて逃げ出す醜態を敵に晒すなら、真のシチリア人としてここで死ぬ方がマシなんだよ。

鼠王

お主が戦士であれば、それも良かろう。だがな、組織を預かる首領としては失格じゃな。

お主はもう少し振り返って、人の心をはかるべきだったな。今頃はもう手遅れじゃが。

ガンビーノ

ぐあ——!!

カポネ

——終わりだな、ガンビーノ。お前はファミリーを道連れに身の程知らずのことをやったんだよ。

ガンビーノ

カポネ、テメェ、よくも!!

カポネ

あんまり騒ぐなよ。そうすりゃ少しは楽に死ねるかもしれねぇぜ。

ガンビーノ

んぐッ…っ!

カポネ

……フン、少しも驚かねぇか。それとも俺がこうするのを待っていたのか?

鼠王

お主はどうしたいのだ? ボス殺しの策略家よ。

カポネ

俺はファミリーの全てを捧げるのさ。奴らとこの龍門で生き延びるためにな。栄光だのと共に無駄死にするつもりはねぇ。

鼠王

……惜しいのう。もしお主らが本当に心を一つに協力していれば、シラクーザであの女に追い出されることもなかっただろうに。

カポネ

そんなことも知ってやがるのか。まぁ、詮索はしねぇ。龍門には龍門のルールがある。

鼠王

――そうじゃ、龍門には龍門のルールがある。

お主は、自らの手で龍門に楯突く跳ね上がりを処分したのだから、自分はもうケジメをつけた。そう言いたいのじゃろう? 違うか?

カポネ

俺のファミリーは、アンタに従うつもりだ。

鼠王

……「俺のファミリー」か。

お主は色んなことをはかり損ねたな。だからこそ、この状況でこんな策を採ったのじゃな。

カポネ

確かに今夜は想定外のトラブルばかりで、俺だってベストな選択ができたわけじゃねぇ。だがこれは駆け引きだ。

鼠王

……うむ、駆け引きか。

なるほど。お主の言うことも一理ある。結果としては悪くないし、合理的な判断だといえる。

カポネ

ならば——!

鼠王

しかしそれは龍門のルールだ。

ワシのルールではない。

カポネ

——。

鼠王

ワシには最初からお主の忠誠心など必要としておらぬのだよ。

カポネ

……

はっ、お前ら……そういうことかよ。最初からお前らそうだったんだな! 俺はお前らのためにと思っていたが、そんなもん俺の一人芝居だったということか。

マフィア

……俺たちはただ、より簡単に生き延びる方法を選んだだけなんですよ。

鼠王

龍門に浸透したいという勢力は多い。どんな連中が来たとしても、大きな一枚岩をたたき割るのは難しいが、内紛で粉々になった砂粒を捨てるのは容易いことだ。それがお主らだ。

とはいえ騙し合いを見るのは面白いものでない。それが家族同士の殺し合いならなおのこと、ワシはそれを快くは思わぬ。

そしてお主は、自らの手で自分の兄弟に手を下したな。

ただし今回の件に関しては、まだワシは許容できる。だから、お主はまだ殺さぬよ。

だがお主はワシに逆らった。この事実は変わらぬ。ワシには足元をすくう陰謀を巡らせるような友は必要としていないのでな。

カポネ

テメェー! 最初からコイツらを俺たちの周囲に忍び込ませて、俺たちが分裂するのを待っていたくせに。一体——!

チッ!

鼠王

おしゃべりが過ぎると早死にするぞ。若者よ。

ふっ……お主らが権力を弄んでいたとき、部下たちはお主らのためを思って動いていた。これには実に感動したわい。

龍門で生き抜く機会を勝ち取るため、そしてお主ら二人の命を守るため、彼奴らはワシに忠誠を誓ったのじゃ。

さて諸君、お主らはこの目で二人の首領が下した選択を見た。今度はお主らが約束を実行する番じゃぞ。

カポネ

……フッ。

――鼠王、いや、リン。灰色のリン。アンタは俺たちよりもよっぽどシチリア人らしい。

アンタは俺のプライドを踏みにじったくせに、命までは取ろうとしない。俺を侮辱してるのか?

マフィア

——!

鼠王

……

なんとも不思議だ。お主は生きるために兄弟やボスに対して剣を抜くことも惜しまなかったのに、ワシがお主の命は取らないと言ったら、今度は死を求めるのかのう?

ほぅ、そんな風に歯を食いしばってワシを睨むのは、あそこで寝ているお主のボスだけかと思っていたがな。

カポネ

それは俺もまた「シチリア人」だからな。

アンタは、シラクーザの「ファミリー」の一つを滅ぼしておいて、まだ我関せずの顔をしてられるとでも思ってんのか?

鼠王

無駄な脅しじゃな。お主にはわかるじゃろ。除名されたファミリーのために蜂起する者などおらぬと。百歩譲って、察しの悪い者たちがいたとしても――

——ワシの元へ来てみるが良い。彼奴らには、この街の本当の怒りというものを味合わせて、バラバラにしてやろう。

カポネ

——クソッ!

鼠王

お主ただ一人なら、ワシらの相手にもならぬよ。

分かったなら、今すぐに立ち去るがいい。

カポネ

……

……俺もこれ以上挑発して死に急ぐような間抜けじゃねぇ。だがアンタは必ず後悔するぞ。今日ここで俺を、一人のシチリア人を仕留めなかったことを。

必ずな。

鼠王

……諸君よ、もしワシが今すぐ彼奴を殺したとして、お主らはどうするかね?

マフィア

あなたは、そんなことはなさらないでしょう。

鼠王

しかし彼奴の言うように、シラクーザのマフィアに対して、これほど寛大である必要はないかもしれぬな。

マフィア

あなたは我々と取引しました。もしあの二人と対峙することになったら、我々はあなたの側につき、他の仲間は逃してくれると。

鼠王

——うむ、彼奴らが、頑なに生きるか死ぬかの争いをしないことを祈るとしよう。

マフィア

……

鼠王

フォッフォッフォ、安心せい。彼奴にはもうそんな意図はないだろうさ。生き延びたいだけのただの腰抜けだからな。ただ彼奴の怒りはまがい物ではあるまい。

人にして儀無くんば、死せずして何をか為さんや。

実に面白いのう。彼奴のそのちっぽけなプライドが自身の命を救うとは。

マフィア

……感謝します。

鼠王

行くぞ。今夜のことのカタをつけねばな。