喧騒の掟 CB-9・戦闘後
0:01A.M.
a.m.00:38 天候/砂嵐
龍門市街 広場 屋外パーティー会場
指示の通り来ましたけど、なんで……屋外パーティー?
あのロウソク見える!? でっかーい!
エクシア、もう少し静かに。
空気に甘ったるい匂いが充満しているな、少し気分が悪い。
うーん……もしここに店でも出しよったら、大儲けできるかもしれへんなぁ。
テキサスさん、ボスから連絡は?
今のところはない。どこかで酔いつぶれてるのかもしれないな。
……エクシア、私の頭に乗ってるこれを取ってくれ。
えっー、なんでよ!
私なんか、こんなノッポなパーティーハットは全然かぶれないんだからね、この頭の蛍光灯モドキのせいで。本当はめちゃくちゃ羨ましいんだよ?
じゃあもし、無理矢理にでもかぶってたらどうなるの?
んー、二日酔の状態でテキサスの運転する車の助手席に座って突っ走る……みたいな感じかな。
……そら、想像するだけでもエラいことやな。
本当に試したことあるんだ……
そんで、ボスはどこにいるのーっ?
それにしても、ここは人が多すぎますよ。もし敵がここまで追ってきたら、一般人を巻き込むことになりますよ——。
あっ。
……あなた方は、ペンギン急便の。
確かキミは……あの探偵事務所のアルバイトの子……
隣の方は噂の親分さん? 包丁一本で港の辺りを張ってるっていう……
違いやす。てか、そこまで大げさな噂があるんすか……
俺ぁただのしがない商人ですよ。あっ、今夜は鱗獣団子屋もやってやすが。
あなたがテキサスさんですね?
今夜に起こったこと、知らないなんて言わせませんよ。
ワイフー、そんなに突っかかるこたぁねぇよ。皆さんもただ……
わかってます。ですがこの手の事件が起こった回数はもはや可笑しくなるくらいですよ。
もし他の人を巻き込んでいなかったら、まだ目をつぶってあげられますけど。
無実の市民を巻き込み、公共の財産に損失を負わせるなんて、あなたたちには龍門の一市民としての自覚がないんですか?
……
(完全に返す言葉もないって感じだ!)
……だからなんだ?
だから、あなたたちの腐った根性を叩き直す必要があります。
こ、拳で殴り合う喧嘩は止めよ? あたしたちも今夜はたくさん迷惑かけちゃったってわかってるから、まずは話し合おうよ。
——わかった。
テキサスさん!?
言っておくが、今夜のことは私自身も意味がわからないんだ。それに正直疲れた。
だから今の機嫌はあまり良くない。
わかるか?
一対一で私が勝ったら、あなたたちには今後法規をしっかりと守っていただきます。
……最低でも一ヶ月は。
(一ヶ月だけでいいんだ!?)
私が勝ったら、キミのところの、いつも本業を放ったらかして余計なことに首を突っ込む奴らに、大人しくしてもらおう。
うっ、それはもっともな話……、しかし容赦はしませんよ! 準備は良いですか!
はぁ、どうしてこうなっちまったんすかね。
待ってください! 皆さんちょっと落ち着きましょうよ! いくらなんでも街のど真ん中で殴り合いの喧嘩だなんて——。
カンフーか、良い腕してらぁ!!
狼の姉ちゃんも負けるな! 行け! 後ろに気をつけろ!
こんなに綺麗な炎国カンフーは久しぶりに見たぞ! もっと技を見せてくれ!
これは見世物じゃないですよ!
テキサスさん! 頑張ってください!
足元に気をつけて! そこフェイントだよ!
皆さんも一緒になって煽らないでください!
ソーダでももらってきやしょうか。
お! 兄ちゃん、おおきに。アンタはあの喧嘩、止めるつもりなさそうやね。
止めらんねえでしょうね、あの様子見てりゃ分かりやす。
……ぼくたちこうして見てるだけ?
何なら応援でもしてやりゃあいいのでは?
*ノイズ*――
……何だろう?
オーイ! 安魂夜のパーティーにお越しの善良な市民たちー!
なんだ?
何事だ、アイツ何なんだ?
聞こえてるか~い?
おい、うるせえぞ!
いいねいいね、聞こえてるみたいだな。
ではこっからは静かにしてくれ! 静かに! どうも!
さぁ、耳の穴かっぽじって俺にひれ伏しな。
な、何なんだアイツは!?
待て! あれはエンペラーだ! おい、MSRのラップの神だぞ! 早く来いよ!
アイツはクルビアにいたはずじゃ!? どうして龍門に?
……エンペラーさん、何してるんです?
ボスはいつもミュージシャン気取りだからさ。
実際ミュージシャンだけどね。
ウチらの資金源は、運送業務だけやないっちゅーこった。ボスの資金ルートは、ホンマ複雑なんや。それに——。
それに?
いや、止めとこか。話し過ぎるんはヤバイ気がするんや。
——!
どうしました、動きが鈍くなってますよ!
……人の流れの動きが整いすぎている。この状況はおかしい。
言い訳は結構です!
エンペラー! エンペラー! エンペラー!
エンペラー! エンペラー! エンペラー!
——。
……やかましいのう。
今日は安魂祭。エンペラーさんや、お主の騒音は死人さえも煩くて目を覚ましてしまうぞ。
なっ——!?
お前、いつの間に……俺の背後に……
さてお主はもう眠る時間じゃな。良い安魂祭を。
……このクソネズミが、おぼえ……とけよ……
ちょっと、どうしたんだ? 何かの演出か——。
エンペラー? エンペラーが刺された? 死んだのか!?
はっ!
ふんっ!
うぐぁ——!
おい? ワイフー、相手を間違えて——!
いや。彼女は何も間違えてない。
囲まれてるんだ。
……
げぇ……まさか、スラムからずっとここまで追って来たの?
ここいらに、ぎょうさんいる人ら、みんなアイツらの仲間っちゅーことなん?
ウソでしょ、この人数……
周りはほぼ敵ですよ! これは罠です。エンペラーさんは——。
――っ!?
このマイクはどうやって使うのじゃ……あー、あー、ゴホン。龍門市民の諸君、こんばんは。
慌てないでくだされ。いま死んだのは取るに足らないペンギン一羽のみ、安魂夜の式典は継続されよう。もちろん、目障りの死体は専門の業者に処理させる。
諸君をいきなり驚かせてすまない。そして今宵のイベントに臨時の演目を一つ追加しておいた。
シラクーザからの友人が、ワシらのために特別なプレゼントを持ってきてくれたのじゃ。今はこのパーティー会場のどこかに隠してある。
残り時間は多くはないぞ、諸君。
(ぼくを見てる? いや、待って、あのご老人は——。)
もし誰もこのプレゼントを見つけられぬ時は、残念ながら――
お主らの人生で最後のサプライズになるのじゃ。