相思相殺 2-4・戦闘前
ペンギン急便
――ということで、こちらで彼女を保護しました。
了解。
ならば、そちらの到着を待つ。合流地点の安全は、近衛局が保証しよう。
はい、よろしくお願いします。
……と、すみません、フランカさん。偵察部隊が作ってくれた地図を取ってもらえますか?
ありがとうございます。……うん、問題はなさそうですね。
では、最短ルートでスラム街から離脱します。
そのほかに、何かご指示はありますか?
特にない。迅速に行動しろ、時間は待ってはくれないからな。
――お前たち、撤収だ! グズグズするなよ!
……ではな。
……
ふぅ……緊張しました……
にしても、これじゃあたしたち、使いっ走りみたいじゃない。
まあ、ミーシャさんを見つけたのが、偶然私たちだっただけですから……仕方ありませんよ。
……とはいえ、近衛局が彼女に関する具体的な情報を提示してこないのは確かですよね。
我々は協力関係のはずなのに、こちらがミーシャさんを保護するまでは、彼女が重要人物であることを伝えてくれなかったくらいですし……
この分では、我々の知らない情報がいくつもありそうです。
……近衛局が多くを伝えてこないのは、当然だとは思います。
それは……なぜですか?
あらら~? 聡明なリスカム様にもわかんないことがあるのね~。ほら、考えてもみなさいよ。ロドスからすれば、知りすぎたっていいことないでしょ?
そうは言っても、知らなすぎるのも任務に悪影響でしょ。
……まあ、どうあれ今は、ミーシャさんを合流地点まで連れて行くのが先決ですね。
ええ、その通りです。
さて、護送ルートですが、やはり複雑そうですし……ここはあの人たちを頼らせていただきましょうか。
あの人たち、というのは……
はい。ペンギン急便のみなさんです。
ロドスのみんな、やっほ~!
仕事はスイスイ進んでる? もしかして、ペンギン急便のサービスが役に立っちゃってるんじゃな~い?
うっわ、出たわねエクシア……
は~あ……やれやれだわ。
あれ? ため息なんかついちゃってどーしたの~?
嫌なことでもあった? あ、もしくは嫌いな奴に会ったとか?
そうね。目の前の誰かさんとか。
言いすぎだよ、フランカ。こっちもお世話になってるでしょ。ペンギン急便の情報がなければ、捜索範囲を絞ることなんてできなかったわけだし……
そもそも、この人たちのお陰で、龍門の感染者関係の情報を簡単に手に入れられたんだからさ。
お姉さん、わかってるぅ~! お褒めいただき恐悦至極でございます……な~んちゃって!
それで、エクシアさん。安全な護送ルートを教えていただけたらと思うんですが……
オッケー、そんじゃ結論から言わせてもらおっか!
ぶっちゃけ、安全なルートなんてもんはないよ。
けど、そうだな~……ちょっと地図を見てくれる? スラム街の中心から、こっちに進んで、こう行って、それからスラム街を抜けるまでは一直線の、このルート……
多分、これが一番マシだと思うよ!
とは言っても、敵さんがい~っぱい……合唱団をいくつか組めちゃいそうなくらい、待ち受けてるだろうけどね~。
敵、というと……?
確かに、レユニオンはすでに龍門市内に潜伏しているようですが……
もしや、エクシアさんは彼らの配置状況を把握しているということですか?
そりゃもちろん!
ならば、向こうの動向についてもご存知でしょうか?
うん! 実はねえ、ここにどんどん集まってきてるとこ!
……
…………
つまり、我々は包囲されている、と……
そうなると、まずはここから、ミーシャさんを無事に連れ出さなければいけませんね。
フランカさん、レユニオンへの牽制をお願いしてもいいですか?
いいわよ、そのくらいなら朝飯前。
ありがとうございます。では、リスカムさんには重装オペレーターの部隊と共に、本隊両翼をご担当いただけたらと思います。加えてミーシャさんの護衛もお願いしたいのですが、いいでしょうか?
ええ、お任せください。
あっ、ちなみになんだけど……向こうさん、術師を連れてきてるみたいだよ?
それは注意が必要ですね。
ドクター、どうか私のそばを離れないようにしてください。
命令はこちらで伝達しますので……引き続き、部隊の指揮をお願いします。
……それでは、護送を開始しましょう。