紅炎遣らう落葉CF-TR-1・戦闘前襲来!天空の王者!
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ウルサス極東炎
ウルサス極東炎

名前

紅炎遣らう落葉 CF-TR-1・戦闘前

襲来!天空の王者!

ヤトウ

左へ。

ノイルホーン

このくらいか?

ヤトウ

もう少し右だな。

……ダメだ、届かない。背伸びしてもらえるか?

あと少しだけ高く……

よし、この高さを維持してくれ。

ノイルホーン

お、おう……

ヤトウ

こら、肩を動かすな。

ノイルホーン

これでも努力してんだけどなあ……

ヤトウ

すぐ終わるから我慢しろ。

ノイルホーン

……はいはい。

ヤトウ

ほら、終わったぞ。下ろしてくれ。


ノイルホーン

はぁ……はあ……キツかった……

ヤトウ

なかなか良質なサンプルが採れたな。

ノイルホーン

なあヤトウ、提案があるんだが。

ヤトウ

言ってみろ。

ノイルホーン

思うに……

ヤトウ

その前に、ピンセットを。

ノイルホーン

はいよ。それでだな……

ヤトウ

テープも。

ノイルホーン

これか? で、その提案なんだが……

ヤトウ

これじゃなくて青いやつだ。サンプルの分類には注意してくれ。

ノイルホーン

わ、わかったよ……

ヤトウ

それで、何が言いたいんだ?

ノイルホーン

あー……次の外勤任務の時は、ハシゴの持ち出しを申請できねえかなと思ってさ。

ヤトウ

却下する。荷物を増やしすぎると機動力に影響が出るし、不測の事態が起きた場合危険が及ぶからな。

さて、このサンプルも検査に回してくれ。何か有用なものが見つかるといいんだが……

ノイルホーン

了解。

ヤトウ

ところで、なぜハシゴの持ち出しを申請しようと思ったんだ?

ノイルホーン

……何でもねえよ。ちょっと聞いてみただけさ。


ノイルホーン

サンプルの簡易検査結果が出たぜ。活性源石粒子はなし……前回と同じか。

ヤトウ

またか……採取済みのサンプルはこれでいくつになる?

ノイルホーン

大気、土壌、生物、環境表面と色んな検査用サンプルを採取してきたが……合計十七箇所のポイントで二十三個採ったことになるな。

ヤトウ

その二十三個すべてから、何の異常も検出できないというんだな?

ノイルホーン

ああ。

ヤトウ

……妙な話だ。

しかし、考えてみればこの近辺では二日前に大雨が降ったはず……源石粒子の検査結果にも影響したのかもしれない。

道中、何か気にかかったことはあるか?

ノイルホーン

んー……焼け焦げて折れた樹を見たことくらいだな。

ヤトウ

大方、雷にでも打たれたんだろう。……仮にそれが異常事態の手がかりだとしたら、森の中に火を噴いて暴れ回る怪物か何かがいることになるからな。

収穫なしと認めたくはないが……現状の検査結果を見る限り、このままサンプル採取に時間を割くのは非効率的だ。

調査方針を変えよう。この地域の感染者に、直接聞き込みをするというのはどうだろうか?

ノイルホーン

いいと思うぜ。感染者の移動経路を調べれば、源石の場所を特定するにも役立つだろうし……ただ、一つ気をつけとかねえとな。

こういう丘陵地帯の村は、外との交流なんてほとんどねえはずだ。住民に聞き込みしようったって、多分簡単にはいかねえぞ。

ヤトウ

構わん。必ず説得してみせるさ。

ノイルホーン

じゃ、決まりだな。近々でそれっぽい症例報告があったのは「露華村(つゆはなむら)」だ。この山の麓にあるらしい。行ってみようぜ。

……ん? この報告、村側から送られてきたやつか。医療支援の要請が来てるみたいだが……向こうからロドスに連絡を取ってくるなんて珍しい村だな。

ヤトウ

では、一層注意を払いつつ山を下りていこう。何か見落としがあるかもしれん。


ヤトウ

(レコーダーの録音ボタンを押す)

これは、第一回目の音声記録だ。

時刻は朝の七時三十七分。天気、晴れ。現在地は、極東の蒼暮山地北部だ。

記録者はロドス行動隊A4隊長、ヤトウ。同じくA4所属であるオペレーター・ノイルホーンと共に、この地域での鉱石病対応任務に取り組んでいる。

情報によると、この辺りでは最近鉱石病の感染者が増加しているとのことだ。原因は異常な源石粉塵拡散にあると推測されるが、現状それが人為的なものである可能性も捨てきれない。

今、我々は蒼暮山地の森周辺にいる。すでに簡易的な観測とサンプリングを行ったが、環境に起きた異変に関する手がかりはいまだに……

ノイルホーン

ヤトウ、来てくれ! 大発見だ!

ヤトウ

……記録を一時停止する。


ヤトウ

どうした? ……まさか、これがその「大発見」か?

落ち葉の下に……随分たくさん虫がいるようだが。

ノイルホーン

これはミズグモの幼虫でな。

ヤトウ

ふむ。それで?

ノイルホーン

あ~……悪い、パッと見でなんか変だと思ったんだが、改めて聞かれたらどこがおかしいのか忘れちまった。

ヤトウ

思い出したら教えてくれ。……さて――いまだに手がかりはないものの、調査は続行する。一回目の記録は以上だ。

ノイルホーン

そうだ、思い出した!

ヤトウ

聞こう。

ノイルホーン

この間、ドクターにもっと本を読んでみろって言われてな。ミントに勧めてもらった『オリジムシでも分かるテラの生物大百科』ってのを読み始めたんだが、挿絵がたくさんあってすげえ面白いんだ。

ヤトウ

要点だけ言え。

ノイルホーン

その本にミズグモの生息環境について書かれてたんだよ。それによると……「ミズグモは卵を水たまりに産み、幼虫は浅い水の中で生活する」らしい。

そんで成虫になったら、どこかへ飛んでいっちまうんだと。

ヤトウ

つまり……

ノイルホーン

なんか変だろ? 水たまりでもねえ場所に幼虫がいるのはさ。

ヤトウ

単に湿った環境というだけでも生存はできるのかもしれないぞ。

ノイルホーン

少なくとも、あの本にそれっぽいことは書かれてなかったぜ。

ヤトウ

……待てよ。この辺りは木が密集しているとはいえ、生え方としては均等に見える。

だというのに、なぜこの場所に落ち葉が集中しているんだ……?

一度掘り起こしてみないか。

ノイルホーン

そう言われても、俺だってスコップなんか持ってきてねえんだけど……

ヤトウ

……

ノイルホーン

……

わかったわかった。俺がやるよ。

ヤトウ

これは……

ノイルホーン

うわっ、なんだこれ。でっかい爪痕だな……

ヤトウ

極東の山に……こうも大きな羽獣がいるものだろうか。

例の本には、これについては何か書かれていなかったか?

ノイルホーン

さすがにそこまで覚えてねえなあ。

ヤトウ

そうか。しかし、とんでもない爪痕だな。私の刀と同じくらいの大きさがあるぞ。形状を見る限り羽獣のようだが、この大きさで、ここまで深く抉られているとなると……

この痕の主は……家ほどの大きさがあってもおかしくないだろう。

ノイルホーン

そんなでっかい生き物がマジで実在すんなら、ケオベが大喜びしそうだな……食べ放題だ~とか言ってよ。

ヤトウ

逆に、私たちを軽々と引き裂いてしまいそうでもあるがな。ん……?

ノイルホーン、サンプリングの器具をくれ。

ノイルホーン

はいよ。ちゃんと防護措置取るんだぞ。

ヤトウ

ああ。……これで爪痕からサンプルを……よし。

検査に回してくれ。

ノイルホーン

おい、ヤトウ……

ヤトウ

結果はどうだ?

ノイルホーン

活性源石粒子、ありだ。

ヤトウ

まさか本当に反応が出るとは……

ノイルホーン

うわっ……!?

な、なあ……

ヤトウ

巨大生物に関する記録はなし。付近での目撃報告もなし、か……一体どこから……

奇妙な生物(黄)

ニャー!

ノイルホーン

なんか今、ニャーとか聞こえなかったか……?

ヤトウ

そもそも、本当に生物が残した痕跡なのか? これほど大きな羽獣となると、どんな姿をしているのか想像もつかないし……

爪痕から検出された活性源石粒子についても……感染源となった源石の在り処もわからないし……

ああ、それにあの落ち葉の山……

奇妙な生物(黄)

ニャー、ニャー!

ヤトウ

……? 変な声を出すんじゃない、ノイルホーン。

今はこの爪痕の記録が先だ。準備に取りかかってくれ。

ノイルホーン

ヤトウ……

それ、俺の声じゃねえぞ。

ヤトウ

何を言って……わっ!ひっ!

ノイルホーン

こいつ一体何なんだ?

ヤトウ

私が知るわけないだろう!

下がれ、まずは距離を取るぞ!

ノイルホーン

おう! 見た感じ、地元のフェリーンか……?

ヤトウ

わからん。私もこんなフェリーンは見たことがない。

奇妙な生物(白)

リオレウスが来ますニャ!

ノイルホーン

おいおい、一匹増えたぞ!

ヤトウ

油断するな! 攻撃に備えろ!

戦闘準備!

ノイルホーン

待った! ヤトウ、あいつらの動きを見てくれ。

奇妙な生物(白)

(ぴょこぴょこと踊る)

リオレウス! リオレウスですニャ!

ノイルホーン

なんか、踊ってるみたいじゃねえか……? 悪意はなさそうに見えるけど……

ヤトウ

そこのお前、名を名乗れ! お前たちはフェリーンか? 言葉は通じるのか?

……フェリーンではなさそうに見えるな。……知能の低い動物の一種か……?

そもそも、奴らは今なんと言っていたんだ?

ノイルホーン

えーと……二オレースとか言わなかったか? 爪痕か、あるいはそれを残した生き物をそう呼んでるとか……?

奇妙な生物(白)

失礼ニャー! 知能が低いのはそちらですニャ、ツノのお嬢さん!

この爪痕の主が来るって言ってますのニャ!

すぐそこまで、リオレウスが近付いてるんですニャ~!

ノイルホーン

うおっ、しゃ、喋った!?

しかもなんか失礼とか言われてるぞ……

ヤトウ

リオレウス? そいつは一体何なんだ?

奇妙な生物(黄)

……これ、なんだろニャ? 見たことない道具だニャ……

ノイルホーン

うおわっ! 黄色いやつが俺らの測定器を!

に、逃げやがった! こら、待て!

奇妙な生物(白)

あっ! なにやってるんですかニャ、止まりなさいニャ~!

ノイルホーン

おわっ、白いの! お前も待てっての!

ヤトウ

追うぞ!

奇妙な生物(白)

まあちょうどいいですかニャ! このまま急いで逃げますニャ!

ノイルホーン

あいつら、どうしてあんなにすばしっこいんだ……!?

ヤトウ

私に聞くな!

奇妙な生物(白)

ほら、早く! リオレウスが来ちゃいますニャ!

ノイルホーン

聞いてる感じ、さっきから……

何かが来る、って繰り返してるみたいだが。

今でも、あの午後のことはありありと覚えている。

泥まみれになった靴、二十三回行って収穫なしのサンプリング。

落ち葉の下に隠されていた巨大な爪痕。どこかフェリーンに似た、ふわふわとした生き物。

ああいや、フェリーンと彼らを一緒くたにするつもりはないんだが……とにかく。

あの時、我々の頭上を覆った大きな影は、大地を焼き尽くす業火のようだった。

その脅威は、空からやってきたのだ。

ヤトウ

ノイルホーン!

ノイルホーン

おう!

ヤトウ

迎撃準備を!