怒号光明 JT8-2・戦闘前
瞠目の先に「黄昏」
ハァッ――!
……
彼女に手を出すな!
あの子を守りたいのか、フェイゼ? この感染者の裏切り者を? 私たちの同胞を殺した者をか?
失望したよフェイゼ。本当に失望した……私に剣を向けるだけでは飽き足らないようだな……
アーミヤ、どうしてここに来た!?
気をつけろ、アーミヤ! タルラは確かにコシチェイの全てを継承している。彼女はもう――
もう龍門からさらわれた罪なき少女ではない。
チェンさん、彼女は「継承者」というだけではありません……
私がその仮面を暴きます。
何だって? 仮面……それはどういうことだ?
お前はロドスのあのコータスか。
ボジョカスティはどうだった? 彼の鋭い矛を味わったか? 彼の引き裂かれた屍を確認したか?
……
あなたは……どうして彼をそんな風に言うんですか?
私は彼に敬意を表した上で訊いている。ただ事実に対する回答を求めているだけだ。
彼は最後まで兜を外さなかった、そうだろう?
あの兜は、彼の剥き出しになった灰白色の頭蓋骨を隠してくれる。もし市民がウェンディゴの本来の姿を目にすれば、怖ろしくて石も握れない程に手が震えてしまうだろうからな。
だが、憎しみと狂気が市民を駆り立てれば、群衆に紛れた武器がいずれは遊撃隊の防衛線を突破する。
ボジョカスティは、市民に対する盾兵の攻撃を、一切許さない……確かに彼らはただの市民で、敵の回し者ではない。
しかし、いずれは怒りと無知によって暴徒と化した市民に、ボジョカスティは引き裂かれるだろう……彼はいずれその日が来ると知りながら、最終的に自らの哀れな人の性に投降したのだ。
今、お前がこの場に現れた、つまり答えは一つ。ボジョカスティは死んだ。
教えてくれ。彼はどんな死に方を受け入れた? 偉大なる戦士の結末を知りたい。
……私が殺しました。
……私が。
お前が?
……お前にそんな力が? あれは……ボジョカスティだぞ?
……信じ難い話だが、お前はたった一人で私の所まで辿り着いた。私の可哀想な妹と同じように。
まあ良いだろう。この街で、私を殺すことのできる最後の一人は死んだ。ならばもう、この都市で怖れるものなど何もない。
お前に褒美を与えるべきかな? 私の同胞を虐殺した感染者よ。
アーミヤ、タルラの話に乗るな!
彼女は、これまでに何度もこの手を使っている……彼女の言葉は、ひと言たりとも信じるな。たとえそれが本当の事だとしてもだ。
わかってます、チェンさん。彼女はあなたも殺そうとしています。
ですが、彼女の心の奥底にはまだ取り除かれていない記憶の脈絡があります。そしてチェンさんは、それに干渉できる唯一の鍵です。
おい……何の話をしているんだ?
お前は何を見ている?
――お前は何が見たい?
無駄です。あなたでは私を止めることはできません。
……
アーミヤ、今言ったことは本当か?
はい。でなければ彼女は……あなたをおびき寄せて、直接戦おうとはしなかったはずです。
タルラ自らの手でチェンさんを殺した時、タルラはようやく死ぬんです。
わかるように説明してくれ。
チェンさん、タルラはまだ完全には死んではいません。この暴君は彼女の心を完璧に支配できていないんです。
言ってみろ、コータス。そんな時代遅れの世迷い言を信じる者がいるとは到底思えないがな。
タルラに刺し貫かれたあの時に、あなたは死ぬべきでした。この大地にはもう、あなたが身を置く場所などありません。
心が読めるのか……これは予想外だ。だが、心が読めたとして、それをお前が知るはずはない。どこで聞いた噂だ?
私は心を読んでいるわけではありません。
あなたは精神的アーツ攻撃から完全に身を護ることができると自負していましたね。そんなあなたに対し、政敵たちは手を出せなかった。
……
私はあなたの記憶を見ました。そして、私に心は読めませんが、感情を感じることはできます。
私は見たんです……あなたの記憶の奥底に沈んだ秘密を――今に至るまであなたの心にまとわりついている呪いを。
あなたはタルラではありません。
講釈を垂れる前にまず自分の命を守るんだな。
アーミヤ! 何をぼうっとしてる、その火を避けろ!!
くうっ!
ま……まさかあれを受け止めたのか!
ハァハァ……ですが……あまり長くは保ちません!
お前もそんな風に驚くのだな。フッ、受け止められたのはこれで二度目だ。
チェルノボーグの時と同じ、その黒い線を束ねた障壁で、な……
だが、いつまで耐えられるかな? お前の戦士たちは、お前がここで死ぬために犠牲になったのか?
どうだ? アーツを使いながら、まだ他人の思考を覗き見ることができるか? そんな卑劣な芸当など、奴以外には……
奴とは誰ですか?
よく思い出してください。
……
一体どれがお前のアーツなんだ?
……ボジョカスティがお前の手にかかって死んだだと?
笑わせるな。
アーミヤ、残りの火は私が斬る! 腕を引いて、右に跳ぶんだ! できるだけ遠くへ!
はい!
ハァ、ハァ……ありがとうございます、チェンさん!
妙だな……アーミヤ、タルラはなぜか君に対し、驚きを隠し切れていないように見える。
チェンさん、今から何が起きても……どれほど驚くことが起きたとしても、警戒態勢を解かないでください。
わかった。今この場では、君と私の命より重要なものなどない。それに、龍門がこれから辿る運命を考えれば、それ以上の驚きなどありはしない!
お前は……アーミヤというのか?
コータス、永遠に醒めない美しい夢を見せてくれと私が頼んだら、お前はどうする?
……!
その力を使わずにいられるか?
あなたの質問には答えません。
その戸惑いに満ちた表情は、お前の言葉とは裏腹のようだ。善良であることをひけらかすのはさぞ気持ちが良いだろう。
私は自分が善良だなんて言った覚えはありません!
だがお前の行為はそう告げている。偽善にまみれた感染者戦士よ。
漆黒のアーツ、意識ではなく記憶を汲み取る能力、そして、一方的な伝達ではなく、双方向における放散と集積……この力は……
ありえない……そんなはずが! コータス、答えろ! 説明しろ、カズデルのサルカズは皆狂気に呑まれたのか?
――魔族――サルカズに――
まさか異族種の王が誕生したとでも?
もうその名も思い出せないが、あの先代の魔王は気が狂ったのか? どうやら、サルカズには絶滅の運命が迫っているようだ。
あぁ、サルカズの傭兵……W。彼らの後ろのサルカズ……
そうか……そういうことか。
コータスの魔王か。ハハ……
(アーミヤ、正直な話、私は驚いてこそいないが……)
(少し困惑している。)
(彼女の言うことを信じますか、チェンさん。)
(信じたとして何になる?)
(あなた次第です、チェンさん。それに、たとえ全て事実でも、あなたの考えは変わらないはずです。)
(そうだな。この状況、彼女は私たちが死ぬまで時間稼ぎをしているように思う。)
(それは私たちも同じです……!)
(えっ?)
お前の侍従はどこだ? お前の王庭の衆王と臣民はどこにいる?
誰を連れて来た? 腐った肉体で何世紀も生きるあのグールか? それとも一筋の光すら見ることができない赤い目の老いぼれか?
お前が自らの手でボジョカスティを罰したのか? それとも誰かがお前の代わりに手を下したのか?
お前には無理だ。幼き偽の魔王よ、お前にはサルカズの衆王とそれらの王庭を従えることなどできない。お前は本当の魔王ではないし、サルカズですらない。お前はただのコータスだ。
お前には敵と戦う力などない。もしお前たちが本当に争いを始めるというのなら、お前はすぐさま滅びることになる。
あるいは、お前はサルカズの統治者たちの新たな玩具にすぎないのだろう。自分が実験体であることに哀しみを感じるか、幼いコータス?
お前は異族種……その命と君主の象徴が、誰かに奪い去られる時をおとなしく待つしかない。お前の命はそれと共に消滅する。
私が代わりにそれをしてやってもいい。できるだけ痛みを伴わずにこの大地からお前を消してやろう。
……あなたは何を恐れているのですか? 不死の黒蛇。
――
なに?
あなたは多くを語ってくれました……コシチェイ公爵。
ですが、本当にあなたの命が言い伝えのように長いのなら、時折見せる恐れがあなたの演技でないのなら……
私はもう全てを理解したと言えるでしょう。
コシチェイだと!? アーミヤ、それはどういうことだ?
彼女はタルラであり、コシチェイでもあります。私の感覚に間違いはありません。
……
あなたは過去にサルカズと戦ったことがあるんですね、コシチェイ公爵。
あなたは私が怖いんです。
あなたは私を恐れています。
面白い。
だが、茶番はもう十分だ。
お前の妄想劇の筋書きは、後ほど整理しておこう。驚くほど素晴らしい脚本だった。
だがその前に、お前には退場してもらう。まさかお前がここまで大きな役割を果たすとは思っていなかった。少々見くびっていたよ。
お前が感じられるものが「恐れ」だけならば、それはお前のアーツが未熟である証拠だ。
――私は感じたいと思ったものを感じることができる。記憶を遮断することはできないが、感情操作は私にとっても得意分野だ。
……その通りのようですね。だからこそ、私の考えは更に確固たるものになりました。今のあなたは完全にタルラを支配してはいません。
お前にもう少し時間を与え、私の脳から真相とやらを掘り起こさせてやってもいいが――しかし、私の過去はお前が見た通りだ。それ以上でも以下でもない。何の証明にもならん。
私は己の思考をコントロールすることで、考えを読もうと企む者の力を逆手に取ることができる。だがお前には、私が見せたいものは見えていない……正直だな、コータスよ。
お前は感情を感じ取り、記憶を遡ることはできるが、私が実際に考えていることはわからない。それに嘘偽りはないようだ。
忠告してやろう、コータス……
お前は私を全く知らない。
お前は「タルラ」を全く知らない。
お前の言葉全ては、所詮お前の推測に基づくものにすぎない。私を全く理解していないのだから。
私が誰であるか、何を根拠に語る?
……
……タルラ。あるいはコシチェイ……お前が誰であろうと、私は構わない。
お前が誰であろうと……いや、違うな。お前はタルラだ。コシチェイがお前を作り上げた。
タルラ、お前はアーミヤの髪の毛一本にすら触れられない。
フェイゼ、余所者のために肉親に剣を向けるというのか? 勇ましいことだな。
お前が善良な者なら、私の側に誰がいようと、それを利用して私を倒そうとはしなかった。タルラ、お前はもはやただの奸賊だ。
フェイゼ、お前はウルサスの北原を見たことがないだろう。温室の中で育てられた観賞花のようなお前には、潜り抜けてきた死線の場数が圧倒的に足りないのだよ。
何が「過去のタルラ」を今の私へと変えたのか、お前は知らない。
そうだ。だからそれを……それを問いただしに来たんだ!
私はお前の身に起こった全てを知りたい。お前の口から――お前の言葉で聞きたい。
ならば……どうして私のそばに来ない? 私はもう、チェン……お前と戦いたくない、お前を傷つけたくないんだ。
ハッ……
お前は勘違いをしている。
――私がそれを知りたいのは、こんなことがもう二度と起こらないようにするためだ。
私がそれを知りたいのは、お前の行動を判断し、それに至った動機を推察して、これまでの案件と比較、検証するため。
……私がそれを知りたいのは、お前が今から何をするつもりか、どのようにやるつもりか、どこまでやるのかを見極めるため。
そして、どれだけの罪悪がこの一連の事件に関わっているかを、自らはっきりと確認するためだ!
だがタルラ……お前はもう――
お前はもう既に、ここまでのことをしてしまった。私が望むと望まざるとに関わらず、お前は成長した……今の姿へと成長してしまったんだ。
お前もだ、フェイゼ……お前は、私を悲しませる姿へと成長した。
私がお前を悲しませるだと? レユニオンが私の都市を侵し、私の友を殺し、ウルサスの無数の命を死に追いやり、あんなにも多くの感染者を葬り去った……誰が誰を悲しませると言うんだ?
私は、レユニオンたちが龍門で互いに助け合い、同胞を救うために犠牲になる姿を見てきた。荒野へ向かっても彼らには居場所などない。誰が誰を悲しませると言うんだ?
お前が彼らの前に立ちはだかったのだろう。お前が彼らを阻んだせいで、彼らは龍門を奪い取れなかった。
悪いが、タルラ……彼らが龍門で無駄死にすることが、お前の想定の範囲外だったと言っても、私は信じない。それも計画の内、全ては今この瞬間のためだったのだろう?
フェイゼ、お前はそもそも私を信じたことなどない。
タルラを知らないのかと問われたなら、私は知っていると答える。タルラを信じないのかと問われたなら、私はもちろん信じると答える。
だからこそ、この考えを確かめるためにお前の前にやってきた。自ら進んで。
だが私がここへ来たのは、お前の潔白を証明するためではない……絶対に違う。
何故なんだ、フェイゼ? 私を信じるとたった今言ったばかりじゃないか?
今となっては私たちは皆感染者だ。どうして同じ側に立てない? 私たちの再会は喜ばしいことじゃないのか?
(彼女の感情が本当に揺れ動いている……くっ……!)
話を逸らすな、レユニオンのリーダー!
私には証拠、判断、実証が必要だ。
近衛局所属だった頃の私も、今のチェン・フェイゼも……「お前が潔白だ」と証明するつもりはない。間違ってもそれは有り得ない。
何が「過去のタルラ」を今のタルラへ変えたのか、それを私が知らないと言ったな?
だが何が今のお前を形作っていようと、タルラが二つに分かれることなどありえないだろう?
過去のお前を知っているからこそ、私はよりはっきりさせなければならない……誰が、何がお前をこうしたのか!
お前が受けた痛みや苦しみ……お前の父が死んだ真相……ウェイに対するお前の憎しみ……全て想像できる。恐らくこれら全てがお前をこの道へと追いやったのだろう……
だが何が――一体何がお前を、敵はおろか、同胞に対しても冷酷な人間に変えたんだ?
一体何がお前をウルサスの侵略作戦の先鋒に仕立て上げたんだ? お前は仲間までをも騙したのか、タルラ?
私を裁くつもりか? 全てを捨ててここまで来たのは、ただ私と決別するためか?
お前をこんなにも冷血で盲目的な人間にしたのはウェイなのか? お前が尋ねるべきなのは、私がなぜこんなことをするのかだろう?
いいや。そんなものはこれが終わった後でいい。スクラップの山から事件の全貌を繋ぎ合わせることなど、私には容易い。
私はここに、責任を果たしに来たんだ。
もしお前が無実だったなら、私は信号弾を空へと放つはずだった。たとえお前が私を殺そうと構わない。お前の罪が死に値するほどではなかったと証明できれば、それで十分だった。
だが、お前がまだ誰かに危害を加えようなどと企んでいるのなら、私たちは一切を顧みずお前を阻止する。たとえ私たちの命がここで無くなろうと。
私はお前がどこまで道を踏み外しているのかを確かめに来たんだ。裁判も経ずに処刑するのは、謀殺に等しい。それは感染者に対して都市が犯した罪と同じだ。
その答えは、もうこの目ではっきりと見たよ。
私の剣、私の考え、私の信念、全てお前にぶつけるために準備してきた。
過去の出来事は、過去にとどめておけ。全ての過去は――
もう二度と戻ってくることはない。
人の命を軽んじる陰謀家ならば……たとえそれが誰であろうと、私の剣は容赦しない。
お前とて例外ではない。
フフッ……
私との関係を断ちたいというのだな、フェイゼ。
チッ……
皮肉を言っても無駄だ。私に後ろめたさを感じさせるつもりなら、好きにするがいい。
これが今の私だ。言ったことは成し遂げる。お前の方こそ、それを心に刻んでおけ。
アーミヤ、君が何をするつもりかは聞かない。私が聞きたいのは、私に何をしてほしいかだ。
はい、チェンさん……少し時間を作ってください。
どれくらいだ?
三分です。
なら最低でも三分は作ってやろう。
今回は本当に「共同作戦」だ、アーミヤ。私たち二人でやるんだ。
だが私たちは、無数の命を背負っている。それは君もよくわかっているはずだ。
三分だ、アーミヤ。この三分の間、君は絶対に死なない。私が保証する。
それと……この戦いで背中を預け合うのとは別に、頼みがある。
私の姉が一体何になってしまったのか、一緒に解き明かしてくれ。
そして、私は知りたい。奴の演技欲に塗れた上っ面ではなく、その本質ともう一度向き合うチャンスがあるのかどうかを!
どんな結果になろうと、私は全て受け入れる!
わかりました。約束します、チェンさん。それから……ありがとうございます。あなたのブレない強固な意志に感謝します。
私がこの目で見たものこそが、私にとっての真実だからな。
タルラ、お前の行為、お前の言動……全てこの目で捉えた!
行きます、チェンさん!
コータス、お前がどんな手で私の妹の思考を操ったかは知らない。お前がサルカズとどんな汚い取り引きをしたのかも知らない。
だが、背後でお前を操る影と、Wを唆している者は、同一人物か?
ああ、まだ答える必要はない。まずは炎で教えてやろう……お前はサルカズを頼りにすべきではなかった。サルカズの力で私と妹との関係を辱めるべきではなかったのだ。
お前の下劣な行為と過去の罪悪は、全て受け入れられる。お前の国家は依然として寛大な懐でもって、お前の全て、お前の懺悔を受け入れるだろう。しかし――
多くのサルカズと仲間になり、カズデルと徒党を組むだと?
……お前とその指導者は永遠に追放されるべきだ。荒野で飢えと渇きに苛まれ、生きながら虫に齧られ、死んでも安息は訪れない。そうあるべきなのだ。
……
……お前は本当にタルラなのか!?
フェイゼ、真相を知りたいのなら、これ以上お前のそばにいるその悪毒の種を擁護するな。そいつは、事実を捻じ曲げ、私の記憶を利用してお前を惑わし、私たちの仲を引き裂こうとしている……
コータス人の小娘よ、ボジョカスティが光を求めて魔窟を去ったにもかかわらず、お前は暗闇へ向かって行く……お前には彼を殺す資格などなかった!
……
もしあなたの言う魔族が、私の知っているサルカズ人のことだとしたら、もしあなたの言う人間が、あなたのような人だとしたら……
もしあなたの言う光が、虐殺や、痛みをばら撒いて、傷つけ、騙すことだとしたら……そしてあなたの言う暗闇が、救いや同情、正義のために戦うことだとしたら……
私は喜んでサルカズと共に歩んでいきます!
感染者という身分がお前を盲目にしたのか? サルカズが感染者を利用したことで、彼らの目的を勘違いしたのか? 自分が駒として利用されていることに気づいていないのか?
さらには私の妹をたぶらかし、暗闇へと突き落とそうというのか?
私の炎は偽りを焼き尽くし、お前の背後にある真実をあぶり出すだろう。少々痛みを伴うが、私はこうする必要があるのだ。
まずは私に許可を取ってからにしてもらおう。
私もこんなことはしたくないのだ、フェイゼ。
以前のお前なら、決してこんなことはしなかったはずだ。言葉と行動がちぐはぐなその姿はもう……見飽きた。
憎しみがあなたを盲目にしてしまったんです。憎しみによって自分を見失い、自分の立場に囚われてしまった……
炎――あなたはまだあの大火から、抜け出せていないんです。「タルラ」!