第五種接近遭遇 幕間
第五種接近遭遇
......
私の解釈が合っているかは分かりませんけど、ロドスのこの度の対応も、あなたが以前おっしゃっていた協力の一環なのかしら?
まさにその件を協議するために連絡したのだが、どうやらキミは約束より数時間も早く来たらしい。
陸上であっても、約束の時間より早く到着する行為は背信にはあたらないはずですわ。
たとえエーギルの地であろうとも、他人の家宅に断りもなしに玄関以外から侵入する行為は、行儀が良いとは言えないはず。
さすが能弁でいらっしゃいますこと。ですけど、謝る気はありませんの。それと……
言葉が途切れるよりも前に、エーギル人の姿はすでに十数メートル先にある、廊下の突き当りの部屋の前に現れていた。まるで初めからそこにいたかのように。
その声の残響のみ廊下に取り残され、移動の軌跡を物語っていた。
淡青色のステッカー数枚に彩られたドアに、彼女は長槍を軽く突きつけた。その表情には幾分かの嫌悪と憤りが見て取れたが、呼吸は全く乱れていなかった。
教えていただいてもよろしくて? 御社はどのような意図でこの部屋を設けられたのかしら、ケルシーさん。
手紙に書いた通り、この居室は例のロドスの協力対象に宛がわれたものだ。
聞き間違いでなければ良いのですけど。願わくば、あなたがあの狂人たちと彼らの吐き気を催すような技術からインスピレーションを得ようなんてしていませんように。
ひとつの脅威を利用して別の脅威に対抗するような真似を、ロドスは試みたりしない。
それは何よりですわ。
頑丈な合金のドアに深い傷跡を描くように、長槍は瞬時に振り下ろされた。そして激しい音とともに、優雅な所作でエーギル人に蹴り上げられ、真っ二つになった。
エーギル人はドアの前から姿を消し、室内を一通り探索したのち、手ぶらで引き揚げ元の場所へ再び現れた。それもまた、瞬く間に起こった出来事であった。
本当に、奇妙ですこと。あの残滓たちに対する私の嗅覚が間違いを起こすなんて。
もしくは、あなたが私を制止しなかったのは、私の行為を黙認しているわけではないという可能性に、もっと早くから気付くべきだったかも知れませんね。
どうやら宿敵と対面したアビサルハンターには、戦闘技巧以上にセルフコントロールが必要らしい。
今のところ、彼らの進化は知性的思考に基づく結果というより、単に行動を最適化したそれと考えられるが、いずれはそのレベルに到達するかもしれない。
ふっ、そういうことにしておきましょうか。あるいは訪れるかもしれませんものね――その考えや目的を知るがために、あの汚物たちをひねり潰したい衝動を抑えなくてはならない、そんな時が。
では教えてくれませんこと? ロドスがこんなモノを収容なさったのは、この大変貴重な学びを私に授けてくださるためだったんですの?
キミをからかう意図はない。これはただアビサルハンターの秀でた行動力に対する信頼からとる措置だ。話を始める前に終わらせようとするのはやめてくれ。
御社は、私のハンターたちが敢えて一切の血を流さず、無傷でいることに細心の注意を払いつつ、艦を遠く離れながらあなた方に協力しているのは、一体何のためだとお思いでいらっしゃいますの?
あの検査対象の生理パラメーターから取り出せる情報は、恐魚を一匹ひねりつぶすよりもはるかに高い価値がある。戦争設計師であるキミにそれが分からないはずがない。
「ミヅキ」と呼ばれる協力対象はすでに移転済みだ。どうか心穏やかに議論した上で、理性的な結論を導き出そうではないか。
数ヶ月前
ボリバル ドッソレスシティ
よし、シンガスの奴らがかかった! おい早く、計画通り始めると兄弟たちに知らせて来い!
おっ、おう。分かったぜ……
この商売が上手くいったら、俺らは今度こそ……自由だ!
……爆発の一件、カンデラさんの耳には届いてないだろうな?
報告します、目下特に問題ありません。我々の内通者が常に監視していますが、市長は一度も部屋を離れておらず、いかなる指令も発しておりません。
いいだろう。日が昇るまでまだ数時間ある、現場を偽装するには充分だ。
爆発物の匂いを彼女に気取られないように。街の基盤を破壊し、享楽にふける馬鹿共に恐怖をもたらすものだけは、必ず嗅ぎつける人間だからな。
事件が起きた倉庫の責任者は分かったか?
はっ、トゥルーボリバリアン出身の傭兵二名です。
通信端末では彼らと連絡がつかず、潜伏場所にも姿はありませんでした。現在、彼らの行方を追っています。
シンガス側の動きは? 大会を前に彼らの手の者が爆発に巻き込まれ負傷したなんて事態、普通ならすぐカンデラさんに説明を求めているところのはず。
彼らは人探しをしているようです。盗聴は断片的にしか情報を得られませんでしたが、「子供たち」がどうのと話しておりました。
ああ、たしかリターニア人の少年合唱団が先日到着したとか。宿泊先はちょうど現場の倉庫近くのホテルか……
負傷者の中に、あのホテルの従業員はいるか?
はっ。負傷した者の身元はすべて洗いました。ほとんど全員があのホテルの警備員であり、シンガス政府の軍人でした。
ハハ、どうやら俺たちとシンガスの連中は、みんなあの二人にしてやられたようだな。
シンガス側がカンデラさんに訴えないのは、恐らく元々はあの二人から火薬を買う算段だったのだろう……
一方で、あの二人は取引を餌にわなを仕掛けた。爆発でホテルにいたシンガスの手の者を負傷させ、隙を見てVIPのゲスト――あの「子供たち」を連れ去ったんだ。
なんと……それでは、我々の方はどのように動けばよろしいでしょうか。
現場を偽装するのが先だ。カンデラさんにはごろつきの仲間割れによるアクシデントだったと思わせるんだ。
もしこちらが先にあの子供たちを見つけ出せれば、今後シンガス側との交渉にも有利に働くかもしれない……
報告します! 先程警察の端末へ送られた匿名の情報をキャッチしました。
内容はトゥルーボリバリアンの一味がリターニア合唱団を連れ去った件で、座標情報も添付されていました。
現在この情報を入手しているのは我々のみとなりますが、この後は……
すぐにもみ消せ! カンデラさんの周りの者には絶対知られるな。
それと座標はダミーの可能性がある、軽率に動くな。街から出る道路を封鎖するだけでいい、爆発現場の偽装工作を優先するんだ。
はっ!
どういうことだ……こんなことをして、誰の得になるっていうんだ……
……そこにいるのは何者?
……うそ、何て鋭いんだ。でも、僕を見つけるにはもうちょっとってとこかな。
うーん……子供たちを襲う悪人は、やっぱり放っておけないよね。
まぁ、あの子たちとは同じ商船でリターニアから来たわけだし、多少は縁があるともいえるか。
それに、初舞台もまだ観れてないしね。せっかく買ったチケットを無駄にはできないよ。
ちっ、たかがホテルになんて警備の数だ! 先におびき出した奴らはまとめて片付けたてぇのに、まだあんなにいやがる!
で、でもよぉ……俺らでなんとかなったし、うまくやれるよな……
ふん、シンガスのクソどもが。こんな夜更けでもガキどもに見張りをつけるとはな。
なんつうか、連中の方もガキたちのことを警戒してたような、逃げられないようにしてるつうか……なんか変だよな?
お前にしちゃ冴えてるじゃねぇか、ひょっとしたら当たりかもな。
えっ?
俺たちのことを考えてみろよ。こっちだって、あのトゥルーボリバリアンどもにもうこれ以上付き合ってられねぇからずらかろうとしてんだろ?
それは……そうだけどよ。でも俺はなんとなく、パンチョの旦那の考え方もさ、完全に間違ってるわけじゃないと思うんだ……
ったく、そういう問題じゃねぇんだよ。たとえ間違ってなくても、アイツがこの街を掌握できなけりゃ何の意味もねぇんだ。
それに本当に掌握したとしても、こんなまともな工場すらない街から搾り取れる金だって高が知れらぁ。
ボリバル人の国を作りたいだって? クルビア人とリターニア人の後押しがなけりゃ、まともな武器すら集められねぇだろうよ。
でもよ……
でももクソもあるか! 本当に何か手立てがあっても、俺たちのような下っ端が考えることじゃねぇだろうが。
聞け。今回の仕事を片付けたらな、俺らはもう足を洗って好き勝手に生きようや。
はぁ……
何ため息ついてんだ?
え? ついてないけど……
君たちに好き勝手に生きられちゃうと、売られる子供たちには惨めな人生しか待ってないだろうね。
んだとテメェ*スラング*! どっから涌いて来やがったんだこの*スラング*ガキは!? かっさらって一緒に売り飛ばしてやる!
ひぃっ!
お前は一々ビビってんじゃねぇ!
いや、お、俺の刀が……一発くらわして痛い目見せてやろうと思ったら、何故か刃が急に曲がったんだよ!
役立たずが! やっぱまともな武器すら集められてねぇじゃねぇか連中はよ! これじゃ子供にも太刀打ちできねぇ!
それはそうと、ああいう肌がきめ細かくて柔らかそうな子供は金になるんだ、二度と手荒く扱うんじゃねぇぞ。俺のやり口を見てな……
ひっ!
ど、どうしたんだ? なんで急に這いつくばって、地面を掴んだりして……えっ? 部屋が、斜めに? うおっ、た、立ってられな……!
うっ……
ちっ、このクソガキめ……面妖な技を使いやがって……! 靴に吸盤でも仕込んでんのか? こんな傾いた地面に……なんで立っていられるんだ……!
えー、それは君たちが歪んだ道を選んだからじゃないの? それで周り全部が傾いちゃってるように感じるんだよ。
ほざけ! 誰がお前をここへ寄越したんだ。これはリターニアの邪術か何かだろ。お前は、一体何なんだ!?――
すまない、Dr.。だが今はまだ、キミにすべてを打ち明けるような時ではない。
現段階で詳細を話しても、いたずらにキミの心配事を増やし、判断に支障をきたすだけだ。
たとえキミの自己認識が指揮官であろうと、指導者であろうとな。
だから私もこうして、私と医療部のスタンスや処置案をキミに隠していないし、早期段階でキミを本議題に招いたのだ。
キミの提案した、本検査対象に限り一部条約による制限を免除するという案については、このあと会議でその潜在的な危険性を挙げたいと思っている。
キミのすべての疑問を晴らすには不十分かもしれないが、どうか私と医療部の意見を聞いてほしい。
皆の到着はもうすぐだ。
俺の兄弟たちが今にも駆けつけるぞ! テメェあんまり調子に乗るなよ!
別に調子に乗ってなんかいないよ。あと君のお友達なら、多分もう来られないと思うけどね。先に寝ちゃったから、その隣のお仲間さんみたいに。
というか、君たちに連れ去られた子供たちの方はそろそろ起きる頃なんじゃないかな。
あんな地下の小部屋に十何人も詰め込むなんて、寝心地が悪すぎると思わないかい。ちゃんと家に帰って寝なきゃね。
……テメェ!
ハッ、「家」、ねぇ。笑わせる。
家なんざどこにあるんだよ、あいつらに帰れる場所でもあると思ってんのか、ええ?
テメェのような派手な服着たリターニアのボンボンに、あのガキどもの暮らしが分かるかよ!
ん? 僕はリターニア人じゃないよ? 「ミヅキ」って言うんだけどね、極東の言葉にしては耳なじみする発音でしょ。
あぁ、それと「家」についての話だったら、僕は口を挟める立場だと思うけどな。
僕の家はね、小さい頃悪人に壊されたんだよ。君たちのような、他人から略奪する犯罪者のクズどもにね。
っ――……
テメェのような小童に何が分かる。お、俺はガキどもを助けてやってるんだよ!
何も分かっちゃいないようだな、あいつらがシンガスの手でこんな街に送られてきたのは何のためかをよ!
ここでショーをやって、ボリバル人にリターニア文化に対するアイデンティティーを植えこむため?
「この街の人間が衣食住に用いる製品はすべてクルビア人の物で、目耳に入るものはすべてリターニア人の文化だ。」
君たちのようなトゥルーボリバリアンの言い回しは、とっくに聞き飽きてるよ。
ふふ、ははははは! トゥルーボリバリアン、か……
この街を選んだ人間は、初めからボリバルにアイデンティティーなんか持っちゃいないぜ。たとえ持っていたとしても、遅かれ早かれすり減って消えていくんだ。
ここに来る奴はよ、ボリバル人も、クルビア人も、リターニア人もみんな、「金」しか頭にないような*スラング*しかいねぇのさ!
お前は連中がリターニア人のミュージカルや詩を楽しむために、この街へやってくると思うか?
やつらはただ美しい声と顔を持った役者を物色して、宴席で自分の体面を保つのと、気晴らしのために使いたいだけなんだよ!
けどリターニアのクソどもは最初からそれを承知の上で、ガキどもを使って自分たちのやりたいビジネスの便宜をはかろうとしてるんだ。
……
ずいぶん事情に詳しいんだね。
詳しいさ、当然だ。俺らみたいなのも所詮は金持ち連中の見栄道具に過ぎないからな。
金さえもらえりゃ奴らの後ろに控えて引き立て役にもなるし、番犬にだってなるさ。嫌でもそういうくだらねぇ事は目にする。
あのガキたちも……大して変わらねえよ。
お互いに苦しいって知ってるのに、君らはそれでもあの子たちを金稼ぎの道具にするんだね。
テメェの言う「子供たち」だって、ドッソレスの官僚や商人、富豪から財を搾り取ってるだろうが!
よくもまぁ地面に這いつくばってそんな言い訳ができるよね。子供たちは他人を脅迫して、利益に換えるようなことはしないよ。
な……何をする、来るな!
くそったれ、どうして動けないんだ! テメェ……
君みたいな救いようのない悪人は、こうしなきゃ――
先刻、会議で説明した通り、彼はすでに別の生命形態へと変化している。ある種の、道を探して自身を造り変える生物だ。
キミには理解して欲しい、生物が生存に使える資源は有限だ。一方でそうした生物は自身を造り変えるために莫大な資源を消費する。
今の彼らは制限された環境に閉じ込められており、同族を存続させるために自ら消費を抑制し、水面下で眠っているに過ぎない。
だがいつか、私たちと彼らは、生存に必要な一切を奪い合うことになるだろう。
村を破壊する害獣を殺すように彼らの命を奪うかもしれないし、あるいは彼らの腹の中で養分になるかもしれない。
キミも気付いただろう。あれらの生物とは異なり、検査対象はその種のアイデンティティーから遊離し、自分なりの考えと戸惑いを抱えている。
でなければ、私たちもこんな話をすることはない。
この生物の進化というものは、本来なら一族の同類を発展させるべく道を選んでいくはずだ。
だが、あの検査対象に限っては同類と呼べるものが全く存在しないこともあり得る。それは私たちでも、あの生物一般からしてもそうだ。
やめろ!
この人、この人は……僕と同類だ!
……
お、お前、どうやってここが分かった?
……すべては僕が計画したことだ。
何日か前の夜、僕はこっそり部屋を抜け出した。バーで酔っ払ったボリバル傭兵たちを見つけて、暗示のアーツを歌声に乗せて罠にかけたんだ。
ホテルの護衛に魔が差して、あの爆薬を買おうとしたのも、僕が情報を漏らしたからだ。
ってことは、僕が君たちを助けに来なくても……
定刻に警察に情報が流れるよう事前に準備していた。
だから、もし彼を裁くなら……僕も共犯だ。
ハッ、たかが歌唄いが……わざわざ追っかけてきて同情しようってのか、どうせ俺を笑いに来たんだろ!
参ったなぁ。そもそもは君たちを送り返そうと思ってたんだ。じゃなきゃミュージカルのチケットが無駄になっちゃうからな。
でも、もし君の言葉通りなら、このおじさんは果たして悪人と呼べるのかな?
けっ、何をブツブツ言ってやがる、このリターニアの犬め。さっさと俺を殺すなり切り刻むなり、好きにしやがれ。
だがな、お前らリターニア人がそこの子供に手を出したり連れ帰そうとしてみろ、俺は死んでも化けて祟ってやるからな!
だから僕はリターニアから派遣されたわけじゃないってば……
この人たちも、この街での生活と終わりのない争いに嫌気が差してたに違いない。
自分勝手な逃亡計画に利用したのは、とても申し訳なく思ってる……
だけど彼らもきっと、僕と一緒なんだ……ただこの街から、自分の故郷から逃げたいだけなんだ。
ああもう、まったく……
分かったよ。僕はもうこの件には手を出さない。じゃなかったら、まるでこっちが悪人みたいだからね。
でもさ、僕には君の計画はこの一味の貪欲無しでは成功しなかったと思うな。
だから念のため、彼らにはやっぱりしばらく眠ってもらおう。その間に君たちは逃げるといい。
……この人たちは、僕が見張っとくから。
キミの能力を疑ったことはない、Dr.。
キミなら、我々の考える「良い」方向へと、彼が自身を造り変えるように導けると確信している。
しかし我々は、できるからといって、一人の人間をそうやって変えてしまうべきだろうか? 自分たちにとって、ある生存方法が正しいと思っているというだけで。
そういったやり方は、自分が美しいと信ずる生命の在り方を実現させるために研究対象を改造する者と、どこが違うのだろうか?
これは質問ではないのだが、Dr.、教えてくれ。キミは「自分の生命の形態がより優秀だ」と考えたことはあるか?
少し傲慢に聞こえるかもしれないが、選択権を持つのは往々にしてすでに贅沢なことだ。ましてや、与える側は言うまでもない。
だが確かに、自分の能力が足り得るからといって他人に干渉するよりはましだ。
人と人は常に関わりを生み出す。たとえ自ら望んでいなくとも、言葉を用いなくともだ。
オペレーターとして接すると決めた時点で、キミと彼は互いに影響を及ぼすことが運命付けられる。
それは私が最も聞きたい、同時に最も案じている答えだ。
オペレーターたちはキミを信じ、敬愛し、任務中はキミに命を託している。キミが勇敢に立ち向かうからであり、それはキミにしかできないことだからだ。
日に日に積み重なる重責を、キミが背負っていけることに疑いの余地はない。だがいつの日か、それらが矛盾をはらみ、軋轢を生じ、望まざる選択を迫られる日が来るかもしれない。
しかし、キミがやろうと決めたなら、私もこれ以上止めはしない。
キミの配下のオペレーターに、私がいつも言っている通りだ。一度キミを認めたなら、もうあれこれ心配するな、とね。
余計な心配は、任務を含めた計画執行の妨げになるし、それにここは多くの者が暮らす家だからな。
行こうか、Dr.。キミを信用している者を外で長く待たせるわけにはいかない。
あ……
……
ドクター。ケルシー先生が、今日から僕はドクターの配下になるって言ってたよ!
相変わらず、正式なオペレーターとしては認められないみたいだけど……ドクターが手伝ってほしいことがあれば何でも力になるからね。
なんだか適当に聞こえるな。
……ドクター、まだ難しいことを考えてるの? それとも、僕の考えすぎ?
どうしたの、ドクター? 何か心配事?
トラブルにあったなら、なんでも僕を頼っていいからね?
ん? ドクターは、そう望まれるのかい?
僕としては、どんな形でドクターの側にいても構わないよ。
それと、ドクター。僕のこと、そんなに心配しなくてもいいからね……
ケルシー先生が言ってた厳しい条約と制限は、全部僕の情報と安全を守るために決めてくれたんだ。
それよりさ、ドクター……
自分の選択に、責任もってね?
ひょっとして、そんな言い草で十分な……同情が買えるなどと、誤解されていませんこと?
もちろんそうじゃない。
キミの陸地に対する調査はいずれ陸上の助けを必要とする。そして水面下の敵との戦いも、遅かれ早かれ陸上側の課題となるだろう。
それに関して先行するロドスの独走に干渉しない限り、キミと条件を話し合ってもいい。
すでに行っている情報協力に加え、そちらが奴らの陸上での足取りを掴んだら、我々も最大限キミたちを支援しよう。
それは単に邪悪な生物に堕した無知な個体を庇うためですの?
有り得べき未来のために、だ。