暗黒時代・上 0-10・戦闘前
苦境
何なんだ……この、女は……
――その指揮、見るに堪えんな。
レユニオンがチェルノボーグの軍事拠点を制圧した際、その構成員たちは、精密機械のように効率的な動きをしていた。
だが、それに対して貴様のやり方は、半ば錯乱状態の部下を無秩序にのさばらせているだけ……
虐殺、放火、そして狩猟に見立てた残酷な行為の数々……これらはすべて、貴様の残忍な嗜好を満たすためだけのものだろう?
この状況でこうした蛮行を働く人間に、都市のすべてを陥れるほどの策など、もたらせるはずもない。となれば、指揮官はほかにいるはずだ。
その人物は恐らく、貴様に戦場のかく乱を命じたのだろうな。そしてその命の元、貴様は己の低劣な趣味に突き動かされて暴走した、というわけか。
……
――ファウスト。
あいつを黙らせてよ。
……了解。
ッ!
くっ、今のは……
――ニアールさん!
全員、構えろ! あの狙撃手……かなり手強いぞ!
いくらニアールでも、もう一撃食らうのはまずい……!
下がってください、ニアールさん!
――いいや。今退くわけにはいかない。あの尋常ではない威力……あれが直撃すれば、部隊は壊滅的な被害を受けることになる。
ゆえに――私はここへ立つ。皆を守り抜いてみせる!
……ファウストの砲撃が、防がれた……? たった一枚の盾如きで……!?
ありえない……そんなのありえない!
……もう一度だ。もう一度やろう、ファウスト! あいつをバラバラにしてやるんだ!
――――
っ……!? ――右か!
いかん! ニアール――
――そうはさせんぞ!
Aceさん!
狙撃オペレーター、構えろ!
目標、南方の高台! 撃てッ!
……ッ!
何っ……!? お前ら、よくも……!!
命中、したんでしょうか?
そう簡単にはいかんだろうな……今のはあくまで、ちょっとした時間稼ぎさ。
とにかく、急ぐぞ! 連中に構っている暇はない!
同感だ! モタモタしていると、あの一撃をもろに喰らうことになりかねんからな……!
アーミヤ! E3小隊が食い止めているうちに、打って出るぞ!
了解しました!
――E1小隊の狙撃オペレーターは、私と一緒にレユニオンへの牽制を!
E2小隊は、最大火力で包囲を切り崩してください!
……どうして……
どうして素直に死んでくれないんだ……?
お前たちの命運なんか、とっくに尽きてるはずなのに……
――こうなったら、全員まとめて――
ニアール、今だ!
了解! ――E4小隊に告ぐ! これより敵陣へ突入する!
一気にたたみかけ、皆の道を共に切り開こう!
――行くぞ、私に続け!
撃て! 撃てーッ! 奴を近付かせるな!
? 待てよ、いつの間に近付いてき――
なっ……!? う、嘘だろ!? さっきまでもっと遠くにいたはず――
ひっ、やめ――うわあああっ!
甘い! カジミエーシュの騎士を本気で相手取るつもりなら――あと数十年は訓練を積んでもらおうか!
――さあ、ドーベルマン! 私についてきてくれ!
了解!