暗黒時代・下 1-12・戦闘後
代価
この感覚……なんだか、すっごく懐かしいわ。
あんた……アーミヤっていったわよね。
——
アハハッ、なるほど。……そういうことだったのね。
あんたのこと、覚えておくわ。
……何を、言って……
あたしの欲しいものは手に入った、ってことよ。……ほら、行くならさっさと行きなさい。
っ、あなたは――
おい、W……?
――まさかここで死のうってわけじゃないんでしょう? あたしは別に、それでもいいけどね。
……ったく……
……お前ら、繁華街まで撤退だ。あの連中は放っておけ。
えっ……?
こっちは飽き飽きしてんのよ。このままグダグダ続けてたってつまんないもの。
――さて。次会う時を楽しみにしてるわ、アーミヤ。
ああ、もちろん――そっちのあんたも、ね?
っ……!?
今度は事の真相を聞かせてもらうわよ、{@Nickname}。
じゃ、またね~。
……彼女は、どうしてこんなことを……?
理由はわからんが……連中が退いたのは確かだ。
……なんにせよ、作戦の想定時刻を大幅に超えてしまった。
我々のほうも、今すぐ引き上げるとしよう。
……はい。
私……後方のオペレーターたちの、援護に回りますね。
……アーミヤ……
心配しないでください。私は、大丈夫ですから。
……わかった。
では、頼んだ。
……う、っ……
…………あ、れ……?
た……隊長……?
……ほかの……人たちは……?
ニアールとドーベルマンのチームなら、無事に包囲を突破した。無論アーミヤとDr.を連れて、な。
だが、あの女を足止めするために残ってくれた連中は……
……皆、死んでいった。
……そ、んな……
俺とお前が、最後の生き残りってわけだ。
……そう、だ……そうだった……あの、タルラとかいう……化け物が……たった、一人で……っ!
前衛の、仲間が……全員、吹き飛ばされ、て……
重装……オペレーター、ですら……あんな、簡単に……
……無理に話すな。お前の傷だって浅くないんだ。
ですが……! あれは、天災……そのもの、です……! 一瞬で、何もかもを……灰に、変えて……
まだ……信じられ、ません……あんな、アーツが……本当に、あるなんて……
……俺は……叫ぶ、ばっかりで……ぐ、ぅ……ごほっ……
わかったから、もうよせ。
……すみません……俺……何も、できませんでした……
……いい。とにかく、落ち着くんだ。
お前の傷には、応急処置をしておいた。これで当分はもつだろう。
――待って、ください……隊長……その腕……!
ああ、これか? 大したことないさ。もう片方はまだ動くしな。
っ……!! ……俺のことは、いいですから……逃げて、ください……あなただけなら、逃げ切れる……はずです……
そうはいかん。俺たちはまだ、あの化け物相手に数分稼いだだけだからな。
ドクターとアーミヤが無事に撤退し終えるまで、逃げるわけにはいかないのさ。
……さて、俺は奴を足止めしに行ってくる。
だったら、俺も……!
おいおい、やめてくれ。俺は、腕一本と引き替えにお前の命を拾ったんだぞ。
たとえそれが、お前の寿命を一分延ばしただけだったとしても――その一分には、俺の腕をかける価値があったと思わせてくれ。
……隊長……
自分を大事にしろよ。……すぐに戻る。
……本当に……情けないな、俺……
――アーミヤ、さん……
皆の、願いを……託します……あなたなら、きっと……
……
……皆が、逃がしてくれて……なのに、私……う、ぅ……
…………
……アーミヤ、さん……
…………アーミヤさん……?
あっ……すみません。
……どうか、したんですか……?
……い、いえ。でも、なんだか急に……
心が、ずきりと痛んで……
それって……
……ま、まさか……
ぅ、ううっ……そ、んな……
……どうか、泣かないでください。
今はまだ……我慢、しましょう。
以前、ある人がこう教えてくれたんです……
涙は……戦いが終わる時まで取っておけ、って……
だから、今は……泣いてはいけないと、思います。
はい……ぅ……わかり、ました……
……一緒に、帰りましょう。
私たちの家――ロドスへ。