紅炎遣らう落葉 CF-ST-2・幕間
燃ゆる焔と昏き森
マジかよ……ま~たあの石だ。
これで何回目だ?
えーと、七回目だな。
ずっとこの近辺を歩き回らされているな……どの方向へ進んでも、結局ここへ戻ってきてしまう。
通った道に目印をつけられるといいんだが……長いロープは持っていないか?
次から持っとくようにするよ……っと、そういや……
お前、さっきから何をやってんだ?
掘って、掘って、鉱石を掘り当てるのニャ。
いいもんいっぱい持ってるなあ。ちょっとよく見せてくれ。
ニャーニャー!
へえ、こりゃなかなか……おっ! これ、使えそうじゃねえか?
黒い……何かの粉か? 確かに、撒きながら歩けば目印になりそうだな。試してみるからここで待っていてくれ。
……よう、ヤトウ。
さっきぶり。
言うな。私にも目印は見えてる。
やはり戻ってきてしまったか……
みたいだな。
角獣たちに追われてリオレウスの痕跡を見失ったと思えば、今度はこの崖の近くを離れられなくなるし……
測位装置は故障して、画像表示もままならない……この森は一体どうなっているんだ?
……いや、もう一度試してこよう。こんなところで立ち止まっているわけにはいかない。
まあまあ、落ち着けって。
これは多分、自然現象の一種だ。
もう少し観察してみようぜ。まだ見落としてることがきっとあるはずだ。解決策だって絶対見つかるさ。
ただ、その前に何とかしたい問題もあるがな。……さっきから誰かさんが見当たらねえと思わねえか?
ヤトウ~!
ノイルホーン~!
相棒~!
みんなどこ行ったんですかニャ~!?
いたずらはやめて、もう出てきなさいニャ~!
その木の後ろにいるんですニャ? ノイルホーン!
い……石に隠れたって無駄ですニャ、相棒。バレバレですニャ!
……えっと、ヤトウ……? 木に登ってるなら、早く降りてきてくださいニャ……
だ……誰もいないニャ……
も、もうおしまいですニャ……
木の表面に変な模様がついていたから、少し観察していただけなのに……みんなどこかへ行っちゃうなんて……ニャ~……
結局、これだってただの傷付いた樹皮でしたしニャ……
わ、わたしが悪い……わけがないですニャ! 学者が真面目に観察しているんですから、みんなは大人しくその場で待つべきなのですニャ!
まったく、わたし抜きでどうリオレウスを探し出すつもりなのですかニャ……もっとわたしを大切にするべきだと思いますがニャ。
今頃は、わたしがいることの有り難みが身に染みてわかったところでしょうし、慌ててわたしを探しているに違いありませんニャ! 特にノイルホーンと相棒はニャ!
それに、ヤトウだって……ちょっと愛想はない人ですが、取引をした以上、わたしを放っておくはずないですニャ!
こ、怖いものなんかありませんニャ! わ……わわ、わたしはただ……ここで待っていればいいだけなんですから……ニャ……
ニャアア~! わたしはここです! 助けてくださいニャ~!
だって、森には……この森の中には、色々いますのニャ……!
ああ、そんな……元書士隊の生態学者にして、テラ大陸研究を牽引する研究者となるはずだったわたしが……その誉れ高きネコ生がこんなところで終わるなんて……ニャアア……
そんなのありえませんニャ! わたしならきっと――
……ニャ~……二度とみんなのそばを離れたりしませんから……
もうノイルホーンにちょっかい出したりしませんし、相棒のこともたまには……いえ、もっとたくさん褒めるようにしますから……!
だから……だから、誰か助けてくださいニャ……
学者先生、ここで何やってんだ?
ニャ……?
ニャ……ニャ、ニャんで……
の……ノイルホーン、遅いですニャ! 察し悪すぎますニャ! その変なツノした頭は飾りですかニャ!?
ええ……? 俺が何したってんだよ、そこまで言うかあ?
そ、それはあなたが……この元王立古生物書士隊である優秀なわたしの生態調査を邪魔したからですニャ!
えーっと……その生態調査ってのは?
……二人とも、少しは現状を弁えろ。この付近を離れられなくなってから二時間も経っているんだぞ。
じきに日が沈む。喧嘩している暇があるなら、ここから抜け出す方法を考えろ。
……なあ学者先生、一体何の調査をしてたんだ?
ふーんだ! あなたには関係ありませんニャ!
しょうがねえなあ、自分で見るよ。――って、これは……木に文字が刻まれてんじゃねえか!
「崖から離れる方法を記す――」
「道しるべは風。吹き抜けるほうへ向かえ。――未来」
多分、ここに来た人が残してくれたんだろうな。風の方向に沿って進めとさ。
ニャ? それって、この大陸の文字だったんですかニャ?
おう! しかしよく見つけてくれたな! でかした、見直したぞ!
当然で……ニャ? 見直したってどういう意味ですかニャ!
吹き抜けるほうへ、か……
さっきの粉を高いところから撒いてみよう。そうすりゃ、風の動きが見えるはずだろ。
いいアイデアだ。では、さっそく出発しよう。
タンマ、もうちょっとじっくり見させてくれ。この文字、つい最近刻まれたような感じなんだよ。……最後の「未来」ってのはどういう意味なんだ……?
あっ、おい! 待ってくれって!
ふう……ようやく抜け出せたな。
湖がありますニャ。風が吹いていた理由は、これでしょうニャ。
全員、一旦止まれ。湖のほとりに野営地らしきものが見える。人がいるかもしれない。
私が確かめてこよう。ここで待っていてくれ。
キャンプといえば焚き火! 焼肉! 出発ですニャ!
ニャ!
ふ~っ――はあ、やっと火がついた。
しかしこの場所、結構前に放棄されてそれっきりなんだろうな。昔の狩人が残したものみたいだが、まだ十分使えてよかったぜ。ちょうどいいから休んでいかねえか?
……まあ、その提案には賛同しよう。夜間の行動効率は昼に比べて悪いし、リオレウスを追跡するのにも支障が出るからな。
ここでしばらく休憩を取り、体力回復を図ろう。準備が整ったらすぐに出発するぞ。
了解了解。
……っふ……はははっ。
どうした、何がおかしい?
ああ、いや……お前は変わんねえなあと思っただけだよ。まるで何かに追われてるみたいに、いつだって先を急いでるだろ。
俺たちはもう長いことドクターと仕事してるってのに、あの冷静さに影響されたりはしないんだなってさ。
……ドクターも、迅速な任務完遂を望むはずだ。
はいはい、お前の言う通りだよ。
まあ、いっそ昔みたく、俺の言ったようにやってみてもいいと思うがな。……そんじゃ、明日に備えてゆっくり休めよ。
俺はキャンプの片付けをしとく。ほかにも役に立つものが見つかるかもしれねえしな。
休息……か。
ここの状況を見る限り、少なくとも狩りに関しては、村長の発言に嘘はない。柏生の爺さん以外に狩人はもういないんだろうな。
この状況はきっと、俺たちが入ったあの大きな洞窟と関係してるはずだ。爺さんの機嫌が悪い原因も、多分……
何にせよ、リオレウスを見つければわかることだ。そんなことを考えている暇があるなら、もう出発するぞ。
わかってるって……うおっ、この箱ほこりだらけだな。錠前も錆びて壊れちまってるし……何が入ってんだ?
……! ヤトウ、見てくれ。狩人が使ってたらしい道具があるぜ。……大刀に短刀、組み立て済みの罠に、縄……かなり使えそうだ。
有用なものはすべてもらっていこう。
おお、矛まで入ってる。なんか折れちまってるけど……柏生の爺さんが使ってるやつと同じものみたいだな。
こうした矛はほかでは見たことがない。この辺りの人が、狩りのために作り出したものだろうな。
けど、ここにあるのは半分だけか……箱の中にも矛先のほうは入ってねえや。
……! これは……
どうした?
ああいや、随分と精巧な造りをしているから、驚いてな。
この矛、柄に穴が開けられているが、中に埋められているのは……弓の弦か? 何かの動物の毛が巻かれているな。相当頑丈そうだ。
なるほど、矛先を放つためにこの仕掛けで弦を制御しているのか。弦の長さから考えて……威力はかなりのものだな。
折れた部分に歯車が見えるが、おそらく矛先の角度を変えて固定したり、回転させたりする仕組みだったんだろう。これなら、戦闘中の状況に合わせて対応できそうだ。
……この武器を設計した人は本当に腕が良いな。
武器のことになると、やっぱお前のほうが詳しいな。俺の知識じゃ刀の手入れくらいが関の山だ。
とはいえ、これは元の場所に戻しておいてくれ。私たちには不要だろう。
――待ってくれ。この矛、柄に文字が……
柏生……明? 持ち主の名前か?
柏生の爺さんは義稜だっけか。となると、家族か親戚とか……? ほかにも何か手がかりになりそうなものは……
ノイルホーン、お前――ん? そこに何か落ちているぞ。
どれどれ、見せてくれ。
写真のようだ。箱を開けた時に落ちたのかもな。
狩人たちの集合写真か。ここで撮ったみたいだな。……撮影日は九年前か。
右のほうにいるのは……村長だよな? 当時は狩人だったのか。
そのようだ。
狩人らしい服を着てると、今とはまるで別人だな。……隣に女の子が写ってるけど、これは誰だ……?
――っと、いた! この人じゃねえか!?
大声を出すな。
ごめんって……ほら、真ん中の若いのが矛持ってるだろ。ほかに矛を持った狩人は写ってねえし、折れた矛の主かもしれないぜ。
随分若そうだし、これが柏生明だとしたら……九年経った今でもまだそんなに歳はいってなさそうだが。
村ではこんな人見かけなかった気がするんだよな。お前はどうだ?
私も記憶にはないな。
だよなあ? それに、この写真……狩人みんなで撮ったものみたいだが、柏生の爺さんは写ってないのも気になる。
撮影した日に偶然来なかっただけかもしれないだろう。そろそろ箱に戻しておけ。
おう。……にしても、当時の村長もかなり若そうに見えたな。
柏生の爺さんがいないのは……当時からほかの狩人たちと折り合いが悪かったとか……? だけど、明って人のほうは村長と仲良さそうに見えたんだよな……
村には狩人の像があった気がするが、長いこと手入れされてない様子だった。村長も狩人だったはずだし、色々と妙だよな……原因はこの柏生明か?
ノイルホーン!
あ……悪い……
もうたくさんだ。
他人のプライベートに意味もなく首を突っ込むな。写真に誰が写っているとか、柏生さんの家がどうとか……任務には関係のないことだろう。
お前は気にしすぎだ。
そんな調子だから、任務の進行が遅れるんだぞ。
そもそも、柏生さんの置かれた状況を知ったとして、私たちに何ができるというんだ?
カウンセリングでもするつもりか? ほかの人々からも同じ対応を望まれたらどうする? 等しく同じように接するのは、土台無理な話だぞ。
……村にいた人たちの……あの子の置かれた状況を見ただろう。
ここの人たちは、何も知らずに転がり落ちていこうとしている。私たちにできるのは、彼らの命を救うことだけだ。
できるだけ早くリオレウスを見つけ出し、真相を解明して、鉱石病の拡散と病状悪化を防がなくては。
私たちがやらないと……やり切らないといけないんだ。彼らの安全のために、全力を尽くさなければ。それが私たちの責任だろう。
ノイルホーン……状況をきちんと理解して行動してくれ。
わかってるよ。……お前も落ち着け、ヤトウ。
俺はさ……考えないようにしようとしても、やっぱり爺さんのことが気になっちまうんだ。
あのわけわかんねえくらい頑固な発言も、行動も……何かから逃げてるみたいで、自分一人で全部背負うことに執着してるように見えるからさ。
それって、いつかの誰かさんにそっくりだと思わねえか? ……なんてな。
まあ、そのことを抜きにしても……
俺には、爺さんのああいう言動が任務と無関係だとは思えない。証拠はまだないけどな。
ならば、私はA4の隊長としてお前に命令をしよう。
今回の任務では、証拠もなく任務目標以外のことに注意を払う行為を禁止する。
……了解。
……
……なあ、ヤトウ。
俺は……お前のことも心配してんだぜ。
……
……見回りに行ってくる。休憩を終えたら、予定通り出発するぞ。
ノイルホーンったらずるいですニャ! 自分は焚き火を楽しんでおいて、わたしは魚釣りに行かせるなんてニャ!
魚じゃなくて鱗獣だニャ。
知ったようなこと言わないでくださいニャ。彼らの発言とわたしの豊富な知識を合わせた分析結果によれば、鱗獣と魚はほとんど同じものですニャ。
~♪ ウキを投げれば、ウキウキ~♪ ニャニャ♪
~♪ トントコトン♪ ニャニャ♪
そういえば、お昼に話した「違和感」のこと、覚えてますかニャ?
実は、自分で書いた生態ノートを見直していたらその原因がようやく判明したんですニャ。それというのは……
この森には……モンスターがいないということですニャ!
我々の知る諸大陸はどこも、と~っても凶暴なモンスターがいるのが普通ですニャ。これはあの学者たちが言うところの……
「調和」というやつですニャ。つまり、彼らの存在は危険でありながら、環境に均衡をもたらしているということなのですニャ。
しかし、ここにはそのモンスターに相当する強い生き物が一匹もいませんニャ。これはおかしな話ですニャ。
あの角獣というモンスターの群れにしても、彼らの通ってきた場所を観察してみたら、そこら中の樹皮まで食べてしまっているようでしたニャ。これが意味するところはわかりますかニャ?
ニャニャ?
わたしが言いたいのは、最初からそんな暴食を繰り返していたわけではないはず、ということですニャ。でなければ、ここの木々はこうも大きくなれませんからニャ。
推察するに、この森の生態系は……どこかの時点で、不自然な形に壊されてしまったのでしょうニャ。
そこにいたはずの何かが……消えてしまったのですニャ。
けれど心配ご無用ですニャ。このわたしたちがいる以上、力を合わせてリオレウスの問題をパパっと解決すればいいんですからニャ!
……相棒? わたしの話聞いてますかニャ?
トントコトン♪ ニャニャ♪
はあ……あれを任せたのが間違いでしたニャ!
ニャ~♪ トントコ、トントコトン♪ ニャ♪
まったくもう! ウキはぜ~んぜん動きませんし、いつになったら釣れるんですかニャ?
どうだ先生、鱗獣釣れたか?
ちょうど良いところに来ましたニャ! さ、ここに座って座って。
釣り竿をあげますから、持っててくださいニャ。
え? なんで俺に……
動かないでくださいニャ!
そのままですニャ!
えーっと……何するつもりなんだ?
いいから釣りしててくださいニャ。
あのなあ、お前――ん!? うおっ!?
うわわわ、ウキが! ウキが沈んでますニャ!
重っ……! これ、どうすりゃいいんだ?
引いてくださいニャ! 力いっぱい、引っ張るんですニャ!
彼女たちが死んだのは……お前のせいだ……
逃げるな……ヤトウ……
なぜなら、お前は……
っ、あ……どうして、こんな昔のことを……
ちょっと、ノイルホーン!
肉焼きは四周半が食べ頃なんですニャ!
適当言うなよ、ちゃんと見ろ。まだ生焼け……って、おわあっ!?
今、急に色が変わったよな!?
やっべ、焦がしちまった……
あーあ、ちゃんと話を聞かないからですニャ!
ったく、元はと言えばお前が話しかけてくるからだろうが……
ニャ~!?
っだああ、俺のツノを触るんじゃねえっての!
……はあ……
……ニャ……
元気が有り余ってるなら、リオレウス相手にちゃんと使えよな。次に会った時は逃げるんじゃねえぞ。
リオレウスへの対抗策はあるって前にも言いましたニャ。弱点はすべてわたしのノートに記録してありますからニャ。
あなたたちの武器は弱すぎますし、このままでは勝ち目がありませんニャ……しかし先見の明あるこのわたしが、もっと強い装備を相棒に造ってもらっていますからご安心くださいニャ。
そりゃ助かる。しかし、リオレウスか……食ったらどんな味なんだろうな……
こほん、教えてあげますニャ! 一番美味しいのは火竜のキモなんですニャ!
ふぅ……
――! 誰だ!
おい、どこ行くんだよヤトウ!
一瞬影が見えた。あちらに逃げたはず――
そこにいるのはわかっているぞ!
何者だ、出てこい!
(――! 移動した……どこだ?)
……
(向こうか!)
出てきた方が身のためだぞ。
――
さあ……
姿を見せろ!
ニャ! ヤトウ!
……? お前だったのか?
ニャニャ?
いや……違う。今の影は……
見失ったか……
おーい……!
はあっ……お前……走るの、速すぎんだよ……! や~っと追いついた……
なんか見つけたのか?
ああ。だが逃げられてしまった。
ところで、お前はここで何をしていたんだ?
素材を鍛えてたのニャ。
これは……防具に武器か? リオレウスを狩るために造ってるとかいう……
あ、まだ触っちゃだめだニャ!
ニャ……石が足りないから、これを使うニャ。
そんな適当に代用しちまっていいのか?
殻を……カンカン、嵌め込むニャ。
できたニャ! 二人の装備だニャ!
私たちにこれを着ろと?
そうニャ! これでリオレウスに立ち向かうのニャ!
ふむ……試してみてもよさそうだ。
だな、着てみようぜ!
……ノイルホーン、ここで着替えるんじゃない。
これは……どう着るんだ?
ここに手を通すのか……?
ん、なんだこれは……
着たことのないような形だな……
これで……多分、合っていると思うんだが……
……このマスク、ちっと熱がこもるな……こういう付け方であってるのか?
うわっ、なんだこのトゲ! どうしてこんなとこにまでついてんだよ……俺のツノより長いじゃねえか。
なあ……これ、本当に人間向けの装備なのか?
(しかし、相当軽い素材なのに思ったよりずっと頑丈そうだ……)
(あの鍛冶屋が言うには、元いた場所から持ってきたリオレウスの素材で造ったらしいが……確かに、これじゃヤトウの刀でも通りそうにねえや。)
(にしても……この辺の材質、なんか知ってる手触りだな……)
(何の感触だ……? 思い出せねえ。)
おーい、ヤトウ! こっちは着替え終わったぜ!
俺、参上! ――あいてっ……
頭ぶつけちまった……あれ? マスクずれてんのかな、前が見えねえや……
こう……か? ……おお、これで合ってそうだな。
ヤトウ、お前のほうは……
あ……
「軽く、敏捷性に優れ、そして強力。」
後にも、この奇妙な新装備について議論するたびに、私はそう感嘆せざるを得ない。
「私たちが驚いてるのはそこじゃないんだけど……!?」
仲間たちはいつもそう言ってくるが……
それなら何に驚いているのだろう。私には未だによくわからない。
この装備……涼しすぎるように思うんだが、これで本当に身体を防護できるのか?
ああ、ただ……肌にピリピリするような不思議な感覚があるな。なぜだか、直射日光の不快感も消えたし……
これがキリンだニャ!
キリンというのは、装備の名前か?
そうだニャ。
……戻ったら、一応レイズに何か知らないか聞いてみるとしよう。
テラの素材、素敵だニャ! 代用品がいろいろニャ!
(小声)……オリジムシに感謝しないとニャ。
この刃の真価は戦いの中で試させてもらうとしよう。
……? どうした、ノイルホーン。転んだのか?
あ、いや……まだ新しい装備に身体が慣れてなくってな……
っていうか、お前、マスク……
外したよ。この装備の効果なのか、光を遮る必要がなくなってな。このほうが身軽で動きやすいだろう。
……何を見ている?
な、なんでもねえ!
……それなら早く立て。いつ危険が迫ってくるかもわからない状況だしな。とにかく新装備に慣れておかなくては。
おう、了解!
ヤトウ! ノイルホーン!
あの変なお爺さんが来ましたニャ!
あなたたちの装備を持って行こうとしてますニャ!