命ある者の旅MT-3・戦闘前礼拝
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ヴィクトリアレム・ビリトンラテラーノイベリア
リターニアヴィクトリアシラクーザレム・ビリトンラテラーノイベリア

名前

命ある者の旅 MT-3・戦闘前

礼拝

龍門 バー「大地の果て」

イース

エクシアさん、ここに居るなんて意外ですね。

エクシア

そういうキミも、こうして来てるじゃない。

バーは休みだけど、何しに来たの?

イース

気付けばここに来ていたんです。社畜のサガというものかもしれませんね。

とはいえせっかく来たことですし、掃除でもしていきましょうか。

エクシア

あっ、片付けなら後であたしがやるよ!

どれもあたし宛てのプレゼントみたいだから、ついでに全部開けてみたんだよね。

なにこれ、水晶玉かな? バイソンの奴――っていうか、フェンツ運輸ってもうチャパットまで手を広げてるの?

これは……重ねて使える割引券? こんなにいっぱい? 「買えば買うほど安くなるので、もっと買っちゃおう」って……クロワッサンめ、あたしに商店街を丸ごと空っぽにさせる気?

こっちはソラのシラクーザツアーライブアルバム、『邂逅』か……もっといっぱいチケットつけてくれてもいいんじゃない?

そんで、カルネヴァーレの仮面ね。きっとテキサスからのやつだろうな……うーん、なんか窮屈。減点!

このブラシは……ボスだよね。これってプレゼントなの? それとも、社員にレコードの手入れさせたいだけ?

ところでイース、このブラシって何の毛かな?

イース

……ループスの毛のようですね。

エクシア

それにしても、カルネヴァーレはとっくに終わったのに、なんでボスもテキサスもまだヌオバ・ウォルシーニにいるんだろ? サルゴンから帰ってきてみたら、店に誰もいないだなんてさ!

イース

テキサスさんは向こうでペンギン急便の新事業の準備をしているそうです。それで、エンペラーさんは……

ご友人と一緒に、何かやるべきことがあるとか――レコードの製作や、パーティー、スタッフの教育以外のことで。

エクシア

なるほど。じゃあキミに事務関係の連絡しちゃっても良さそうだよね。

イース

えっ?

エクシア

ちょっと待ってて、すぐ書き終わるから!

イース

何をです?

エクシア

休暇の申請書!

長期休暇を取りたいから、ちゃんと正規の手続きを踏んでおいたほうがいいかなって!

イース

エクシアさん?

エクシア

あたしがどうして、わざわざサルゴンの仕事なんて引き受けたかはわかるでしょ?

イース

サルゴンというと……モスティマさんがレガトゥスとして担当している地域の一つですよね。

エクシア

その通り。

今回モスティマに会った時に、聞いたんだ。姉ちゃんやモスティマを今みたいにしちゃった人が――姉ちゃんが二度と現れてほしくないって言ってたあの人が、ラテラーノに帰ってきたって……

姉ちゃんはまだ本調子じゃないけど、教皇庁に加わってる以上向き合わないわけにはいかない。当時何が起きたかは知らないけど、その出来事をきっかけにみんながもう一度集められてるんだ……

あたしが龍門に来たのも、元々はその真相を知るためだったしね。

イース

ラテラーノへ戻るおつもりで?

エクシア

うん! 姉ちゃんが来てくれるまで、龍門でじっと待ってるわけにはいかないから。

テキサスも、ソラも、バイソンも、クロワッサンも……一番ぶっ飛んでるボスまでも、今はみんなそれぞれの事情で忙しくしてる。世の中には、終わらないパーティーなんてないんだよ。

「初心忘れるべからず」――これぞペンギン急便の企業文化ってわけ!

イース

ここの企業文化は日替わりのように思いますが……まあ、一理ありますね。

エクシア

それじゃ、あたしの代わりにプレゼントの管理よろしく! みんなには、こっちの事情を全部片づけたら戻るからって伝えといて。

イース

おや、お迎えの方でしょうか?

エクシア

えっ? 違うよ! 帰省はさっき決めたばっかりだし!

ロドスオペレーター

エクシア。

エクシア

キミたち……どうして?

ロドスオペレーター

これを見てくれ。さっき事務所に届いたものだ。

エクシア

……

ロドス本艦の緊急機密文書……?

エクシア

あー疲れた。

遠路はるばる戻ってきたのに、変なことばっかり起きるし、忙しすぎて目が回りそうだよ!

「お疲れ様。だが、動きを速めねばならないぞ。」

「ここ数日、教皇庁の動向を観察していたが、彼らは迷わず、あの爆破を万国サミットに対するテロ行為と断定したようだ。」

エクシア

人畜無害な告解ロボが、実は一流のスパイだったなんて誰も思いもしないだろうね!

やるじゃん、ご褒美にスピーカーをポンポンしてあげるね。

「……」

「要するに、今の君は最重要指名手配犯ということだ。」

エクシア

わかってるって。

エクシア

だけどヴァニーが手伝ってくれたおかげで、とりあえず、柱三本はぶっ飛ばせる爆弾ができたからね!

これだけじゃまだまだ足りないけど、この爆弾でも、選ぶ柱次第で建物を丸ごとぶっ壊すことはできるでしょ!

「あの聖堂は大地に現存するどの建造物をも遥かに超えるスケールだ。行動に移す前に、より正確な構造を把握しておかなければな。」

エクシア

あはは……あたしが毎日礼拝を欠かさないほど熱心な信者ですって言ったって、中には入れてくれなさそうだよね。

「聖堂の警備はかなり厳重だ。告解ロボットでさえも、容易には入れないほどに。」

エクシア

でも、そんなのどうってことないよ!

困難があれば乗り越える手段を、困難がなければ困難を作れ!

エクシア

「つまらない注文は受けない」――これぞ、ペンギン急便の素晴らしき企業文化ってやつだから!

「エクシア、君は誰にも負けない情熱と根性の持ち主だが、考えがすぐ顔に出てしまう節がある。だからあまり早まって知り合いと顔を合わせない方がいい。たとえ……」

エクシア

たとえ姉ちゃんでも、でしょ?

だったらなおさら頑張らないと。一刻も早く姉ちゃんに会うためにも、さっさと片付けちゃおう!

ヴァンニーニ

エル姉、そろそろ行きましょう。

エクシア

オッケー、ヴァニー。

「あの銃職人見習いは……」

エクシア

あの子とは何回かしか会ってないけど、この件に関しては信用できると思ってるんだ。

キミが何を心配してるかはわかるよ。でも……うーん、サンクタ同士の繋がりってうまく説明できないんだよね。とにかく安心して。

「では本日の告解サービスは終了だ。気をつけて帰ってくれ。」


アンドアイン

なぜ、モビールの音が鳴り続けているのだろう?

前方の育児室二部屋からか……妙だな、他の保育士がつきっきりでいるはずなんだが……

――うっ!

廊下の両側にある巨大な哺乳瓶が突然倒れてきて、アンドアインに命中し、彼は意識を失ってしまった。

侵入者A

どうだ?

侵入者B

気を失っただけよ、息はしてるわ。

それにしても、こんな大きな哺乳瓶、一体どんな赤ん坊が使うのかしらね? こんなのに頭をぶつけたら、駄獣でも脳震盪起こすわよ……

侵入者A

まあ、余計な口論で騒ぎを起こさずに済んだからいいだろ。

侵入者B

それでどうする? このまま中に入ってみるか、それとも……

侵入者A

この場所はどうにも不気味だな……

お前はこいつを担いでくれ。他の奴らは周囲を警戒しろ。来た道を戻って、さっさとここを離れるぞ!

リーダーが外で待ってる。こいつが目を覚ましたら、ゆっくり話を聞くとしよう。

侵入者B

了解――

どこからか急に風が吹いたかのように、廊下と育児室内に吊るされていたモビールが、突然大きな音で鳴り出した。

それは明らかに子供を寝かしつけるための音ではなく、警報のようにけたたましく、いつまでも鳴り続けている。

侵入者A

クソッ――

聖堂巡衛

警報解除。

子供たちに見られないように、現場を片付けてください。アンドアインさんは部屋に戻しましょう。


アンドアイン

……

保育士

お目覚めになりましたか、先輩。

アンドアイン

何が起きたんだ?

保育士

侵入者がいたのです。巡衛隊が対処しましたのでご安心を。

お気づきになられていたように、街中からあなたをつけていた者がいたようですね。

アンドアイン

彼らの狙いは私だったのか?

保育士

あなたは選ばれた保育士ですから。恐らく彼らは降誕の儀式を狙って動いているのでしょう。

アンドアイン

その侵入者の正体は?

保育士

道に迷った人が来ていたんですよ。

アンドアイン

道に……?

保育士

私には身元がわからないのです。調査はほかの同僚が担当しておりますので。

降誕の儀式の重要性を誰よりも深く理解している先輩に言うことではないのかもしれませんが…

どうか万が一がないように、お気をつけて、ゆっくりお休みくださいませ。

アンドアイン

……怖くはなかったかい?

???

(不安げに息を切らせる)

アンドアイン

私の腕にもたれていなさい。

大丈夫、大丈夫……ただモビールが鳴っているだけだから。ここでは、恐ろしい音などしないよ……

狩人の口笛も、牙獣のおたけびも、源石潮(オリジニウムタイド)の轟音も、ここにはないんだ。

???

(弱弱しいうめき声)

アンドアイン

私がいるさ。ずっとね。

君がどれほど強く、お腹の中の小さな命と共に生き延びたいと思っているか、私にはわかる……私も、同じように願っているよ。

もうすぐ、もうじきに……すべての人がそう願うようになる。誰もが争いをやめて、楽園の一部となる。

あらゆる人が、君と共に歩むようになるんだ。


ヒルデガルト

つまり、彼女はそのまま姿を消したと……?

慌てるシスター

はい。あの辺りの麦を刈り終えて、昼食の後に皆さんを休ませていたところ、彼女がチェロを弾きたいと言ってきたので、許可したのですが……

その後彼女は、一人でこちらの風の当たらないあぜ道へ歩いていったんです。そこまで離れていませんし、チェロの音もずっと聞こえていたので、特に気に留めておらず……

ヒルデガルト

呼びに行った時には、もういなくなっていた……と。

超常現象でも起きたのでしょうか?

慌てるシスター

修道院の門前でそんな……

ヒルデガルト

映画なら定番の展開ですよね……あっ、つまりはその、落ち着きましょうと言いたいんです。

ほら、チェロの音はまだはっきり聞こえていますよ……もしかしたら、アルトリアさんはチェロを持って麦畑の奥へ行っただけなのかもしれません。音楽家の考えは予測しがたいものですから。

あなたはこのまま前方の探索を。こちらは私に任せてください。

……

???

シスター、麦畑にあるかかしを調べてみてください。首のあたりにこれと似たようなものが付いているはずです。

ヒルデガルト

あなたは?

フェデリコ

公証人役場の執行人、フェデリコと申します。受刑者アルトリアの状況を確かめに、定期訪問に参りました。

若き執行人が手のひらを開くと、そこには折り紙のトンボが止まっていた。トンボは羽を規則正しく震わせ、優雅なチェロの音を響かせている。

ヒルデガルト

お、折り紙のトンボ……?

フェデリコ

ある種の音楽アーツです。受刑者は、リターニア滞在中にこうしたアーツを会得したものと思われます。

ヒルデガルト

しかもその紙……『聖徒行記』のページが使われてるじゃないですか!

フェデリコ

その点は重要ではありません、シスター。間違いなく、アルトリアは監視状態から抜け出した――脱獄したのです。

ヒルデガルト

はぁ、その……実は、そうなのではないかと思っていました。

アルトリアさんは重要な方なんですね?

フェデリコ

その重要度を、公証人役場が手配書公布から彼女の逮捕までに投入したリソースに基づいて判断するなら――その通りです。

ヒルデガルト

それは……

ランデン修道院が教皇庁から重責を任されたのはつい最近のこと……ようやく財政危機を抜け出せたというのに……

(小声)それに、突如現れたこの執行人に現場を押さえられた以上は、アルトリアさんをこっそり連れ戻すのも無理でしょうし……

フェデリコ

……

聞こえていますよ。

ヒルデガルト

と、とにかく、急いで教皇庁にこの件を報告しないとですよね!

フェデリコ

お待ちください、シスター。

この件は公証人役場が引き継ぎます。アルトリアはかつて私がこの手で逮捕した人物です。実害を及ぼす前に、連れ戻してみせましょう。

ですので、ランデン修道院から改めて報告を上げる必要はありません。

ヒルデガルト

ですが、それは規定違反ですよね?

ああ、わかりました……あなたは元々、報告する気がなかったんですね?

何か妙だと思っていたんです――あなたがここへ来たのは、そもそもこの件のためだったんでしょう。アルトリアさんが逃げ出すのを知っていたんですか?

フェデリコ

答える義務はありません。

ヒルデガルト

以前、アルトリアさんもあなたのように、何かに気付いたような様子で、意味深なことを口にしていました……

報告してはいけないというなら、私もアルトリアさんの追跡に同行させてください。

私にとって、ランデン修道院はとても大切な場所なんです。巻き込ませるわけにはいきませんから。

フェデリコ

――

執行人が器用に指を動かすと、紙のトンボは瞬く間に、皴のついた紙に戻っていく。優雅な音色は消え失せて、畑は再び静寂に包まれた。

ヒルデガルト

何をなさったんですか?

フェデリコ

証拠保全です……が、こうして音を出され続けては調査の邪魔になりますので。

シスター、あなたの申し出は執行人オペレーションマニュアルの規定には反していません。受刑者の追跡調査への協力を認めます。出発しましょう。

ヒルデガルト

……あなたもアルトリアさんも、それぞれ違った意味で変わった方ですね。


エクシア

あれが突っ立ってるのは毎日見えてはいたけど、ここから見ると……

高! すぎ! でしょ!

この鱗獣のエラみたいな薄切りのやつは何なんだろ……それに、この骨みたいなパイプ、どこに通じてるのかな……

っていうか、壁に流れてるあの色は何なの? 石鹸水で煮たブルーベリープリンを食べて吐き出した時みたいな色してるんだけど……気持ち悪っ。

ヴァンニーニ

エル姉、どうしてそれがああいう色だって知ってるんですか……?

エクシア

学生時代にイタズラでやってみたんだけど、上手く行かなかったんだよね。あんまりいい思い出じゃないのに、今となってはなんか懐かしいな。

だって少なくとも、当時のみんなにはやっていいこととダメなことの区別がついてたもん。いかにも敬虔ですって顔でこんなでっかい内臓みたいな変な建物建てたりなんか絶対しなかったし。

ヴァンニーニ

えーと……

でもこの場所には、見覚えがあるんです。前にも絶対この辺に来たことがあるはずなのに、もともとあそこがパン屋さんだったか、礼拝堂だったか、それとも弾薬市場だったか、はっきりしなくて。

この巨大な聖堂がずっとここにあったような気がすらするんです。

すごく、不思議な感覚で……

エクシア

頭が痛むの?

いやあ、わかるなーその感じ。

たとえばさ、お気に入りのスイーツ屋さんがあって、パーティーのためとか、単なる自分用とかで、しょっちゅう通ってたとするじゃん。

それで、今日も偶然お店の前を通りかかって。

ミルフィーユを買ってみたら、なんかいつもと味が違う気がする。パティシエが変わったのかと思って、よく見てみたら、なんとお店自体がまるっきり違うものになっちゃってた。

みたいな、ごく自然な変化って感じでしょ?

ヴァンニーニ

そ、そんな感じです……エル姉はすごいですね。私、自分の気持ちをそんなふうに言葉にできなくて。

でも、そのミルフィーユの味は、一体いつから変わっちゃってたんでしょうか……

エクシア

それはあたしにもわかんないね! 龍門から戻ってきた時には、もう変わってたみたいだけど。

接続港で手続きを終えて顔を上げたら、あの聖堂があそこに建ってたんだよね。

待って、そういえばそうじゃん! こんな大きな聖堂があるのに、なんで街の外からは全然見えなかったんだろう……

ヴァンニーニ

しーっ――エル姉――

あっちを見てください……


聖堂巡衛A

全体、整列。

三班で一組として、三時間交代で交互に巡回してください。

聖堂内への潜入及び、保育士への襲撃……こうした事態は二度と起こしてはなりません。

聖堂巡衛B

了解。


エクシア

今の護衛隊ってあんなに……個性的な制服を着てるの?

って、あの鱗獣の皮みたいなマントは……まさか全部、育児聖堂の警備兵!?

こんなにたくさんいるなんて……まだ作戦も考えてないのに、道を全部塞がれちゃったよ。

ヴァンニーニ

エル姉、どうしましょう?


保育士

皆さん、着きましたよ。

サルカズ

オマケはこの中で養生してるのか?

保育士

ええ。面会をご希望であれば、状況を見て手配いたします。

聖堂はオマケさんのお世話をするために、専任の保育士をつけています。出産までの間、彼女には最善のケアを施し、不安要素はすべて排除いたしますよ。

フェリーン

じゃあ、私たちのほうは?

十三ある移動修道院の中に、少なくとも千人以上の怪我人がいるのよ。あなたたちが臨時の受け入れ先として使ってるアンブロシウス区には、病院も療養所も全然足りてないし……

保育士

万国サミットの期間中、ラテラーノにはあらゆる方々が集います都合、都市内の医療資源は逼迫しています。

ループス

それじゃ……

保育士

規定に照らせば、治療が必要な妊婦を早めに受け入れること自体が特例に当たるのです。

しかし、皆さんはラテラーノを信じてここへ来てくださいましたので、それを見捨てることはできません。

本来なら、育児聖堂の正式な対外開放は降誕の儀式が終わった後になるはずでしたから、内部の部屋は現状ほとんどが空いています。加えて、保育士たちは皆医療資格を有しておりますので……

総主教が教皇庁に申し入れをしてくださいまして、この期間中は育児聖堂が、治療を必要とする異種族の皆様を一時的に受け入れることになりました。

この後、巡衛隊が皆さんを各自の部屋へお連れいたします……まだ負傷者が大勢到着されますので、私はここで皆さんの受け入れに当たります。

主がラテラーノに、すべての者に、祝福をお与えくださいますように。


エクシア

……

見て、解決策発見!

ヴァンニーニ

エル姉、まさか――