急転直下 4-4・戦闘前
恐れるなかれ
すまない、あまり待たせていなければ良いが。近衛局の会議が長引いてな。
いえ、大丈夫ですよ。
(チェン隊長、何事もなかったみたいな接し方……)
そうか。それで、状況はどうだ?
こちらの偵察部隊から、いくつか重要な情報が上がってきたところです。
そこで、今日はその中から、ご興味のありそうなものを抜き出してきました。
……あっ、ホシグマさん。
こんにちは。小官も同席させていただいてよろしいですか?
構わん。アーミヤ、続けてくれ。
わかりました。では、報告を続けますね。
我々が、一部の感染者から得た情報を基に調査を行ったところ――龍門の居住区内に、レユニオンの拠点を数カ所発見しました。
ふむ。それから?
彼らが龍門に潜伏する際のルートも確認しておきました。
加えて、レユニオンのうち複数の小隊が、龍門への攻撃を計画していることも判明しています。
ふん、まったく傲慢な企てだ。
近衛局も甘く見られたものだな。
で、話にあった廃都市の件はどうなっている?
そちらにも偵察隊を派遣し、状況確認を行っているところです。
現状、廃都市内で確認できたのは大勢のレユニオンの姿ばかりで、元いた住民の行方についてはわからない、と聞いています。
また、ある部隊からは、すでにレユニオンと三回以上交戦しているという報告もありました。
確かに、今得ている情報だけでは、この廃都市がレユニオンの動きにどう関わってくるのかを正確に判断することはできませんが……
この先の作戦における重要地点となるのは確かかと。
……なるほど。
ホシグマ、報告書を取ってきてくれ。デスクの左側、三番目の引き出しだ。
今ですか? わかりました。
キミはそのまま続けるように。
はい。差し当たって、ご提案ですが……
まずはロドスと近衛局の共同作戦で、龍門内部のレユニオンへの対処から始めるというのはいかがでしょうか。
――良いとは言えないな。
近衛局としては、受け入れられない提案だ。
……それは、なぜですか?
なぜも何もないだろう。
キミは感染者だ。
そんな人間が、これ以上スラム街で任務に当たれば、さらなる混乱を招くことになる。
……
これは、近衛局としての決定だ。
ですが――
あっ、すみません。連絡が……
はい、アーミヤです。
(小声)あ、よ、よかった……! アーミヤさん……!
……! ジェシカさんですか?
(小声)は、はい、そうです……!
……? もしかして、偵察中でしょうか? なんだか、声が小さいような……
(小声)あの、それが……
(小声)廃都市内で、レユニオンの幹部を発見したんです……
(小声)それも、二人も……
えっ……!?
おや? 負け犬さんのお戻りじゃないか。
あいにく、犬っころなんかになった覚えはないんだけど。
やれやれ、飛んだ物言いだね。君が任務を果たせていなかったら、その顔に一つや二つは傷をつけてたところだよ。
へえ~? その時は挨拶代わりに手足を吹っ飛ばしてあげるから、口でも使って「メイク」してもらわないとね。
ははっ、面白い考えだ。
まあ、現状その気はないから安心しなさい。二人で争ったって何の得にもならないしね。
ふうん、そのくらいの知恵はあるんだね。安心したよ。
それで、獲物はかかったのかな?
ええ、もちろん。とはいえ、あとはパトリオットが「本物」を取り戻せるかどうかにかかってるけどね。
ああ、そういえば……あんた、あのジジイが怖いんだっけ?
余計な口を利くな。僕は今、虫の居所が悪いんだ。
あら、ごめんなさ~い?
でも、今はせっかく大きな獲物が誘い込まれてくれたことだし……
もうしばらくは、仲良くやりましょう?
……ふむ。仕方ないな。
そうしようか。小さな問題から解決したほうがいいだろうしね。
――さて、それでは出てきてもらおうか、ロドスの諸君。
僕の目を誤魔化すことはできないよ。
待ちなさい、ジェシカ!
これは罠よ!
ですが、こちらの位置は知られていますし――
敵の幹部を倒すためには、こうするしか……!
へえ、やっぱりそこにいたんだ。
それにしても、一体どこから入ってきたんだい? 子猫ちゃん。
ここは君が遊びに来ていいような場所じゃないんだけどなあ。
――ねえ、みんな。
はっ!!
大物を狩るその前に――
小物を仕留めて楽しむとしようか。
おおおおおっ!!
……くっ……!