苦難揺籃 7-10・戦闘前
暗がりの火
Guard、君の行動について説明してくれと言っている。
ああ、俺の姿はもう、完全にレユニオンに見えますよね。
やっぱりあんたたちは知り合いなんだね。
ということはこのコータスの娘は嘘をついてたのね。
あんたたちとレユニオンは最初からグルだった! そうでしょ!?
…………
……食料は見つかったか? 避難所のみんなはもう、それほど長くは持たない。
いつまで私を弄んで苦しめるつもり!?
そんなつもりはないが……とりあえず安全な場所まで行こう。
Guardさん! 彼女に近づかないで!!
何もしやしませんよ。
今の状況は非常に説明しづらいんですが……
とにかく彼らへの接触は注意を払ってください。このエリアに住む全てのウルサス人感染者は、酷い生活を強いられていて——
その大半はもう精神崩壊寸前だ。あとはきっかけさえあれば——
「酷い」なんかじゃ済まないわ! この人殺し! 汚い虐待野郎!
私まで……私までこんなふうにしやがって! こんな……!
これ以上ここにいるのは危険だ。サルカズに見つかってレユニオンに引き渡されてしまう。
パトリオットの部隊はもうこのエリアを離れた。君が捕まったら、俺には助けられない。
死なせてくれればいいじゃない! あんたたちみたいな化物だらけのこの地で生きてくなんてごめんだわ!
何が遊撃隊よ……何が感染者の盾よ! 違いなんてあるの? 他のレユニオンと!
あるさ。彼らがいなけりゃ、俺たちはもう死んでいたよ。
じゃあ説明してよ!
あんたがずっと言ってるように、あの人たちが本当に正しいってんなら、なんでレユニオンにいるの? なんでこの街をめちゃくちゃにするのを放っておいたの?
なんで反抗しないの? なんで脱退しないの? どうして私たちが殺されて、侮辱されて、迫害されてるのに、全部見過ごしたの!?
あんたが言う遊撃隊は、なんであのうろつき回る化物たちと戦ってくれないの!? ねえ、なんで!?
この目で見たのよ、奴らが手で……素手で……
…………
パトリオットの目が届かない場所が多過ぎるんだ。
彼が人々の生活を守るよう、遊撃隊に指示を出したときには既に、街全体で問題は深刻化していた。
それでも……遊撃隊がいる場所では、レユニオンの暴徒が好き勝手をすることはない。
遊撃隊の戦士は、暴徒たちとは全然違うんだ。パトリオットの部隊の者は、たとえサルカズでもちゃんと規律を守っている——
じゃあなんで今、そいつらはここにいないの!? どうして!
遊撃隊とやらがいなくなった後に何が残った? あの感染者たちの暴力がますます酷くなっただけじゃない!
遊撃隊がいなければ、私たちもここまで酷い目に遭わなくて済んだのに……そうでしょ!? 奴らは遊撃隊への当て付けに暴れてる。結局彼らが悪いんじゃない! 遊撃隊が悪いのよ!
それは違う。
遊撃隊は悪くない。だが君の言うように他のレユニオンの連中は、遊撃隊への当て付けで横暴に振る舞っているのかもしれない。
奴らがそうする理由は、非戦闘員とはいえ、敵勢力の人間である君たちを、遊撃隊の戦士たちが命掛けで守っているからだ。
遊撃隊は君たちの生きる権利だけでなく……尊厳をも守っている。俺はこの目で見た——
彼らが、他のレユニオンに対して、君たちのことを番号ではなく、名前で呼ぶようにと命令していたのを。
そうだろう?
…………
それに、パトリオットがここに俺たちを残したのは、彼らがいない時に君たちを助けるためだ。
チェルノボーグの都市機能は、既にバラバラに解体されている。
一部のエリアにはまだ遊撃隊が残っているかもしれないが、それ以外の場所はもはや無法地帯も同然だ……秩序を維持する者がいないのであれば、俺たちが……君たちを守るしかない。
たとえ命を落とす危険があるとしても。
アーミヤさん。今私が言ったこと、信じてもらえますか?
…………
違う!
コータスの娘、信じちゃダメ……そいつはレユニオンなんだから!
あんたたちまさかレユニオンの言葉を信じるの? 感染者になったからって、私にもレユニオンのふざけた言葉を信じろって言うの?
ほら、さっきこいつが言ってた、今私たちを殺そうとしているのはレユニオンなんじゃないの?
あんたたち誰が誰で、私を殺そうとしてるのは誰なの!? たとえ生き残ったとして、感染者になった私はこの先どうなるの?
あんたたち……レユニオン……みんな……一体何なのよ!?
(アーミヤ。)
(先生?)
(ここからは落ち着いて行動するように。)
ケルシー。
ケルシー、このままここにいても仕方ない。先に進むべきだよ。
君は……
どうして君がここに……? まさか!
あなたたちは……レユニオンを殲滅するつもりなんですか!? ロドスまで……
?
くっ! 今はそれどころじゃないか……いいですか、この辺一帯を巡回するサルカズの部隊は、この時間帯に倉庫エリアに来ます。
見つかったら連れて行かれてしまう! 急いで隠れないと……
それ以外にも、普通のレユニオンの巡回部隊も時々やってきます。つまり俺たちが物資を探す時間はかなり限られている。
そのせいで、食料も薬品も足りずに、多くの人がどんどん命を落としていったんです。
アーミヤさん、ケルシー先生、それにDr.も、できれば俺の言葉を信じてほしい。せめて今は隠れてください。
Guardさん……
そこのウルサスの感染者。
…………
私のこと?
君に、幾つかの問題について諮りたいのだが。
そ、その喋り方……あんた帝国の首都から来たの?
でも言葉遣いは古臭いわよね……
ふむ……君は比較的、高等な教育を受けているようだな。
……前は大学の書記だったの。
今はあんたたち感染者のせいで、何もかもめちゃくちゃだけど。
では訊くが、君の後ろにいる男——かつて我々の一員だったが今はレユニオンとなった彼のことを、君は信頼しているのか?
えっ?
この人、あんたたちの仲間……だったの?
ロドスには、「戦闘状態においても、罪なき一般人の生存を優先的に確保せよ」という行動規約がある。
しかし、君が「罪なき一般人」の分類に入るかどうかは、まだ判断しかねるが……どうしたものかな?
そうだな……よし——
————
ああっ……うわあああー!!!
ケルシー先生!?
何をするんだ!?
あ、あんたのそ、それ——な、なに……
……まさか自分がMon3trに捕えられる日が来るとは思ってもみませんでしたよ。
Guard……君の首に触れている刃は、8度の切入角しかない。6mm刃を入れるだけで君の大動脈を切断できる。
お嬢さん。
えっ、なに……?
彼は、彼自身の言葉の中にあったように、君たちの生存の権利を、迷いなく守ってくれたのか?
何なの……? それってどう言う——
彼、あるいは彼が所属するレユニオン部隊が、君の命を脅かす、あるいは君を傷つけるような行動をしたことはないか?
事実だけ教えてほしい。君の返答次第で彼の処分が決定する。
そいつの命で私を脅すつもり!? 私はそいつとは……何の関係もないのに!
彼個人として、レユニオンの命令に従って他人を害するような行為はあったか?
先生……俺を侮辱するようなことは——
私が重きを置くのは、目撃者と被害者の証言だ。君が彼女の権利を保証していると主張するのに対し、君が不当な行為を行わなかったかどうかを判断する唯一の材料は、このお嬢さんの言葉しかない。
君の言葉は単に君の言い分に過ぎない。
でも彼女の言葉だって――
彼女の立ち位置は君とは違う。
君には力がある。破壊を伴う攻撃や、脅迫に効果を発揮する力だ。それをどう使うかは別問題として。
感じる。
アーミヤ、サルカズだよ。
すぐ近くまで来ている。
何なのよ……彼が何だって——
彼は君たちのために、他のレユニオンに抵抗したことはあるか? 他のレユニオンの侵害から君たちを守っていたか?
先生……! 巡回部隊がもうそこまで来てるんだ! これは遊撃隊なんかじゃない……これ以上、これ以上近づかれると——
横暴よ! そんなやり方は……
緊急の措置とはいえ、我々の行為は、ウルサスの最低限のモラルを逸脱していないと判断する。そして彼のことを告訴したのは君だ。
彼は……確かに彼はいつもこの時間に……
ケルシー先生! 俺にあのサルカズたちを止めに行かせてくれ! そうすれば彼らを他のルートへ誘導する!
彼女の答えが先だ。
言うんだ。でないと、誰も真実を知りえない。
直線距離24メートル。近づいてる。
…………
22メートル。
Mon3tr。
先生!!
やってない! 彼は一度も悪いことなんてしてない!
少なくとも私は見たことがない!
アーミヤ。ドクター。
行くぞ。
ええっ? 先生、やっぱり……!
ドクター、行きましょう!
目標は、レユニオンのサルカズ巡回部隊です!
私も行く。
Guard、だっけ?
あなたは私のこと、誤解してる。でも私があなたを守るよ。あなたの代わりに、敵に仕返ししてあげる。
あなたたちにしたこと、私の家族にしたこと、全ての人にしたことを全部返してやるの。全部……