暗黒時代・上 幕間
序章・下
こいつで――最後だ!
うわあっ!
敵部隊の撤退を確認! ターゲットは全員排除しました!
……アーミヤさんの言ってた通り、Dr.の指揮があると本当に心強いですね。
はい! お陰で、苦戦せずに済みました。
やっぱりドクターは、これと比べものにならないほど厳しい戦いも経験していますからね。
くそっ……どうして、ウルサス人でもない連中が妨害なんかしてくるんだ……!
俺たちの邪魔をするつもりなら……容赦しないぞ!
させるか!
ド、ドーベルマン教官!
ぼーっとするな、蜂の巣になりたいのか!
す、すみません!
急いで隊形を整えろ!
はい!
ドーベルマンさん! 来てくれたんですね!
ああ。こちらの小隊もレユニオンの攻撃を受けたものでな。
すぐに合流をと思い、駆けつけてきたんだ。
ありがとうございます! ……ですが、レユニオンはなぜ我々を攻撃してくるんでしょうか……?
さてな。奴らは感染者のための組織だが……元々、少し盲目的で過激な面があるとは思っていた。
だが、よりによってこのウルサスで、暴力に訴えるような真似をするとは……まったく、自殺行為としか思えんな。
とにかく、このままここにいても、周囲の混乱が深まっていくばかりだ。
すぐにチェルノボーグから離脱するとしよう。
わかりました。ドクターの救出も完了しましたし、作戦通り撤退しましょう。
――では、こちらの人物がDr.か?
はい、そうです。
わかった。……ドクター、私とは面識がなくとも、アーミヤのことは知っているだろう? 安全のために――
あ、あの、ドーベルマンさん……
ドクターは今、調子があまり良くないといいますか……
一言で言ってしまうと……記憶喪失なんです。
記憶喪失……?
……そんな状態で、ドクターに指揮権を委ねようというのか?
はい。指揮能力に問題はありませんので。
その点については、先ほどの戦いで確認済みです。
……
私は、よく知らない人間を簡単に信用することはできない。
だが、お前の判断ならば信じよう。アーミヤ。
……ありがとうございます。
では、改めて。――私は行動隊E1の隊長、ドーベルマンだ。
我々が、ウルサスの都市であるこのチェルノボーグから、ロドス本艦までお前を送り届けよう。
現在地は、チェルノボーグの中枢区画にある廃墟だ。ゆえに、ここから西に向かって撤退を行う。
ただ……当初の作戦では、私とドーベルマンさん、それぞれの部隊が西側の合流地点に向かい、撤退信号を出して待機する、という予定でしたよね。
作戦通りであれば、の話ではありますが……
本当に、その通り進めばよかったんだがな。
とはいえ、今日がDr.を石棺から救出する最後のチャンスだった以上、仕方はあるまい。
ただ……嫌な予感は拭えないが。
あ、アーミヤさん!
どうしたんですか?
そ、それが……ロドスからの通信が入ったんです!
よかった、繋がったんですね! もしかして、ケルシー先生でしょうか……?
申し訳ないのですが、違います。
PRTS……?
ご報告します。ニューラルコネクタへの緊急接続要請が、予期せぬ形で実行されました。
現在、ロドス本艦も通信妨害を受けており、ニューラルコネクタによる接続のみがかろうじて行える状態となっております。
そのため、まだロドスへお戻りになっていないケルシー様と、電波通信による連絡を取ることはできません。
また、アーミヤ様の無事を確認いたしましたので、私のタスクは完了いたしました。
こいつめ……
こんな時に言うことか?
ニューラルコネクタによるロドスの指揮を行う必要がない場合、間もなく接続が切断される予定です。
皆様のパーティーのお邪魔をしてしまい、誠に申し訳ございませんでした。
わわ、切らないで! あなたの助けが必要なんです!
――ドーベルマンさん、ドクターにはPRTSの補助がいると思うんですが……
わかった。だが、急げよ。
はい! ――ドクター、紹介しますね。このPRTSも私たちの……仲間でして、次の一手を導き出す手伝いをしてくれるんです。
あまり時間はありませんが、とりあえずロドスの支援ネットワークに接続してみましょう。
そうすれば、戦いを有利に運ぶこともできるでしょうしね。
慣れるまでは少し時間がかかるかもしれませんし、口頭で指示を出すのとは感覚も違うかもしれませんが、上手く使えば撤退作戦全体がスムーズになるはずですので……
……私を信じてください。そうして、あなたの思うままに、知っている通りにやってみてください。
……始めましょう、PRTS。
管理者権限の認証が必要です。識別方法を選択してください。
ええと、ドクター……何か喋ってみてください。
(喋る)
どうして、黙ったまま画面中央にタッチされたのかはわかりかねますが――
指紋認証により、本人確認が完了いたしました。権限レベル:8
――おかえりなさい。Dr.。