テラ飯 DT-2・戦闘前
密林解毒スープ
ライオス、はやく。
見てくれ、このキノコ! 普通の歩き茸よりもずっと大きいぞ!
これに足が生えたら、カッコよさそうだ……いくらか昼食にとっておこうかな?
もう、気をつけてよ。ジャングルのキノコは全部多かれ少なかれ毒があるってグルメガイドに書いてあったんだから。
たとえば、食べると全身に発疹が出るやつとか、血液が固まっちゃうやつとか、内臓が飛び出るまで吐き続ける羽目になるやつとか……
……どんな経験をしながらこれを書いたのか、考えたくもないな。
見覚えのある迷宮のキノコならともかく、未知のキノコを食うのには反対だ。
歯形がついてる。この肉厚のキノコを好んで食べる動物もいるみたいだぞ!
いいや、一部の動物が食べているだけならば、そのほかの多くの生き物にとっては有毒である可能性が高い。
言い換えれば、多くの動物が食べている物なら、恐らく毒性がないだろうな。
うーむ……
(低い咆哮)
何の音だ?
(鋭い鳴き声)
何か突っ込んでくるぞ! 気をつけろ!
うわあああああっ!
よっこらせ、どっこいせ……
おおっと! 今の爆発はすごかったのう!
誰もいないテスト場が見つかって良かったわい。
さあて、どれどれ……
チャンバーの圧力、計測不能。温度、計測不能。積載量、これも計測不能か!
このくらい派手にブチかまさねば、いい数値は出せんようじゃな。
では、先ほどの設定の最終デバッグを行うとしよう。ベルトを緩めて……ねじを締めれば完了じゃ!
これでもう、余程のことがない限り、わが最新の傑作「インビンシブル・クール」はばっちり動くじゃろう!
おっと、まずは爆発物を全部撤去してしまおうかのう。
安全第一、火気厳禁じゃ~。
よっこらせ、どっこいせ……
げほ、ごほっ……なんだ!? 向こうで爆発が……!
ごほ、ごほっ……
マルシル、大丈夫か?
だ、大丈夫! でも、ちょっとくらくらする……
(低い咆哮)
まだ来るのか……! 気をつけろ!
何あれ、ゴーレム? それともガーゴイル!?
私の魔法で――
ドッカーン――!!!
おーい大祭司、いるのか?
……何の音?――うわあっ!
ワニ!? それともワニ頭の亜人!?
はあ? アジンってなんだ?
しゃ、喋った!
オレが話したからなんだってんだ? ――おい、そっちのドゥリン二人は地下から上がってきたばっかの連中か?
「ドゥリン」?
俺たちのことか?
オマエら以外にいないだろ。二人とも小せえし。
つまり、この男からすればわしとチルチャックが同じ種族に見えるということか?
この辺りにはハーフフットもいないらしいな。
……何言ってんだ? オマエら、頭大丈夫か?
あ、そうだ。それより、この辺で大祭司を見てねえか?
大祭司?
眼鏡をかけた小さい爺さんだよ。
その人は、なぜこんな危険な場所に?
大祭司の考えはわかんねえ。謎だらけだからなあ。
なるほど。だが今のところはそれらしい人は見かけなかったな。
ってなると、大祭司の行方も謎だらけってわけだ。
そんなら仕方ねえ。とりあえず集落に戻るとするか。アイツを探してるといつもこうなるなあ……
じゃあな、変な観光客ども!
待って! 聞きたいことがあるの。ロドス・アイランドって聞いたことある?
なーるほど、オマエら運が良くも悪くもあるな。その名前なら、オレも聞いたことあるようなないような気がするぜ。
まあ、どっちにせよ、その何とかアイランドを知ってる奴には心当たりがあるぞ。
だけどそいつは……
まさか、例の大祭司か?
その通り。
じゃ、こうすっか。オレは集落に戻るからオマエらも一緒に来い。大祭司ってのはいつも、探そうとすると見つからねえが、ほっとけば勝手に帰ってくる奴だからな!
要するに君たちはシマにある大きな迷宮にいたはずが、知らないうちにここにたどり着いてしまった、と。
大体そんな感じ。何かわかることあるかな?
うーむ……そのシマというのは何なんだ?
へっ? ええと……海に浮かんだ陸地のことだけど。
ウミ? というのは?
えっ……水がたくさんある場所?
それは湖ではないのか? 随分変なことを言うんだな。
うーん、結構な内陸なのかな……
そもそも君の質問はおかしすぎる! 私は今まで、ウミもシマもメリニという村も聞いたことがないぞ。もしかして君たちは、テラの反対側から誰かの尻尾で吹き飛ばされてきたんじゃないか?
「テラ」……って?
この大地のことだが……
マルシルはこのワニ男が自分をからかおうとしているのではないかと思い、その目を見つめた。
しかし残念ながら、その真っすぐな目には「この人はバカなのではなかろうか?」という彼の気持ちが表れているだけだった。
それで、このワニ……アダクリスたちの中でも地位が高いのが大祭司で、マルシルがさっき爆破したゴーレムはその大祭司の……
メカだ。
「インビンシブル・クール」っていうのよ。
つまり、俺たちは彼の大事な「メカ」を壊してしまったわけだ。なのにロドス・アイランド探しを手伝ってもらえるんだろうか?
大丈夫だろ。オマエらがいなくたって、どうせ爆発してたし。
そうよ、いつも絶対爆発するんだから。
大祭司はすごく気さくな人だし、彼の戻りを待ってきちんと説明すれば、君たちを責めたりしないさ。
そのうえ彼はとても親切だから、迷っている君たちを放っておくはずがない。
私たちの大祭司はそういう人なのさ!
とはいえ、俺たちからも何かお詫びをするべきだろう……
気にしなくていい――おや、何だかいいにおいがするな。今日の食事当番は誰だ?
なんか、あのひげもじゃのドゥリンが作ってるぜ。
テラ、アカフラ、生ける絵画、迷宮……
うーん……ダメ、全然わかんないや……
ここでも一応魔法が使えるってことは、法則には類似点があるってことだと思うけど……
……
ファリン……あなたがここにいてくれたら、私もきっとライオスみたいに、ここで起きているすべてに興味津々でいられたのに。
はぁ、一緒に学校で生活してた頃が懐かしいな。
あの時は……
あれ? この小鳥たちが食べてる木の実……
あの時ファリンがくれた実にそっくりだ……
……
いい匂いだな。ドゥリンって料理もこんなに上手いのか?
わしはドゥリンではないのだが……やれやれ、まあそれでよい。
早いとこ兄弟たちを呼んで、ひげもじゃのドゥリンが作った料理を皆で食ってみようぜ!
そういえば、あなたたち大祭司を探してるのよね?
ああ。その人にいくつかお尋ねしたいことがあってな。
ま、大祭司はここで一番頭がいいからな。でも、アイツに会うのは簡単じゃないぜ。大祭司がオマエたちに会いたきゃ会えるが、そうでなけりゃ絶対会えねえんだ。
なんだそりゃ……じゃあ、どうすれば会いたいと思わせられるんだ?
うーん……ズゥママ姐さんが言うには、大祭司の知恵を借りたいときはちょっと騒いで賑やかにしてみるといいらしいけど。
賑やかに、か……豪勢な食事の席を設けるのはどうだ?
いいんじゃないかしら。
俺も異論はない。マルシルの意見も聞いてみようか。
っと、そういえば彼女は?
まだ戻ってねーのか?
出たな、炎竜! ファリンを返しなさい!!!