相思相殺 2-2・戦闘前
不戦勝
さあ、入ってくれ。
……ケルシー先生!
――アーミヤ……
……それに、か。
君も来ていたとは。
......
……こほん。
ウェイ長官、ロドスからほか二名の代表が到着しました。
ああ、ちょうど良かった。
そちらの席にかけてくれ。今、ケルシー君から説明を受けていたところでね。
では、続けましょう。――現状については、ウェイ長官もよくご存知かと思います。
貴方は本件を重要視されているご様子ですから、恐らく、龍門の情報網を用いて、レユニオン関係の情報を多く収集していらっしゃることでしょう。
それでもなお、龍門にはとある重要な情報が欠けているのです。
……
加えて、感染者に対する検疫だけでは、根本的な対策とはなりえません。このことは、龍門近衛局の方々も実感しつつあるはずです。
レユニオンの構成員たちは、検査に大人しく協力することも、わざわざ当局の反応を待って行動することもないのですから。
しかし、我々ロドスの協力がなければ、龍門は現状の感染者対策だけを頼ることになるでしょう。そうなれば、来たるレユニオンの侵攻によって甚大な被害を被りかねません。
悪いが、少し良いだろうか。
当然ながら、龍門防衛に関することは、ロドスよりも我々近衛局のほうがよく知っている。ゆえに、レユニオンの侵入、潜伏についても対策はすでに済ませてある。
単に、そうした機密情報をロドスに共有する義務はないというだけの話だ。
……
続けてくれたまえ、ケルシー君。
ええ。――龍門には、非武装の感染者への対処経験はあるかもしれません。ですが、暴徒化した感染者の集団を相手取ったことはないはずです。この事実は、損失のリスクに繋がることでしょう。
ロドスの培ってきた経験から言うと――感染者に対して、効率的に対応できるのはその感染者だけですから。
なるほど。ロドスはレユニオンと対峙した経験から、有効な対応策を持ち合わせているということかな?
正確には、まだその経験があるというだけで、対応策を得たとまでは言い難い状態ですが。
ほおう?
ロドスはチェルノボーグでの事件に巻き込まれた際、レユニオンに関する数多くの情報を手に入れたと聞いたのだがな。
ウェイ長官が、どこからその噂をお聞きになったのかはわかりかねますが――
現時点では、龍門に共有可能となるほどの情報とは言えないということです。我々の経験は今のところ、貴方とこうしてお話をする資格を得られる程度のものでしょうから。
資格があるかどうか……そして、君たちが有益なパートナーとなるかどうかは、あくまで我々龍門が決めることだ。とはいえ、その程度の情報も提供できないというのであれば――
ふっ。
君たちの実力を信用するのは難しいな。
であれば、私が少々言葉足らずだったようですね。
あえて強調させていただくとすれば――我々が得た情報は、我々の実力があってこそ持ち帰ることが叶ったものなのです。
だが、そうは言っても、レユニオンと同じく感染者組織であるロドスを安易に信用することはできん。
――チェンさんが龍門の安全よりも、感染者を盲目的に処罰することのほうが重要だとお考えなのであれば……
この龍門の法に従い、私を捕縛していただいても構いません。そうなれば、都市がレユニオンに焼き尽くされる様を、牢獄から眺めて嘆くとしましょう。
――つまり、最早選択の余地はないということです。
――龍門は、不遜な態度を理由にして、他者の善意を拒むほど狭量な都市ではない。
しかし、不要な助言を考えなしに受け入れるような慈善団体でもないんだ。
……チェン警司。
長官、このような部外者――それも感染者を、龍門の機密事項に相当する任務へ関与させるのは不適切かと存じます。
落ち着け。彼らは客人なんだぞ。
――ほかならぬ私の、な。
……
了解しました。
彼らが龍門の法に触れない限りは、受け入れるといたしましょう。
うむ。……さて、すまなかったね。ロドスの諸君。
ときに、ふと思い出したのだが……こんな言葉があってな。曰く――
「背を預く者に求むるべきはただ一つ」――
「信に足るだけの武勇なり」。
聞くところによると君たちは、龍門付近に現れたレユニオンの掃討作戦に参加していたそうだな。
――チェン警司。軍事面でのロドスの実力、君はどう見ている?
……では、ロドスに関する所見をお話しいたします。
まず、この任務についてですが――